「一般事務から法律事務所への転職は難しい?」そう考えていませんか?結論から言うと、一般事務の経験を活かして法律事務所へ転職することは十分に可能です。この記事では、一般企業の事務職から法律事務所の事務職へ転職を考えているあなたへ、仕事内容、一般事務との違い、未経験からの転職可能性、求められるスキル、給与、キャリアパス、そして具体的な転職活動の進め方まで、網羅的に解説します。あなたの一般事務経験を強みに、法律事務の専門性とやりがいを手に入れる具体的な道筋が見えてくるでしょう。
一般企業の事務職から法律事務所への転職を考えているあなたへ

現在の一般事務職として働く中で、「もっと専門性の高い仕事に挑戦したい」「社会に貢献できるやりがいを感じたい」と感じていませんか? あるいは、「ルーティンワークだけでなく、新しい知識を身につけてキャリアアップしたい」と漠然と考えているかもしれません。 そんなあなたが今、法律事務所の事務職への転職を検討しているのは、ごく自然なことです。
法律事務所の事務職は、一般企業の事務職とは異なる専門性と奥深さを持つ仕事です。 しかし、「法律の知識がないと難しいのでは?」「未経験でも本当に転職できるの?」といった不安や疑問を抱えている方も少なくないでしょう。 この章では、そうしたあなたの疑問や不安に寄り添い、なぜ今、一般事務職から法律事務所への転職を考えているのか、その背景を深掘りしながら、この記事全体で得られる情報についてご紹介します。
一般事務職から法律事務所への転職を考える背景
多くの一般事務職の方が法律事務所への転職を考える背景には、いくつかの共通した動機があります。 あなたが今感じていることも、もしかしたらこれらの動機と重なるかもしれません。
- 専門性の高いスキルを身につけたい:法律事務は専門知識を要し、日々の業務を通じて専門スキルを磨くことができます。
- 社会貢献性を感じたい:弁護士のサポートを通じて、人々の権利擁護や問題解決に貢献できるやりがいがあります。
- 安定したキャリアを築きたい:法律事務所は専門職の集団であり、一度スキルを身につければ長く活躍できる可能性があります。
- 知的好奇心を満たしたい:常に新しい法律知識や判例に触れる機会があり、知的好奇心を刺激されます。
- 給与や待遇の向上を目指したい:専門性を高めることで、現在の一般事務職よりも高い給与やより良い待遇を期待できます。
この記事で得られること:あなたの転職を成功に導くための羅針盤
この包括的な記事では、一般事務職から法律事務所への転職を考えているあなたが抱えるあらゆる疑問や不安を解消し、具体的な行動へと繋がるよう、以下の内容を網羅的に解説します。
項目 | 得られる情報 |
---|---|
法律事務所の事務職の仕事内容 | 一般事務職との具体的な違い、パラリーガルとの役割分担、日々の業務内容を詳しく解説します。 |
法律事務所で働く魅力と大変さ | 法律事務の専門性とやりがい、そして働く上での注意点や大変さについて、リアルな声をお届けします。 |
未経験からの転職可能性 | 未経験でも採用される法律事務所のケースや、一般事務の経験がどのように評価され優遇されるかを具体例を交えて説明します。 |
求められるスキルと資格 | 必須となる基本的なPCスキルやコミュニケーション能力に加え、法律知識や資格が転職にどれほど有利に働くかをお伝えします。 |
転職活動の具体的な進め方 | 法律事務所の求人情報の探し方から、履歴書・職務経歴書の書き方、志望動機と自己PRのポイント、面接対策まで、実践的なアドバイスを提供します。 |
法律事務所の種類と選び方 | 個人事務所と大規模事務所の違い、専門分野による法律事務所の特徴など、あなたに合った事務所を見つけるヒントをお伝えします。 |
一般事務の経験を活かす方法 | これまでの事務スキルを法律事務所でどのようにアピールし、強みとして見せるかの具体例を提示します。 |
これらの情報を活用し、あなたの「転職したい」という漠然とした思いを、具体的な「行動」へと変えるための第一歩を踏み出しましょう。 この記事が、あなたのキャリアチェンジを成功に導くための羅針盤となることを願っています。
法律事務所の事務職とはどんな仕事
一般企業の事務職から法律事務所への転職を検討されている方にとって、まず気になるのは「法律事務所の事務職が具体的にどのような仕事をするのか」ではないでしょうか。一般事務との違いや、法律事務特有の業務、さらには「パラリーガル」との区別について詳しく解説します。
一般事務職との違いを理解する
一般企業の事務職と法律事務所の事務職は、どちらも「事務」という括りではありますが、その業務内容には専門性と求められる特性において大きな違いがあります。
一般企業の事務職が多岐にわたる業種・業界の事務業務を担うのに対し、法律事務所の事務職は「法律業務に特化」している点が最大の特徴です。そのため、取り扱う情報が非常に機密性が高く、専門的な法律用語や手続きに日々触れることになります。また、弁護士の業務を円滑に進めるためのサポートが主となるため、事件の進捗に応じたイレギュラーな対応や、迅速かつ正確な処理が求められる場面が多くあります。
特に重要なのは、法律事務所の事務職には「守秘義務」が課せられるという点です。依頼者の個人情報や相談内容、事件の進捗など、すべての情報が極めて重要であり、その取り扱いには細心の注意と高い倫理観が求められます。これは一般企業の事務職ではあまり経験することのない、法律事務所ならではの特性と言えるでしょう。
法律事務所の事務職の具体的な仕事内容
法律事務所の事務職の業務は多岐にわたりますが、ここでは主な仕事内容を具体的にご紹介します。事務所の規模や専門分野によって担当する範囲は異なりますが、共通して発生する業務がほとんどです。
業務内容 | 具体的な仕事例 | ポイント |
---|---|---|
来客・電話応対 | 法律相談の予約受付、依頼者や関係者からの電話・メール対応、弁護士への取次ぎ、会議室への案内など。 | 法律事務所の「顔」として、丁寧かつ的確な対応が求められます。依頼者は不安を抱えていることが多いため、安心感を与える配慮も重要です。 |
書類作成・管理 | 訴状、答弁書、準備書面、契約書、内容証明郵便などの裁判所提出書類や各種書面の作成補助、ファイリング、期限管理。 | 弁護士が作成した原稿をもとに、正確かつ迅速に文書を作成するスキルが求められます。期限管理は特に重要で、怠ると重大な問題につながることもあります。 |
スケジュール管理 | 弁護士の裁判期日、打ち合わせ、面談、会議などのスケジュール調整と管理。 | 弁護士は複数の案件を抱えているため、効率的なスケジュール管理は業務の円滑化に不可欠です。 |
経理業務 | 請求書作成、入金管理、領収書整理、会計ソフトへの入力、小口現金管理など。 | 事務所の規模によっては専門の経理担当者がいる場合もありますが、一般的には事務職員が担当します。正確な会計処理が求められます。 |
郵便物・備品管理 | 郵便物の仕分け、発送手配、宅配便の受付、事務所内の備品発注・管理など。 | 基本的な庶務業務ですが、裁判所からの重要書類や内容証明郵便など、迅速な対応が求められる郵便物も多いため、丁寧な管理が必要です。 |
裁判所・役所への外出 | 訴訟書類の提出、閲覧、謄写(書類のコピー)、戸籍謄本や住民票などの取得代行。 | 弁護士に代わって、裁判所や検察庁、法務局、市役所などへ出向くこともあります。公共交通機関での移動が主となります。 |
データ入力・管理 | 依頼者情報、事件情報、進捗状況などのデータベース入力、管理。 | 情報管理システムを利用して、事件ごとの情報を一元管理します。情報の正確性と更新が重要です。 |
その他 | 事務所内の清掃、お茶出し、来客対応、コピー・スキャン、ファイリングなど、弁護士の指示による雑務全般。 | 事務所運営を円滑にするための幅広いサポートを行います。 |
これらの業務を通じて、法律事務所の事務職は弁護士が法律業務に専念できる環境を支える重要な役割を担っています。
パラリーガルとの違いを知る
法律事務所の仕事について調べていると、「パラリーガル」という職種を目にすることがあるかもしれません。法律事務職員とパラリーガルは混同されがちですが、その役割には明確な違いがあります。
法律事務職員(一般事務職)は、主に事務所の運営に関わる一般的な事務業務、庶務、経理補助、来客・電話応対などを中心に行います。もちろん、弁護士の指示のもと、書面作成の補助や裁判所への書類提出といった法律業務に付随する作業も担当しますが、その範囲はあくまで「事務」が中心です。
一方、パラリーガルは、弁護士の指示・監督のもと、より専門的な法律知識を要する業務を処理する者を指します。具体的には、判例や文献の調査、法的なリサーチ、証拠収集の補助、複雑な書面のドラフト作成、依頼者との詳細な打ち合わせのサポートなど、弁護士の専門業務の一部を補佐する役割を担います。パラリーガルには、高度な法律知識と分析力が求められることが多く、実務経験や専門資格を持つ人もいます。
ただし、中小規模の法律事務所では、法律事務職員が経験を積む中で、自然とパラリーガル的な業務を兼務するケースも少なくありません。この場合、明確な線引きがないこともあります。しかし、一般的には、「法律事務職員は事務所運営の事務全般を担い、パラリーガルはより専門的な法律業務のサポートを担う」という認識で理解しておくと良いでしょう。
法律事務所で働く魅力と大変さ

法律事務の専門性とやりがい
法律事務所の事務職は、一般企業の事務職とは異なり、法律という専門性の高い分野に深く関わることができる点が大きな魅力です。日々の業務を通じて、民法、刑法、商法など多岐にわたる法律知識や、訴訟手続き、契約書作成、登記申請といった実務的な法務知識を自然と身につけることができます。
また、弁護士のサポートとして、依頼人の抱える法的課題の解決に貢献できることも、大きなやりがいにつながります。例えば、トラブルに巻き込まれた依頼人が抱える悩みを解決に導く過程を間近で見たり、その一端を担うことで、社会貢献を実感できるでしょう。依頼人から感謝の言葉を直接聞く機会もあり、自身の仕事が人の役に立っていることを強く感じられる瞬間は、この仕事ならではの醍醐味です。
さらに、法律は常に変化しており、法改正や新しい判例が日々生まれています。そのため、常に最新の情報を学び続ける必要があり、自身のスキルアップや自己成長を実感しやすい環境でもあります。専門性の高い環境で働くことで、一般事務職では得られない独自のキャリアパスを築くことが可能です。
法律事務所で働く上での注意点と大変さ
法律事務所の事務職には多くの魅力がある一方で、特有の注意点や大変さも存在します。まず、専門性の高さゆえの学習の継続が求められます。法律用語や専門的な手続きは最初は難解に感じるかもしれません。常に新しい知識を吸収し、実務に落とし込んでいく努力が必要です。
次に、業務における責任の重さが挙げられます。弁護士が扱う案件は、依頼人の人生や企業の命運を左右する重要なものが多く、事務職のミスが大きな影響を及ぼす可能性もあります。特に、裁判の期日管理や書類作成における正確性は非常に重要であり、常に緊張感を持って業務に取り組む必要があります。これにより、精神的なプレッシャーを感じることもあるでしょう。
また、業務の繁忙も考慮すべき点です。訴訟案件や交渉事には突発的な対応が求められることも多く、時期によっては残業が増えたり、休日出勤が必要になるケースもあります。特に、弁護士が複数の案件を抱えている場合、事務職も同時に多くの業務を並行して進める必要があり、効率的な時間管理能力が求められます。
最後に、守秘義務の徹底は法律事務所で働く上で最も重要なルールのひとつです。依頼人の個人情報や案件に関する機密情報を扱うため、情報漏洩は絶対に許されません。常に高い倫理観を持ち、厳重な情報管理を徹底する必要があります。
未経験から法律事務所への転職は可能か

「法律事務所での勤務経験がないけれど、転職はできるのだろうか?」という疑問は、一般事務職から法律事務所への転職を考える多くの方が抱くものです。結論から言うと、未経験からの転職は十分に可能です。ただし、どのような事務所が未経験者を受け入れやすいのか、また一般事務の経験がどのように評価されるのかを理解しておくことが重要です。
未経験でも採用される法律事務所のケース
未経験者を積極的に採用する法律事務所には、いくつかの共通した特徴が見られます。ご自身の経験や強みを踏まえ、どのような事務所がマッチするかを検討しましょう。
- 中小規模の法律事務所や個人事務所:
大手法律事務所に比べ、教育体制が整っていないこともありますが、その分、個人のポテンシャルや成長意欲を重視する傾向があります。少人数のため、一から業務を教える時間や体制がある場合も多く、アットホームな雰囲気で学びやすい環境であることも少なくありません。 - 人手不足の事務所:
急募案件の場合、即戦力となる経験者が見つかりにくい状況であれば、基本的な事務処理能力と意欲のある未経験者を積極的に採用するケースがあります。入所後にOJT(On-the-Job Training)で業務を習得していくことを前提としています。 - 特定の専門分野に特化していない総合法律事務所:
幅広い分野の案件を扱う総合法律事務所では、特定の専門知識よりも、汎用的な事務処理能力や柔軟な対応力が求められることがあります。多様な業務に触れることで、法律事務の全体像を把握しやすく、自身の適性を見極める機会にもなります。 - 育成に力を入れている事務所:
長期的な視点で人材を育成しようと考えている事務所では、未経験者でも丁寧に指導し、成長をサポートする体制を整えていることがあります。このような事務所は、採用情報に「未経験者歓迎」「育成プログラムあり」といった記載があることが多いです。
一般事務の経験者が法律事務所で優遇される点
一般事務職で培ってきたスキルや経験は、法律事務所の事務職として働く上で非常に大きな強みとなります。法律事務所の事務職は、専門的な法律知識が必要とされる一方で、一般的な事務処理能力が業務の基盤となるためです。
法律事務所で特に評価される一般事務のスキル
スキル項目 | 一般事務での経験 | 法律事務所での活かし方 |
---|---|---|
文書作成能力 | 報告書、企画書、案内文などの作成経験 | 訴状、準備書面、契約書、通知書などの法的文書の作成補助。正確で分かりやすい文章を作成する能力は必須です。 |
データ管理・整理能力 | 顧客データ、売上データ、在庫データなどの入力・管理、ファイリング | 案件情報、依頼者情報、証拠資料などの膨大な情報の整理、管理、検索。機密性の高い情報を正確に扱う能力が求められます。 |
電話・来客応対スキル | 企業内外からの問い合わせ対応、来客対応、会議室手配など | 依頼者、裁判所、他士業、取引先などからの電話対応や来客対応。丁寧な言葉遣いやビジネスマナーは、事務所の印象を左右します。 |
スケジュール・タスク管理能力 | 会議室予約、出張手配、締め切り管理、複数業務の並行処理 | 弁護士の期日管理、裁判所の締め切り管理、自身のタスクの優先順位付けと遂行。正確な期日管理は、業務遂行に不可欠です。 |
PCスキル | Word、Excel、PowerPointの基本操作、メール、インターネット検索 | 各種文書作成、データ入力・集計、情報検索、電子申請など。法律事務所ではPCを使った業務が中心となるため、基本的な操作は必須です。 |
コミュニケーション能力 | 社内外の関係者との連携、情報共有 | 弁護士との連携、依頼者からのヒアリング、裁判所や関係機関とのやり取りなど、円滑な業務遂行に欠かせません。 |
これらのスキルは、法律事務所の業務において日々の基盤となるものです。一般事務で培った「正確性」「丁寧さ」「効率性」といった意識は、法律事務においても非常に高く評価されます。特に、機密性の高い情報を扱う法律事務所では、情報管理に対する意識の高さも重要な要素となります。
未経験から法律事務所への転職を目指す際は、これらの汎用的な事務スキルを具体的にアピールし、法律事務所でどのように貢献できるかを明確に伝えることが成功の鍵となります。
法律事務所の事務職に求められるスキルと資格

法律事務所の事務職として働く上で、どのようなスキルや資格が求められるのかは、転職を検討する上で非常に重要なポイントです。ここでは、必須となる基本的な能力から、転職に有利となる専門知識や資格までを具体的に解説します。
必須となる基本的なPCスキルとコミュニケーション能力
法律事務所の事務職は、多岐にわたる業務を効率的にこなすために、高いPCスキルと円滑なコミュニケーション能力が不可欠です。これらは一般企業の事務職で培った経験がそのまま活かせる部分でもあります。
PCスキル:業務効率を左右する基本中の基本
法律事務所では、日々膨大な書類作成やデータ管理が発生します。そのため、以下のPCスキルは必須と言えるでしょう。
スキル項目 | 具体的な内容 | 求められるレベル |
---|---|---|
Word | 訴状、準備書面、契約書、内容証明郵便などの文書作成、書式設定、差込印刷 | ビジネス文書作成経験があり、複雑な書式設定にも対応できるレベル |
Excel | 依頼者情報や事件進捗の管理、簡単なデータ集計、表作成、グラフ作成 | 基本的な関数(SUM, AVERAGEなど)が使え、データの整理・集計ができるレベル |
Outlook(メールソフト) | メールの送受信、スケジュール管理、タスク管理、連絡先管理 | ビジネスメールの送受信に慣れており、効率的なメール管理ができるレベル |
タイピング速度・正確性 | 弁護士の指示を正確に文書化し、迅速に作成する能力 | 正確かつスピーディーな入力が可能であること |
専門システムへの適応力 | 判例検索システム、法務データベース、事件管理システムなど、事務所独自のシステム操作 | 新しいシステムやソフトウェアに対して、抵抗なく積極的に学ぶ姿勢 |
特に、Wordでの正確な文書作成能力は、法律事務所の業務において最も重要視されるスキルの一つです。誤字脱字はもちろん、書式や引用ルールなど、細部まで気を配る几帳面さが求められます。
コミュニケーション能力:円滑な業務遂行の鍵
法律事務所の事務職は、単にデスクワークを行うだけでなく、多くの人々と関わる機会があります。そのため、以下のようなコミュニケーション能力が求められます。
- 依頼者対応能力:電話や来客応対において、丁寧かつ共感的な態度で接し、依頼者の不安を和らげ、正確な情報を聞き出す能力。守秘義務を徹底し、個人情報を適切に扱う意識も不可欠です。
- 弁護士・所内スタッフとの連携:弁護士の指示を正確に理解し、報連相(報告・連絡・相談)を密に行い、チームとして円滑に業務を進める能力。多忙な弁護士のスケジュールを管理し、サポートする調整力も求められます。
- 外部関係者とのやり取り:裁判所、検察庁、公証役場、金融機関、他士業(司法書士、税理士など)との連絡や書類のやり取りにおいて、礼儀正しく、正確な情報伝達ができる能力。
- 状況判断力と臨機応変な対応力:予期せぬ事態や緊急の依頼に対し、冷静に状況を判断し、適切な対応をとる能力。
これらの能力は、一般事務職で培った経験が非常に役立つため、転職時の大きなアピールポイントとなります。
法律知識や資格は転職に有利か
「法律事務所で働くのだから、法律知識が必須なのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、結論から言えば、未経験から法律事務所の事務職に転職することは十分に可能です。ただし、法律知識や関連資格を持っていると、転職活動において有利に働く場合があります。
法律知識の必要性と学習意欲
法律事務所の事務職は、専門的な法律知識を直接的に駆使するパラリーガルや弁護士とは異なります。しかし、業務を進める上で、事件の内容や法律用語をある程度理解していると、弁護士との連携がスムーズになり、業務の質も向上します。
未経験の場合でも、採用において最も重視されるのは、法律分野への強い関心と、入所後に積極的に学習し、知識を吸収していく意欲です。多くの法律事務所では、OJT(On-the-Job Training)を通じて実務に必要な知識を教えてくれるため、前向きな姿勢が評価されます。
転職に有利な資格
法律事務所の事務職に必須の資格はありませんが、以下のような資格は、あなたのスキルや学習意欲を客観的に証明し、転職活動において有利に働く可能性があります。
種類 | 資格名 | 評価されるポイント |
---|---|---|
法律関連 | 法律事務職員能力認定試験 | 法律事務の実務知識(民事訴訟、家事事件、倒産事件など)を体系的に習得していることを証明します。法律事務への高い意欲と適性を示すことができます。 |
法律関連 | ビジネス実務法務検定試験 | 企業活動における基本的な法務知識(民法、商法、会社法など)を身につけていることを証明します。法律への関心や学習能力をアピールできます。 |
事務・PC関連 | 秘書検定 | ビジネスマナー、文書作成能力、接遇スキルなど、事務職として必要な総合的なビジネススキルを証明します。 |
事務・PC関連 | MOS(Microsoft Office Specialist) | WordやExcelなどのMicrosoft Office製品の操作スキルを客観的に証明できます。実務で求められるPCスキルをアピールするのに最適です。 |
その他 | 日商簿記検定 | 事務所によっては経理業務を事務職が担当する場合があるため、簿記の知識は業務の幅を広げる点で評価されることがあります。 |
これらの資格は、あくまで「あれば有利」なものであり、必須ではありません。資格がなくても、一般事務で培った「正確性」「責任感」「マルチタスク能力」「情報管理能力」といった基礎的な事務スキルと、法律事務への強い意欲をアピールすることで、十分に転職のチャンスをつかむことができます。
法律事務所の事務職の給与とキャリアパス

法律事務所の事務職への転職を検討する上で、給与水準や将来のキャリアパスは非常に重要な要素です。一般企業の事務職とは異なる専門性を持つため、給与体系やキャリアの選択肢にも特徴があります。ここでは、法律事務所で働く事務職の給与の実情と、描けるキャリアプランについて詳しく解説します。
法律事務所でのキャリアアップの可能性
法律事務所の事務職は、単なるルーティンワークにとどまらず、多様なキャリアパスを描くことが可能です。専門性を高めることで、自身の市場価値を向上させ、より責任のあるポジションや高待遇での転職も視野に入れることができます。
事務職としての専門性向上
まずは、事務職として法律事務全般の知識とスキルを深めることが基本です。民事事件、刑事事件、企業法務、相続、離婚など、特定の専門分野に特化した知識を習得することで、その分野のエキスパートとして重宝されます。例えば、企業法務を扱う事務所でM&Aに関する書類作成やデューデリジェンスのサポート経験を積むことで、より専門性の高い事務職としてキャリアを築けます。
パラリーガルへのキャリアチェンジ
法律事務所の事務職として経験を積んだ後、パラリーガルへのキャリアチェンジを目指す人も少なくありません。パラリーガルは、弁護士の指示のもと、法律専門知識を活かして法律事務をサポートする専門職です。訴訟書類の作成、法律調査、顧客対応など、より高度で専門的な業務に携わることができます。パラリーガルになるための公的な資格はありませんが、法律系の資格(行政書士、司法書士など)の取得や、法律事務所での実務経験が重視されます。
事務長・管理職への昇進
大規模な法律事務所や、複数の弁護士が所属する事務所では、事務長や事務部門の管理職への昇進の道も開かれています。事務長は、事務所全体の事務業務の統括、スタッフのマネジメント、経理、総務など、事務所運営に関わる幅広い業務を担当します。このポジションは、長年の実務経験とマネジメント能力、高いコミュニケーション能力が求められますが、給与水準も高くなります。
経験を活かした転職
法律事務所での事務経験は、他の法律事務所や、企業の法務部、特許事務所、司法書士事務所など、法律関連の専門職を求める他業種への転職にも有利に働きます。特に、特定の専門分野での実務経験や、高度なPCスキル、コミュニケーション能力は、転職市場において高く評価されます。より良い条件や、自身のキャリアプランに合った職場を求めて、経験を活かした転職を選ぶことも有効なキャリアパスです。
法律事務所の事務職は、自身の努力と学習意欲次第で、専門性を高め、多様なキャリアを築ける魅力的な職種と言えるでしょう。
法律事務所への転職活動の具体的な進め方

一般事務職から法律事務所への転職は、適切な準備と戦略があれば成功の可能性を高められます。ここでは、求人情報の探し方から面接対策まで、具体的なステップを解説します。
法律事務所の求人情報の探し方と情報収集
法律事務所の求人は、一般企業とは異なる経路で募集されることもあります。効率的な情報収集が成功の鍵となります。
専門の転職エージェントを活用する
法律業界に特化した転職エージェントは、一般には公開されていない非公開求人を多数保有しており、あなたの経験や希望に合った事務所を紹介してくれます。また、応募書類の添削や面接対策、給与交渉までサポートしてくれるため、転職活動の強力な味方となります。
- MS-Japan
- リーガルブライト
- C&Rリーガルエージェンシー
これらのエージェントは、法律事務所の採用ニーズや求める人物像を熟知しているため、的確なアドバイスが期待できます。
一般の転職サイトや求人情報サイト
リクナビNEXTやマイナビ転職、dodaといった大手転職サイトでも、法律事務所の求人が掲載されることがあります。「事務」「法律事務所」「パラリーガル補助」などのキーワードで検索してみましょう。また、法律業界に特化した求人情報サイトも存在します。
- 弁護士ドットコムキャリア
- リーガルジョブボード
これらのサイトでは、法律事務所の求人が専門的に集約されており、探しやすいのが特徴です。
弁護士会や司法書士会の求人情報
各地域の弁護士会や司法書士会が、会員向けの求人情報を掲載している場合があります。一般にはあまり知られていないルートですが、地域密着型の法律事務所の求人を見つけるチャンスがあります。
法律事務所の公式ウェブサイト
関心のある法律事務所があれば、その公式ウェブサイトの採用情報を直接確認してみましょう。求人サイトには掲載されていない独自の募集を行っているケースもあります。事務所の理念や専門分野、雰囲気などを事前に把握する上でも役立ちます。
履歴書と職務経歴書の書き方 法律事務所向け
書類選考を突破するためには、法律事務所の採用担当者の目に留まる履歴書と職務経歴書を作成することが重要です。一般事務の経験を法律事務にどう活かせるかを明確に示しましょう。
一般事務経験を法律事務所向けにアピールするポイント
法律事務所の事務職に求められるスキルは、一般事務職で培われるものと共通点が多くあります。特に以下の点を強調して記述しましょう。
- 正確性と丁寧さ:書類作成、データ入力、ファイリングなど、正確な事務処理能力は法律事務所で最も重視されます。
- PCスキル:Wordでの文書作成、Excelでのデータ管理、PowerPointでの資料作成など、具体的な使用経験とレベルを明記します。
- コミュニケーション能力:依頼者や弁護士、他士業との円滑な連携に必要な能力です。電話応対や来客対応の経験もアピールポイントになります。
- 情報管理能力・守秘義務意識:機密性の高い情報を扱うため、情報管理の徹底や守秘義務の重要性を理解していることを示します。
- マルチタスク能力:複数の案件を並行して処理する能力や、優先順位をつけて業務を遂行する能力も評価されます。
職務経歴書で実績を具体的に示す
職務経歴書では、単に業務内容を羅列するだけでなく、具体的な実績や成果を数値やエピソードを交えて記述しましょう。例えば、「〇〇の業務効率を〇%改善した」「〇〇システムの導入に貢献した」など、課題解決能力や業務改善への貢献を示すことで、あなたのポテンシャルをアピールできます。
法律事務所で求められるスキルと、一般事務経験で培われたスキルの対応表を作成し、視覚的にアピールすることも有効です。
法律事務所で求められるスキル | 一般事務経験でのアピールポイント |
---|---|
正確な書類作成・管理 | 請求書作成、契約書管理、データ入力、ファイリングなどの業務で培った細部への注意と正確性 |
PCスキル(Word, Excel, PowerPoint) | 報告書作成、データ集計、プレゼン資料作成などでの高度なPC操作能力 |
コミュニケーション能力 | 顧客対応、電話応対、部署内連携、社外との調整業務で培った円滑な対人スキル |
情報管理・守秘義務意識 | 個人情報や機密情報を扱う業務での情報セキュリティ意識と責任感 |
マルチタスク・優先順位付け | 複数のプロジェクトやタスクを並行して進めた経験、緊急性の高い業務への対応力 |
ホスピタリティ・気配り | 来客応対、社内イベント運営などで発揮した相手への配慮とサポート力 |
志望動機と自己PRのポイント
志望動機と自己PRは、あなたの熱意と適性を伝える重要な項目です。なぜ法律事務所で働きたいのか、そしてあなたのどのような経験や強みが貢献できるのかを具体的に述べましょう。
志望動機:なぜ法律事務所なのか、なぜその事務所なのか
単に「法律に興味がある」だけでなく、「なぜ法律事務の仕事に魅力を感じるのか」、そして「なぜその特定の法律事務所を選んだのか」を具体的に語ることが重要です。事務所の専門分野、理念、社会貢献活動などに触れ、入所への強い意欲と理解度を示しましょう。
- 社会貢献への意欲:法律を通じて人々の困り事を解決する仕事に携わりたいという熱意。
- 専門性への関心:法律事務の専門的な知識やスキルを習得し、キャリアアップしたいという意欲。
- 事務所への共感:応募先の法律事務所の専門分野(例:企業法務、離婚問題、交通事故など)や、社会貢献への取り組みに共感した点を具体的に述べる。
「一般事務の経験を通じて培った〇〇のスキルを、貴所の〇〇という業務で活かし、貢献したいと考えております」といった形で、これまでの経験と応募先の業務を結びつけると説得力が増します。
自己PR:あなたの強みと法律事務所での貢献
自己PRでは、あなたの強みが法律事務所の業務にどのように貢献できるかを具体的に示します。前述の「履歴書と職務経歴書の書き方」で挙げたような、一般事務で培った正確性、PCスキル、コミュニケーション能力、情報管理能力などを具体的なエピソードを交えてアピールしましょう。
例えば、「前職では、複数の部署からの依頼を並行して処理する中で、常に優先順位を明確にし、正確かつ迅速に業務を遂行してまいりました。この経験は、複数の案件を同時に管理し、期限厳守で対応が求められる法律事務所の事務職において、必ずお役に立てると確信しております。」のように、具体的な行動と結果、そして法律事務所での貢献を結びつけます。
法律事務所の面接対策
面接は、あなたの人柄やコミュニケーション能力が評価される場です。事前の準備をしっかり行い、自信を持って臨みましょう。
想定される質問と回答の準備
法律事務所の面接でよく聞かれる質問と、その回答のポイントを事前に準備しておきましょう。
- 志望動機:なぜ法律事務所なのか、なぜこの事務所なのかを具体的に。
- 転職理由:前職での不満ではなく、法律事務所で何をしたいかという前向きな理由を伝える。
- 一般事務の経験で活かせること:正確性、PCスキル、コミュニケーション能力、情報管理能力などを具体例を交えてアピール。
- 法律知識の有無:未経験でも正直に伝え、学習意欲を示す。「入所後も積極的に学び、業務に貢献したい」といった姿勢が重要です。
- ストレス耐性:法律事務所は時に多忙になるため、どのようにストレスに対処するかを問われることがあります。
- 守秘義務への理解:個人情報や機密情報を扱う業務のため、守秘義務の重要性を理解していることを明確に伝える。
逆質問で入社意欲と適性をアピール
面接の最後に「何か質問はありますか?」と聞かれた際に、具体的な逆質問をすることで、入社への意欲や仕事への関心の高さをアピールできます。単なる福利厚生に関する質問ではなく、業務内容、キャリアパス、教育体制、事務所の雰囲気などに関する質問を準備しましょう。
- 「入所後、具体的にどのような研修制度がありますか?」
- 「事務職の方々のキャリアパスについてお聞かせいただけますでしょうか?」
- 「貴所が特に重視している事務職の役割は何でしょうか?」
- 「チームで仕事を進める上で、特に大切にされていることは何ですか?」
これらの質問を通じて、入社後の貢献意欲や長期的なキャリア形成への関心を示すことができます。
面接時のマナーと服装
清潔感のあるビジネススーツを着用し、髪型やメイクも控えめに整えましょう。入室・退室時の挨拶や、丁寧な言葉遣い、相手の目を見て話すなどの基本的なマナーも重要です。また、面接官の話を傾聴する姿勢も忘れずに示しましょう。
法律事務所の種類と自分に合った選び方

法律事務所への転職を検討する際、どのような事務所を選ぶかは、あなたの働き方やキャリアパスに大きく影響します。法律事務所には様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。ここでは、主な法律事務所の種類と、自分に合った事務所を見つけるためのポイントを解説します。
個人事務所と大規模事務所の違い
法律事務所は、その規模によって「個人事務所」と「大規模事務所(いわゆる大手法律事務所や中堅法律事務所)」に大別されます。それぞれの特徴を理解することで、あなたがどのような環境で働きたいのか、どのような働き方が合っているのかを具体的にイメージしやすくなります。
項目 | 個人事務所の特徴 | 大規模事務所の特徴 |
---|---|---|
規模(弁護士数・従業員数) | 弁護士数1~数名、事務員数も少数で構成されることが多いです。アットホームな雰囲気が特徴です。 | 数十名から数百名規模の弁護士が在籍し、事務員も多数勤務しています。組織的な運営がされています。 |
取扱案件の種類 | 一般民事事件(交通事故、離婚、相続など)や刑事事件など、個人からの依頼を幅広く扱う傾向があります。地域密着型で、様々な分野の案件に触れる機会が多いでしょう。 | 企業法務(M&A、労務、知的財産、コンプライアンスなど)や国際法務といった専門性の高い案件を扱うことが多く、特定の分野に特化しているケースが目立ちます。 |
業務の進め方 | 弁護士と事務員との距離が近く、個々の裁量が大きい傾向があります。多様な業務を任されることが多く、ジェネラリストとしてのスキルが磨かれます。 | 業務が細分化・システム化されており、マニュアルに基づいた分業体制が整っていることが多いです。特定の専門分野で深い知識と経験を積むことができます。 |
職場の雰囲気 | アットホームで家族的な雰囲気が多く、弁護士や他の事務員との距離が近いため、密なコミュニケーションが取れます。 | 組織的でプロフェッショナルな雰囲気が強く、チームで連携して業務を進めることが重視されます。 |
給与・待遇 | 事務所の経営状況や弁護士の考え方によって変動が大きく、福利厚生が手薄な場合もあります。昇給も個別の評価による部分が大きいです。 | 一般的に、給与水準が安定しており、福利厚生も充実している傾向があります。評価制度や昇給制度が明確な場合が多いです。 |
キャリアパス | 幅広い業務を経験し、法律事務全般の知識を深めることができます。将来的にパラリーガルへの転身や、独立したキャリアを考えることも可能です。 | 特定の専門分野におけるスペシャリストとしてキャリアを築くことができます。大規模事務所ならではの研修制度やキャリアアップの機会も期待できます。 |
どちらの事務所が「良い」というわけではなく、あなたの性格、キャリアプラン、求める働き方によって最適な選択は異なります。幅広い業務に携わりたい、アットホームな環境で働きたい場合は個人事務所が、特定の分野で専門性を高めたい、安定した環境で働きたい場合は大規模事務所が向いていると言えるでしょう。
専門分野による法律事務所の特徴
法律事務所は、取り扱う法律分野によってもその特徴が大きく異なります。自分が興味を持てる分野や、これまでの経験が活かせる分野を選ぶことで、仕事へのモチベーションを高く維持し、専門性を深めることができます。
主な専門分野と、それに伴う事務職の業務内容の傾向を以下に示します。
一般民事・家事事件を扱う事務所
交通事故、離婚、相続、不動産トラブル、債務整理など、個人のお客様からの身近な法律問題を扱う事務所です。地域に根ざした個人事務所に多い形態です。
- 事務職の業務傾向:依頼者とのきめ細やかなコミュニケーションが求められます。書類作成も多岐にわたり、裁判所への提出書類、示談交渉に関する書類、遺産分割協議書など、様々な書面作成補助を行います。共感力や相手の心情を理解する力が重要になります。
企業法務を扱う事務所
企業のM&A(合併・買収)、労務問題、知的財産権、コンプライアンス、契約書作成・レビューなど、企業活動全般に関わる法律問題を扱う事務所です。大規模事務所に多く見られます。
- 事務職の業務傾向:企業間の取引に関する書類作成、契約書の管理、英文書類の処理(国際法務の場合)、取締役会議事録の作成補助など、ビジネスに関する専門知識や、正確性、スピードが求められます。
刑事事件を扱う事務所
被疑者・被告人の弁護、被害者支援など、刑事事件に特化して扱う事務所です。個人事務所、あるいは刑事事件専門の事務所で見られます。
- 事務職の業務傾向:勾留されている被疑者との面会手配、接見交通に関する書類作成、証拠収集の補助など、迅速な対応と、高い倫理観、守秘義務の徹底が特に求められます。
倒産・再生案件を扱う事務所
企業の倒産処理(破産、民事再生など)や個人の債務整理(自己破産、個人再生など)を専門に扱う事務所です。
- 事務職の業務傾向:債権者集会資料の作成補助、財産目録の作成、債権者への通知発送など、複雑な手続きと大量の書類を正確に処理する能力が求められます。
これらの専門分野の中から、あなたが「どのような仕事に貢献したいか」「どのような知識を深めたいか」を考えることが、転職先選びの重要な鍵となります。自身の興味や、一般事務として培ってきたスキルが活かせる分野を見つけることで、転職後の満足度を高めることができるでしょう。
一般事務の経験を法律事務所の転職に活かす方法

共通する事務スキルをアピールする
一般企業の事務職で培ったスキルは、法律事務所の事務職でも大いに役立ちます。一見異なる業界に見えても、事務処理の基本やビジネスコミュニケーションの重要性は共通しています。特に以下のスキルは、法律事務所への転職において強力なアピールポイントとなります。
一般事務で培ったスキル | 法律事務所での活かし方 |
---|---|
PCスキル(Word, Excel, PowerPointなど) | 契約書や訴訟関連書類の作成、データ入力、資料作成など、正確かつ迅速な文書作成能力は法律事務において不可欠です。Excelでの顧客データ管理や、PowerPointでの説明資料作成も役立ちます。 |
コミュニケーション能力 | 依頼者からの電話応対や来客対応、弁護士や他の士業との連携、裁判所・関係機関との連絡など、円滑なコミュニケーションは法律事務所の業務遂行に欠かせません。依頼者の不安に寄り添い、正確な情報を伝える能力が求められます。 |
情報管理・整理能力 | 膨大な証拠書類、顧客情報、進捗状況の管理は法律事務所の生命線です。書類のファイリング、データ入力、情報検索の効率化など、正確かつ体系的な情報管理能力は業務の効率化に直結します。 |
スケジュール管理能力 | 裁判の期日、弁護士の面談・会議予定、書類提出期限など、法律事務所では厳格な期日管理が求められます。複数の案件を並行して管理し、優先順位をつけて業務を進める能力は非常に重要です。 |
正確性・丁寧さ | 契約書や訴訟書類、請求書など、作成する文書にはわずかな誤りも許されません。細部まで気を配り、誤りのない業務を遂行する正確性と、依頼者や関係者への丁寧な対応は、法律事務所の信頼性を高めます。 |
ビジネスマナー | 電話応対、来客応対、メール作成など、一般企業で培った基本的なビジネスマナーは、法律事務所でもそのまま活かせます。特に依頼者や裁判所関係者への適切な対応は、事務所の印象を大きく左右します。 |
一般事務の経験を強みとして見せる具体例
単に「PCスキルがあります」と伝えるだけでなく、具体的なエピソードを交えてアピールすることで、あなたの経験が法律事務所でどのように活かせるかを明確に伝えられます。履歴書や職務経歴書、面接で話す際の参考にしてください。
PCスキルを活かした例
「前職では、Excelを用いて顧客データの集計・分析を行い、業務効率を20%向上させた経験があります。この経験を活かし、法律事務所においてもデータ管理の効率化や、迅速な資料作成に貢献したいと考えております。」
コミュニケーション能力を活かした例
「お客様からの問い合わせに対し、複雑な内容を分かりやすく説明し、顧客満足度向上に貢献しました。法律事務所では、依頼者の方が抱える不安や疑問に対し、寄り添いながら丁寧な説明を行うことで、信頼関係の構築に貢献できると確信しております。」
情報管理・整理能力を活かした例
「前職では、散乱していた紙媒体の資料を電子化し、独自のファイリングシステムを構築しました。これにより、必要な情報を迅速に検索できるようになり、業務のスピードアップに貢献しました。法律事務所においても、膨大な資料の管理を効率的に行い、弁護士の業務をサポートしたいです。」
スケジュール管理能力を活かした例
「複数のプロジェクトを並行して担当し、それぞれの納期を厳守しながら業務を遂行してきました。特に、突発的なタスクが発生した際も、優先順位をつけ、関係者と連携しながら柔軟に対応する能力を培いました。法律事務所の期日管理の重要性を理解し、正確なスケジュール管理で貢献いたします。」
正確性・丁寧さを活かした例
「経理事務として、日々数値の正確性を徹底し、入力ミスゼロを継続しました。また、社内文書の作成においても、誤字脱字がないか複数回チェックを行う習慣が身についております。法律事務所の業務では高い正確性が求められると認識しており、私の強みである丁寧な作業で貢献できると考えております。」
ビジネスマナーを活かした例
「前職では、企業の受付業務を担当し、毎日多数の来客対応や電話応対を通じて、丁寧かつ臨機応変なビジネスマナーを習得しました。法律事務所においても、依頼者の方々が安心して相談できるような、きめ細やかな対応で貢献したいと考えております。」
これらの具体例を参考に、あなたの一般事務での経験を法律事務所のニーズに合わせて再構築し、効果的にアピールすることが転職成功の鍵となります。
まとめ

一般企業の事務職から法律事務所への転職は、一見すると大きな壁があるように感じるかもしれません。しかし、本記事で解説したように、あなたの持つ一般事務の経験は、法律事務所の事務業務において大いに活かせる共通のスキルや強みとなります。未経験からでも、法律事務所はポテンシャルを重視して採用するケースも多く、専門知識は入社後に習得可能です。法律事務の専門性とやりがいは、あなたのキャリアに新たな可能性をもたらすでしょう。この記事が、法律事務所への転職という新たな挑戦への一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

プロスパイア法律事務所メディア編集部
2024年4月に開業した法律事務所。ベンチャー企業法務、インターネット・IT企業法務、風評被害対策法務、インフルエンサー法務等を中心に幅広いサービスを提供しており、半蔵門駅徒歩1分の千代田区一番町に事務所を構えている。