法律事務所でのインターンシップを最大限に活かしたいと考えている方へ。貴重な実務経験を単なる作業で終わらせず、将来のキャリアに繋げるための具体的な方法をこの記事では解説します。漠然とした不安を抱えたままインターンに臨むのではなく、目的意識を明確にすることで、主体的に行動し、学びを深めることができます。
本記事では、事前準備からインターンシップ中の心構え、終了後のフォローアップまで、5つのステップに分けて、具体的な行動指針と、その理由を解説します。弁護士や司法書士、パラリーガルなど、法律業界を目指す学生はもちろん、将来のキャリアパスに悩んでいる方にも役立つ内容です。
この記事を読み終える頃には、あなたも充実したインターンシップを送るための準備が万全になっているはずです。
Point1:法律事務所インターンの目的を明確にする

法律事務所でのインターンシップは、貴重な経験を得るための絶好の機会です。しかし、漫然と過ごしていては、その価値を最大限に活かすことはできません。インターンシップを有意義なものにするためには、まず目的を明確にすることが重要です。目的意識を持つことで、積極的に行動し、多くの学びを得ることができるでしょう。
なぜインターンシップに参加するのか?
インターンシップに参加する理由は人それぞれです。将来、法律家を目指している学生にとっては、法律事務所の実際の業務を体験し、弁護士の仕事内容を理解する貴重な機会となるでしょう。また、法律事務所の雰囲気や仕事の進め方を肌で感じることで、将来のキャリアプランを考える上での重要な判断材料を得ることができます。既に法律家を目指すと決めている人にとっては、実務経験を積むことで、大学で学んだ法律知識をどのように実践で活かすかを学ぶことができるでしょう。さらに、様々な分野の法律に触れることで、自分の興味のある分野を見つけるきっかけにもなります。
法律家を目指していない学生にとっても、インターンシップは有益です。ビジネスの現場を体験することで、ビジネスにおける法務の重要性を理解し、ビジネスパーソンとしてのスキルアップに繋げることができます。また、論理的思考力やコミュニケーション能力など、社会で必要とされるスキルを磨く場としても有効です。さらに、様々なバックグラウンドを持つ弁護士やスタッフと交流することで、多様な価値観に触れ、視野を広げることも期待できます。
参加目的の例 | 具体的な行動 |
---|---|
法律事務所の業務内容を理解する | 様々な部署の業務を見学させてもらう、弁護士に仕事内容について質問する |
実務経験を積む | 事件記録の整理、法律調査、裁判傍聴など、できる範囲で積極的に業務に関わる |
興味のある分野を見つける | 様々な分野の事件を担当する弁護士に話を聞く、関連書籍を読む |
ビジネスにおける法務の重要性を理解する | 契約書の作成やレビュー、コンプライアンスに関する業務に関わる |
論理的思考力やコミュニケーション能力を磨く | 弁護士やスタッフとの議論、クライアントとの面談への同席 |
目標設定の重要性
インターンシップの目的が明確になったら、次に具体的な目標を設定しましょう。目標を設定することで、インターンシップ期間中の活動に方向性とモチベーションが生まれます。目標は、具体的で測定可能なものであることが重要です。例えば、「法律事務所の業務を理解する」という漠然とした目的ではなく、「民事事件の処理の流れを理解する」「3件の裁判傍聴を行う」といった具体的な目標を設定することで、より効果的に行動することができます。
設定した目標は、定期的に進捗状況を確認し、必要に応じて修正していくことが大切です。インターンシップを通して新たな発見や気づきがあれば、柔軟に目標を変更していくことで、より有意義な経験を得ることができるでしょう。目標達成のためには、積極的に行動し、自ら学ぶ姿勢が不可欠です。周りの弁護士やスタッフに積極的に質問したり、関連書籍を読んだりすることで、目標達成に近づけるはずです。
Point2:積極的に業務に取り組む

法律事務所のインターンシップは、机上の学習だけでは得られない実践的な経験を積む貴重な機会です。限られた期間で最大限の学びを得るためには、指示待ちの姿勢ではなく、自ら積極的に業務に取り組む姿勢が重要です。積極的に行動することで、より多くの経験を積み、自身の成長へと繋げることができます。
指示待ちではなく、自ら行動する
多くの法律事務所では、インターン生に任せられる業務は限られています。しかし、「与えられた業務だけをこなす」のではなく、「他に何かできることはないか」と常に考え、自ら行動を起こすことが重要です。例えば、弁護士や事務スタッフが忙しそうにしている場合は、「何かお手伝いできることはありますか?」と声をかけてみましょう。たとえ小さなタスクであっても、積極的に取り組む姿勢は高く評価されます。また、自分から課題を見つけて提案することも有効です。例えば、事務所のウェブサイトに改善点があれば、具体的な提案をしてみるのも良いでしょう。自ら行動することで、より多くの学びを得られるだけでなく、主体性や問題解決能力をアピールすることができます。
疑問点は積極的に質問する
法律事務所の業務は、専門知識や経験が必要なものが多く、インターン生にとって分からないことが多くあるのは当然です。疑問点をそのままにせず、積極的に質問することで、理解を深め、よりスムーズに業務を進めることができます。質問する際には、事前に自分で調べてみることも大切です。自分で調べて考えた上で質問することで、より深い理解につながり、弁護士や事務スタッフの時間を無駄にすることもありません。また、質問する際は、具体的に質問することを心がけましょう。「この書類についてよく分かりません」ではなく、「この書類の3ページ目のこの部分について、〇〇という意味でしょうか?」のように、具体的に質問することで、的確な回答を得やすくなります。そして、メモを取りながら聞くことで、同じ質問を繰り返すことを防ぎ、効率的に学ぶことができます。
小さな仕事にも全力で取り組む
コピー取りやファイリング、電話対応など、一見単純な業務でも、法律事務所の運営には欠かせない重要な役割を担っています。これらの小さな仕事にも全力で取り組むことで、責任感や丁寧さをアピールすることができます。また、小さな仕事を通して、法律事務所の全体像を理解する貴重な機会にもなります。例えば、コピーを取る際には、書類の内容に目を通すことで、どのような事件を扱っているのか、どのような手続きが必要なのかを学ぶことができます。また、ファイリングを通して、書類の整理方法や管理方法を学ぶこともできます。どんな仕事にも真剣に取り組む姿勢は、必ず評価につながります。
行動 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
自ら仕事を探す | 主体性をアピールできる、多くの経験を積める | 与えられた業務を疎かにしない |
積極的に質問する | 理解を深める、業務をスムーズに進める | 事前に自分で調べてから質問する、具体的に質問する |
小さな仕事にも全力で取り組む | 責任感をアピールできる、事務所の全体像を理解できる | 丁寧さを心がける、集中力を維持する |
上記のような点に注意し、積極的に行動することで、インターンシップを通して多くのことを学び、自身の成長に繋げることができるでしょう。より多くのことを吸収するために、リーガルスキルなどを参考に、法律事務所の業務について事前に学習しておくこともおすすめです。
Point3:弁護士や事務スタッフと積極的にコミュニケーションを取る

法律事務所でのインターンシップは、単に法律実務を学ぶだけでなく、そこで働く様々な人とコミュニケーションを取る貴重な機会でもあります。積極的にコミュニケーションを取ることで、法律事務所の雰囲気や文化を理解し、多様なキャリアパスについて学び、将来につながる人脈を築くことができます。実務経験に加えて、これらの要素も将来のキャリアを考える上で非常に重要です。
法律事務所の雰囲気を知る
法律事務所にはそれぞれ独自の雰囲気や文化があります。弁護士や事務スタッフとコミュニケーションを取ることで、その事務所の仕事の進め方、弁護士やスタッフの人間関係、事務所全体の雰囲気などを肌で感じることができます。積極的に質問したり、話を聞くことで、自分が将来どのような環境で働きたいかを考えるための材料を得ることができます。例えば、活発な議論が行われる雰囲気なのか、落ち着いた雰囲気なのか、ワークライフバランスは重視されているのかなど、実際に働いている人に話を聞くことで、より具体的なイメージを持つことができるでしょう。弁護士事務所は敷居が高いイメージがあるかもしれませんが、気軽に質問できる雰囲気かどうかを知ることも重要です。
様々なキャリアパスを知る
弁護士は、法曹資格を取得した後のキャリアパスの1つに過ぎません。法律事務所には、弁護士以外にも、パラリーガル、事務スタッフなど、様々な職種の人が働いています。彼らとコミュニケーションを取ることで、それぞれの仕事内容ややりがい、キャリアパスについて知ることができます。例えば、パラリーガルは弁護士の指示の下で法律事務を行う専門職であり、近年需要が高まっています。事務スタッフも、法律事務所の運営を支える重要な役割を担っています。様々なキャリアパスを知ることで、将来の選択肢が広がります。
また、弁護士にも様々な専門分野があります。企業法務、刑事弁護、家事事件など、それぞれの分野で活躍する弁護士と話すことで、各分野の仕事内容や魅力、必要なスキルなどを知ることができます。自分が将来どの分野に進みたいかを考える上で、貴重な情報を得ることができるでしょう。例えば、企業法務に興味がある場合、企業法務を専門とする弁護士に、具体的な仕事内容や必要なスキル、やりがいなどを質問することで、より深く理解することができます。また、自分が想像していた仕事内容と実際の仕事内容に違いがないかを確認することも重要です。
人脈形成のチャンス
法律事務所でのインターンシップは、将来につながる人脈を築く絶好の機会です。弁護士や事務スタッフと積極的にコミュニケーションを取ることで、法律業界で働く人々と繋がりを持つことができます。これは、将来就職活動をする際や、法律の専門家としてのキャリアを築いていく上で、大きな強みとなります。例えば、インターンシップ後に、自分が興味のある分野で活躍する弁護士に連絡を取り、さらに詳しい話を聞く機会を得ることができるかもしれません。また、他のインターン生との交流も大切です。将来、同僚やライバルになる可能性もあるため、積極的にコミュニケーションを取り、良好な関係を築くように心がけましょう。
誰と話すか | 何を聞くか | 得られるもの |
---|---|---|
弁護士 | 仕事内容、専門分野、キャリアパス、必要なスキル、やりがい、仕事とプライベートのバランスなど | 法律実務の理解、キャリアプランの具体化、専門分野の知識、人脈形成 |
パラリーガル | 仕事内容、必要なスキル、弁護士との連携、キャリアパス、やりがいなど | 法律事務の理解、パラリーガルという職業の理解、キャリアプランの具体化 |
事務スタッフ | 仕事内容、法律事務所の運営、弁護士やパラリーガルとの連携、やりがいなど | 法律事務所の運営の理解、事務職の役割の理解、人脈形成 |
上記はあくまで例であり、自分が知りたい情報に合わせて質問内容を変えることが重要です。積極的に質問し、多くのことを吸収することで、インターンシップをより有意義なものにしましょう。
Point4:法律事務所での経験を記録し、振り返る

法律事務所でのインターンシップは、貴重な学びの場です。その経験を最大限に活かすためには、日々の経験を記録し、振り返ることが不可欠です。記録と振り返りによって、漠然とした経験が具体的な学びへと変わり、将来のキャリア形成に役立つ貴重な財産となります。
日報やメモで経験を記録する
経験を記録する最も効果的な方法は、日報やメモを活用することです。日報では、その日に担当した業務内容、学んだこと、感じたことなどを記録します。業務内容だけでなく、どのような法律問題に関わったか、どのような法的思考を用いたかも記録することで、より深い学びにつながります。メモは、日報に書ききれなかった細かな気づきや疑問点、弁護士や事務スタッフとの会話などを記録するのに役立ちます。デジタルツールを活用すれば、検索や整理も容易になります。
記録する際のポイントは以下の通りです。
- 事実と感想を区別する:客観的な事実と主観的な感想を分けて記録することで、冷静な分析が可能になります。
- 具体的な事例を交えて記録する:抽象的な記述ではなく、具体的な事例を交えて記録することで、記憶の定着に役立ちます。
- 5W1Hを意識する:いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように、といった5W1Hを意識して記録することで、情報の整理が容易になります。
経験から得られた学びを分析する
記録した内容を基に、経験から得られた学びを分析しましょう。分析する際には、以下の点を意識すると効果的です。
観点 | 内容 |
---|---|
成功体験 | うまくいったこと、その要因は何か? |
失敗体験 | うまくいかなかったこと、改善点は何か? |
気づき | 新たな発見、疑問点、今後の課題は何か? |
強み・弱み | 自身の強み、弱み、どのように活かせるか? |
例えば、リーガルリサーチを通じて、情報収集能力の重要性を改めて認識できたとします。その場合、どのような情報源を活用したか、どのように情報を分析したか、そして今後どのように情報収集能力を高めていくかを具体的に考察することで、より深い学びへと繋がります。また、弁護士の仕事ぶりを間近で見て、法的知識だけでなく、コミュニケーション能力や交渉力も重要であることに気づいたとします。そうした気づきを記録し、今後のキャリアプランに活かすための具体的な行動目標を立てることが重要です。
今後のキャリアプランに活かす
インターンシップで得られた経験と学びは、今後のキャリアプランに活かさなければ意味がありません。分析結果を基に、自身のキャリアプランを再検討してみましょう。例えば、法律事務所での経験を通じて、企業法務に興味を持ったとします。その場合、企業法務に関する書籍を読んだり、企業法務部に所属する弁護士の話を聞いたりするなど、具体的な行動目標を立て、実行していくことが重要です。また、インターンシップを通じて、弁護士という職業の現実を知り、自身の適性について改めて考える機会にもなります。将来どのような弁護士になりたいのか、どのような分野で活躍したいのか、具体的なビジョンを持つことで、今後の学習意欲向上にも繋がります。
キャリアプランを考える上で、自己分析は非常に重要です。自己分析ツールを活用したり、キャリアカウンセラーに相談したりするのも有効な手段です。
Point5:インターンシップ後のフォローアップを忘れずに

法律事務所でのインターンシップが終了した後も、適切なフォローアップを行うことで、得られた経験を最大限に活かし、将来のキャリアに繋げることができます。単なるお礼にとどまらず、今後の関係構築を意識した行動を心がけましょう。
感謝の気持ちを伝える
インターンシップ終了後、速やかに指導してくださった弁護士や事務スタッフの方々へ、お礼のメールを送信しましょう。お礼状を送付するのも丁寧な印象を与え、好ましいでしょう。具体的にどのようなことを学び、どのような経験が役に立ったのかを伝え、感謝の気持ちを表現することで、相手への真摯な姿勢が伝わり、好印象を与えます。例文を参考に、自分自身の言葉で表現するようにしましょう。
お礼メールの例文
件名:【〇〇法律事務所インターンシップのお礼】〇〇(氏名)です
〇〇法律事務所
弁護士〇〇先生
お世話になっております。
〇〇大学〇〇学部〇〇学科の〇〇(氏名)です。
この度はお忙しい中、貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。
〇〇日から〇〇日までの短い期間ではございましたが、〇〇先生をはじめ、事務所の皆様には大変お世話になり、深く感謝しております。
今回、私は〇〇業務に携わらせていただき、〇〇について学ぶことができました。特に〇〇は、大変貴重な経験となりました。
また、〇〇先生からご指導いただいた〇〇は、今後の学習においても必ず活かしていきたいと考えております。今回のインターンシップで学んだ経験を活かし、今後の学習に励んでまいります。
改めて、この度は本当にありがとうございました。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
〇〇大学〇〇学部〇〇学科 〇〇(氏名)
今後の進路について相談する
インターンシップを通して、法律業界への理解が深まり、今後のキャリアプランについて新たな視点が得られることもあります。弁護士や事務スタッフに今後の進路について相談してみるのも良いでしょう。具体的な質問を用意することで、より有益なアドバイスをもらえる可能性が高まります。例えば、自分が目指すキャリアパスに到達するために必要なスキルや資格、具体的な学習方法などについて質問してみましょう。彼らの経験に基づいた具体的なアドバイスは、今後のキャリアプランを具体的に描く上で貴重な指針となるでしょう。
継続的な関係性を築く
インターンシップ終了後も、関係性を維持していくことは重要です。弁護士や事務スタッフとLinkedInなどのビジネス特化型SNSで繋がりを維持したり、事務所が主催するセミナーやイベントに参加したりすることで、継続的な関係を築くことができます。また、定期的なメールでの近況報告も効果的です。自身の成長や進路に関する情報を共有することで、相手との良好な関係を維持し、将来的なキャリア支援に繋がる可能性も高まります。
アクション | 目的 | 方法 |
---|---|---|
感謝を伝える | 好印象を与え、関係構築の基盤を作る | お礼メール、お礼状 |
進路相談 | キャリアプランの具体化 | 具体的な質問を用意し、弁護士や事務スタッフに相談 |
関係性の維持 | 長期的なキャリア支援 | LinkedIn、セミナー参加、近況報告メール |
これらの取り組みを通じて、インターンシップで得た経験を将来のキャリアに繋げ、法律業界での成功を目指しましょう。フォローアップを効果的に行うことで、単なる一時的な経験で終わらせることなく、自身の成長に繋げることが可能になります。
まとめ

法律事務所でのインターンシップは、将来のキャリアを考える上で貴重な経験となります。この記事では、インターンシップを最大限に活かすための5つのヒントを紹介しました。目的を明確化し、積極的に業務に取り組み、関係者とコミュニケーションを取り、経験を記録・振り返り、そしてフォローアップを行うことで、単なる作業体験ではなく、将来のキャリア形成に繋がる実りあるものとなるでしょう。これらのヒントを実践することで、法律業界への理解を深め、自身の適性を見極め、将来のキャリアプランを明確にするための大きな一歩を踏み出せるはずです。

プロスパイア法律事務所メディア編集部
2024年4月に開業した法律事務所。ベンチャー企業法務、インターネット・IT企業法務、風評被害対策法務、インフルエンサー法務等を中心に幅広いサービスを提供しており、半蔵門駅徒歩1分の千代田区一番町に事務所を構えている。