【広告規制違反FILE】2025年3月25日付けの製薬会社に対する措置命令を弁護士が解説

広告規制違反FILE

連載シリーズ「広告規制違反FILE」では、消費者庁により公表された広告規制違反の摘発事例について、問題の広告表現と違反の理由、処分の内容などについて、弁護士が分かりやすく速報解説をしていきます。

各規制の具体的なNG例として、実際の広告表現で把握することができますので、是非ご参照ください。

命令概要

対象事業者の類型製薬会社
対象事業者の取扱商品サプリメント
措置命令の日2025年3月25日
措置命令の内容① 本件商品の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがあるものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。 
② 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
 ③ 今後、同様の表示を行わないこと。 
公表資料URL【PDF】https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_250325_01.pdf

問題視された表現

問題となった表現の概要

  • モニター募集サイトでモニターを募集し、Instagramで、事業者が指示する方針に沿った投稿を依頼して投稿させた表示について、投稿部分を抜粋して自社サイトに掲載した。

実際の表現

引用:消費者庁の公表資料より抜粋

消費者庁が問題視した点

「第三者が投稿した表示について、ロート製薬が当該第三者に対して依頼した投稿であることを明らかにしておらず、表示内容全体から一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭になっているとは認められないことから、当該表示は、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難であると認められる表示に該当するものであった。」

解説

今回の措置命令は、自社のLP上にユーザーが自主的に投稿したもののように見えるInstagramの投稿画像を掲載していたところ、当該Instagramの投稿は、事業者が依頼して投稿させたものであった、という状況について、いわゆるステマ規制違反となる旨を判断するものです。

景品表示法は、「不当表示」として、以下の3種類の広告を規制しています。

  • 優良誤認表示
  • 有利誤認表示
  • その他一般消費者に誤認されるおそれがある表示として内閣総理大臣の指定するもの

第五条(不当な表示の禁止)

 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。

一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの

不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)

そして、このうち、その他一般消費者に誤認されるおそれがある表示として内閣総理大臣の指定するものとして、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が指定されています。

不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第五条第三号の規定に基づき、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示を次のように指定し、令和五年十月一日から施行する。

一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示 

 事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの

一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示 (令和5年3月28日内閣府告示第19号)

これがいわゆるステマ規制といわれるもので、具体的には、以下の2つの要件を満たす場合、「不当な表示」として広告できないこととなります。

要件1
事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示
要件2
一般消費者が当該表示であることを判別することが困難である

ステルスマーケティングについては以下の法律記事でも詳しく解説していますので、併せてご参照ください。

今回の表示は、事業者のLP(ランディングページ)の一部について問題となったものですが、LP自体は広告であることが客観的に明らかです。

しかし、LP中のInstagramの投稿画像の抜粋に見える部分については、第三者であるユーザーが自身の意思のみで投稿したもののように見えるので、一般消費者からみて広告に見えないものです。ですので、実際にはユーザーによる純粋な投稿ではなく、事業者による働きかけの結果投稿されたものである場合には、別途「事業者が……行う表示」であって、ステマ規制に該当する場合があり得ます。

同様に、LPの中で

  • 体験談
  • ユーザーの声
  • 口コミ

のように見えるものを表示する場合にも、今回の措置命令と同様の問題が生じうるので気をつけましょう。

まとめ

本記事では、2025年3月25日付けの製薬会社に対する措置命令について速報解説をしていきました。

次回以降も、「広告規制違反FILE」では、消費者庁の公表した処分について、随時解説をしていきます。

摘発事例の表現を抑え、NGリストとして把握することで、自社の広告規制違反のリスクを回避しましょう。



本記事の担当

プロスパイア法律事務所
代表弁護士 光股知裕

損保系法律事務所、企業法務系法律事務所での経験を経てプロスパイア法律事務所を設立。IT・インフルエンサー関連事業を主な分野とするネクタル株式会社の代表取締役も務める。企業法務全般、ベンチャー企業法務、インターネット・IT関連法務などを中心に手掛ける。

タイトルとURLをコピーしました