連載シリーズ「広告規制違反FILE」では、消費者庁により公表された広告規制違反の摘発事例について、問題の広告表現と違反の理由、処分の内容などについて、弁護士が分かりやすく速報解説をしていきます。
各規制の具体的なNG例として、実際の広告表現で把握することができますので、是非ご参照ください。
命令概要
対象事業者の類型 | 医療法人社団 |
対象事業者の取扱商品 | 歯列矯正 |
措置命令の日 | 2025年3月17日 |
措置命令の内容 | ①問題となった各表示が、いわゆるステマ規制違反の表示である旨を一般消費者に周知徹底すること ②再発防止策を講じ、役員従業員に周知徹底をすること ③今後、同様の表示を行わないこと |
公表資料URL【PDF】 | https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms204_250318.pdf |
問題視された表現
ステマ規制違反
問題となった表現の概要
- Googleマップにおける対象事業者のプロフィールの口コミ投稿
- 星5が付けられた投稿のうち、9投稿が対象とされた(星5の評価に加えて口コミ文章も投稿されたか否かや、その内容は非公開)
実際の表現

消費者庁が問題視した点
「「★★★★★」……と併せて感想を投稿すること又は星5を投稿すること……を条件に、5,000円分の「QUOカード」と称するギフトカードを提供すること又は当該第三者が……支払う本件役務に係る治療費の総額から5,000円を割り引くことを伝えたことによって、当該第三者が、別表「表示内容」欄記載のとおりの表示をしていた」
この「表示は、表示内容全体から一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭になっているとは認められないことから、当該表示は、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難であると認められる表示に該当するものであった。」
解説
今回の措置命令は、5000円のクオカード又は治療費の割引を対価として支払うことでGoogleマップの口コミに星5の評価を依頼してされた星5の投稿について、いわゆるステマ規制違反となる旨を判断するものです。
景品表示法は、「不当表示」として、以下の3種類の広告を規制しています。
- 優良誤認表示
- 有利誤認表示
- その他一般消費者に誤認されるおそれがある表示として内閣総理大臣の指定するもの
第五条(不当な表示の禁止)
事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの
不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)
そして、このうち、その他一般消費者に誤認されるおそれがある表示として内閣総理大臣の指定するものとして、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が指定されています。
不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第五条第三号の規定に基づき、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示を次のように指定し、令和五年十月一日から施行する。
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示
事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示 (令和5年3月28日内閣府告示第19号)
これがいわゆるステマ規制といわれるもので、具体的には、以下の2つの要件を満たす場合、「不当な表示」として広告できないこととなります。
要件1 | 事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示 |
要件2 | 一般消費者が当該表示であることを判別することが困難である |
ステルスマーケティングについては以下の法律記事でも詳しく解説していますので、併せてご参照ください。
今回の表示は、事業者が、5000円(相当のQUOカードor割引)という対価を払って行う広告としての実態であるにも関わらず、普通Googleマップのクチコミを見た人は、当該クチコミを、一般利用者による評判・口コミであると認識することから、広告であると判別できない、ということから、これに該当すると判断されました。
まとめ
本記事では、2025年3月17日付けの医療法人社団に対する措置命令について速報解説をしていきました。
次回以降も、「広告規制違反FILE」では、消費者庁の公表した処分について、随時解説をしていきます。
摘発事例の表現を抑え、NGリストとして把握することで、自社の広告規制違反のリスクを回避しましょう。

プロスパイア法律事務所
代表弁護士 光股知裕
損保系法律事務所、企業法務系法律事務所での経験を経てプロスパイア法律事務所を設立。IT・インフルエンサー関連事業を主な分野とするネクタル株式会社の代表取締役も務める。企業法務全般、ベンチャー企業法務、インターネット・IT関連法務などを中心に手掛ける。