【プロトキ・No.006】「ジャンポケ斉藤が不同意性交の疑いで書類送検」を弁護士が解説

ニュース解説(プロトキ)

連載シリーズ「プロトキ」では、プロスパイア法律事務所の弁護士等の専門家が、ニュースや事問題について、法律の観点から解説をしていきます。

今回は、「ジャンポケ斉藤が不同意性交の疑いで書類送検」というニュースについて、不同意性交とはそもそもどういうものなのか書類送検された場合の刑事手続の流れや、吉本興業によるマネジメント契約解除について弁護士の目線から解説していきます。

ニュース概要「ジャンポケ斉藤が不同意性交の疑いで書類送検」について

10月7日、お笑いトリオ、ジャングルポケットの斉藤慎二さんが20代女性への不同意性交などの疑いで警視庁に書類送検されたと報じられました。

同日、妻でタレントの瀬戸サオリさんが自身のインスタグラムを更新し、謝罪とともに「この件で性的暴行と報道されておりますが一部事実と違う報道がされております」「不同意ということでお相手の方が被害届を出しているとお聞きしておりました。事実関係としましては、相手の方からも行為があり…一方的な行為ではなかったことを伝えている状況でした。」と不同意に疑問を示すコメントもしています。

また、吉本興業も斉藤さんについて、同日付でマネジメント契約を解除したと発表しました。

参考:ジャングルポケット 斉藤慎二メンバー 性的暴行疑いで書類送検 | NHK
参考:ジャンポケ斉藤の妻・瀬戸サオリ「擁護する余地もございませんが」「一部事実と違う報道」と指摘(日刊スポーツ) – Yahoo!ニュース
参考:ジャンポケ斉藤の妻・瀬戸サオリ謝罪コメ欄に同情の声「毎回奥さん謝ってる」「なぜロケバス?」 – 芸能 : 日刊スポーツ
参考:吉本 ジャンポケ斉藤を契約解除 今後はコンビで活動、公式サイトも速攻2人に変更

こちらの記事では、

  • 不同意性交とはどのような犯罪なのか
  • 書類送検とはどういうもので、今後の刑事手続の流れはどのように進行するのか
  • 一般論として、芸能人がマネジメント契約を解除された場合どうなるのか

などの点について弁護士が解説します。

不同意性交とは?今回のニュースはどのように考えればいいのか

今回、斉藤さんは不同意性交の疑いで書類送検とされています。
2023年7月に性犯罪に関する刑法が改正され、「強制性交等罪」は「不同意性交等罪」、「準強制性交等罪」は「不同意わいせつ罪」に改称されました。

不同意性交等罪とは

不同意性交等罪とは、暴行や脅迫を用いずとも、相手が性交に同意していないことを認識しながら性交等を行った場合に成立する犯罪です。不同意性交等罪の罰則は、懲役5年以上です。

性交等には、従来の性交だけでなく、口腔性交、肛門性交なども含まれます。この罪の成立には、相手が心神喪失もしくは抗拒不能の状態であったり、アルコールや薬物の影響で判断能力が著しく低下しているなど、同意することが困難な状態を利用したことが要件となります。
また、重要なのは、暴行や脅迫を用いなくても成立するということです。

第百七十六条(不同意わいせつ)
1 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。 
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。 
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。 
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。 
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。 
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。 
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。 
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。

3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

第百七十七条(不同意性交等)
1 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。

2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。

3 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

刑法(明治四十年法律第四十五号)

不同意とみなされるケース

性犯罪に関する刑法改正により、不同意性交等罪が新設され、暴行・脅迫要件が撤廃されました。これにより、明確な拒絶がない場合でも不同意とみなされるケースが増えました。

身体的な暴力や脅迫がなくても、心理的・社会的圧力によって同意が阻害されている場合も不同意とみなされます。例えば、上司と部下、教師と生徒といった関係性を利用したケースや、職場での立場を利用したハラスメントなどが該当します。

また、性行為の途中で同意を撤回した場合、それ以降の行為は不同意性交とみなされます。

口腔性交も性交等に含まれる

不同意性交等罪における「性交等」とは、従来の性交に加え、新たに口腔性交と肛門性交が含まれるようになりました。つまり、同意がない状態での口腔性交は、不同意性交等罪に該当する可能性があります。これにより、より幅広い性暴力行為が処罰の対象となります。

不同意ではなく同意であったとしても結局「不倫」ではないのか

不同意ではなく、同意であったとして、不同意性交罪ではないという結論となったとしても、斉藤さんは妻子ある身であることから結局「不倫」にはなってしまうのではないか、という疑問はあるかと思います。

確かに、一般論として、口腔性交があったことが事実であった場合、いわゆる不倫であるとの結論になる可能性は高いです。

仮に、本件で同意があったが、不倫であるという結論になった場合、不倫は刑事罰のある犯罪ではありませんので、刑事手続きとしては後述の不起訴処分となります。

  • 不貞行為として、妻からの慰謝料請求の対象となる。
  • 離婚原因となる。

といった効果は発生する可能性はありますが、いずれにしても夫婦間の問題となり、妻からこれらを求めない限りは法律上の効果は生じないこととなります。

今回のニュースについて

今回のニュースでは斉藤さんは口腔性交を行ったと報じられています。前述の通り、不同意性交等罪の不同意性交等には口腔性交も含まれます。
そのため、口腔性交であっても罪が成立する可能性はあります。
斉藤さんの妻の話では、「相手の方からも行為があり…一方的な行為ではなかった」とのことですので、不同意であったかが争点となることも予想されます。

現時点での報道の情報からは、分かることは少なく、実際にこの点が争点になるか否かは不明ですが、もし「不同意か否か」が争点になった場合、ここでいう「不同意」の範囲は前述のとおり広いので、”相手の方から斉藤さんに対して好意があったことやそれを示していたことは事実だが、今回問題となっている口腔性交については不同意の状態であった”ということも論理的には有り得る点は注意が必要です。

書類送検とはなにか 今後想定される流れとは

報道によると、斉藤さんは10月7日に不同意性交などの疑いで書類送検されたとされています。

書類送検とはどのような状態なのでしょうか?

書類送検とは?

書類送検とは、犯罪の疑いがある場合に、警察が被疑者を逮捕せずに、事件の証拠となる書類や物証を集めて検察庁に送致することです。被疑者本人は身体拘束されず、在宅のまま捜査が進められます。

書類送検は、正式には「書類送致」と呼ばれ、「送致」については、刑事訴訟法第246条に規定されています。同条では、司法警察員は犯罪の捜査をしたときは、事件につき関係のある証拠書類又は証拠物を検察官に送致しなければならないとされています。つまり、警察は捜査を終えた後、容疑を裏付ける証拠とともに事件を検察に送る義務があり、身柄を伴わずこれのみを行うのが書類送検です。

書類送検は、事件の軽重や被疑者の逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれなどを考慮して行われます。逮捕の必要があると判断されなかった場合に、書類送検という手続きが取られます。

第二百四十六条
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。

刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)

書類送検と逮捕の違い

書類送検と逮捕の大きな違いは、身体の拘束の有無です。書類送検は身体を拘束されずに捜査が行われますが、逮捕は身体を拘束されます。逮捕されるのは、以下の要件を満たす場合です。

  • 罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
  • 逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれなどがあること

以上の要件をみたすことを前提に、 罪の軽重、証拠の有無、逃亡や証拠隠滅のおそれなどを総合的に判断して、逮捕するかどうかが決定されます。

書類送検後の刑事手続きの流れ

書類送検後、どのような流れで刑事手続きが進むのか、段階ごとに詳しく解説します。

捜査段階

警察による捜査

警察は、事件の発生を知ると、捜査を開始します。証拠の収集、関係者からの事情聴取、現場検証などを行います。この段階では、被疑者はまだ逮捕されておらず、任意での捜査への協力が求められます。任意同行を求められる場合もありますが、拒否することも可能です。 捜査の結果、容疑が固まると、警察は被疑者を逮捕する場合もあります。

検察への送致(書類送検

警察による捜査が終了すると、事件は検察庁へ送致されます。送致とは、事件を検察官に送ることです。 警察は、集めた証拠や捜査結果をまとめた書類を作成し、検察官に送ります。一連の手続が「書類送検」と呼ばれます。

起訴・不起訴の決定

検察官の判断

検察官は、警察から送致された事件について、起訴するか不起訴にするかを判断します。起訴とは、裁判所に事件を審判してもらうよう請求することです。不起訴とは、裁判を行わないと決定することです。検察官は、証拠の有無、犯罪の重大性、被疑者の反省の態度などを考慮して判断します。

起訴猶予と不起訴の違い

不起訴処分には、いくつかの種類があります。主なものは「起訴猶予」と「嫌疑不十分」です。起訴猶予とは、犯罪の嫌疑はあるものの、様々な事情を考慮して起訴しないという処分です。 嫌疑不十分とは、犯罪の嫌疑が十分に認められないため、起訴しないという処分です。その他にも、嫌疑なし、罪とならない、時効成立などの不起訴処分があります。

起訴された場合の裁判手続き

第一審(地方裁判所または簡易裁判所)

起訴されると、第一審の裁判が始まります。事件の内容によって、地方裁判所または簡易裁判所で審理が行われます。裁判では、検察官と被告人、弁護人がそれぞれ主張や証拠を提出します。 裁判官は、証拠に基づいて有罪か無罪かを判断し、有罪の場合は刑罰を言い渡します。

控訴審(高等裁判所)

第一審の判決に不服がある場合、控訴することができます。控訴審は、高等裁判所で行われます。控訴審では、第一審の判決が適切であったかどうかが審理されます。

上告審(最高裁判所)

控訴審の判決に不服がある場合、上告することができます。上告審は、最高裁判所で行われます。上告審では、法律の解釈に誤りがないかどうかが審理されます。

不起訴処分になった場合

不起訴の種類

前述の通り、不起訴処分には、その理由によっていくつかの種類があります。以下の表にまとめます。

不起訴処分の理由具体的な説明
起訴猶予犯罪の嫌疑はあるが、諸般の事情を考慮し起訴しない
嫌疑不十分犯罪の嫌疑が十分に認められない
嫌疑なし犯罪の嫌疑がない
罪とならない構成要件に該当しない等、犯罪が成立しない
不服申立ての方法(検察審査会)

不起訴処分に不服がある場合、検察審査会に申立てをすることができます。検察審査会は、一般市民で構成される機関で、不起訴処分が妥当であったかどうかを審査します。 検察審査会が「起訴相当」と議決した場合、検察官は改めて事件を審査し、起訴または不起訴を決定します。

今回のニュースについて

本件の報道は、上記のうち「検察官への送致(書類送検)」が行われたという報道です。
今後は、起訴・不起訴の判断やもし起訴された場合には裁判所の判断不起訴になった場合にはその理由は何か、などが注目されます。

吉本興業によるマネジメント契約の解除について

今回、書類送検されたことにともない、吉本興業は斉藤さんのマネジメント契約を解除したと発表しました。

マネジメント契約を解除された場合、タレントはどうなるのでしょうか。

マネジメント契約の種類と内容

芸能人のマネジメント契約には、大きく分けて以下の2つの種類があります。

専属マネジメント契約

専属マネジメント契約とは、タレントが特定の芸能事務所に所属し、その事務所の専属タレントとして活動することを定めた契約です。この契約では、タレントは他の事務所と契約を結ぶことができません。事務所は、タレントの育成、プロモーション、営業活動など、幅広いマネジメント業務を行います。契約内容には、契約期間、収益分配の割合、活動内容、権利と義務などが細かく規定されています。 事務所はタレントの活動を包括的に管理し、タレントは事務所の指示に従って活動するのが一般的です。

業務提携契約

業務提携契約とは、タレントが特定の事務所と特定の業務について提携することを定めた契約です。専属マネジメント契約と異なり、タレントは他の事務所とも契約を結ぶことができます。契約内容は、提携する業務の範囲、契約期間、報酬などが定められます。 例えば、CM出演の契約のみを特定の事務所に依頼する、といったケースが考えられます。タレントはより自由に活動の幅を広げることができ、事務所は特定の業務に特化してサポートを提供します。

これらの契約形態の違いは、タレントの活動の自由度と事務所の関与の範囲に大きく影響します。どちらの契約形態が適切かは、タレントのキャリアプランや活動方針によって異なります。

契約の種類事務所との関係活動の自由度事務所の関与
専属マネジメント契約特定の事務所に専属低い高い(育成、プロモーション、営業活動など)
業務提携契約特定の業務で提携高い限定的(提携業務の範囲内)

マネジメント契約解除の要因

芸能人のマネジメント契約解除は、事務所側とタレント側、どちらから申し出る場合もあり、様々な要因が考えられます。今回は、事務所側から解除がされたようですが、事務所側、タレント側それぞれの契約解除の主な理由について詳しく見ていきましょう。

事務所側の契約解除理由

事務所がタレントとのマネジメント契約を解除する主な理由には、以下のようなものがあります。

契約違反

マネジメント契約には、タレントが守るべき事項が細かく規定されています。例えば、無断で他の事務所と契約を結ぶことや、競合他社のCMに出演すること事務所の許可なく副業を行うことなどが契約違反に該当する可能性があります。このような契約違反があった場合、事務所は契約を解除することがあります。

スキャンダルや不祥事

タレントがスキャンダルや不祥事を起こした場合、事務所のイメージダウンや損害賠償のリスクを避けるために、契約解除に至るケースが多く見られます。飲酒運転や薬物使用などの違法行為はもちろん、不倫や暴力などの倫理的に問題のある行為も契約解除の理由となる可能性があります。

業績不振

タレントの人気低迷やCDの売れ行き不振など、一定期間業績が振るわない場合、事務所は契約を更新しない、あるいは中途解約を選択する可能性があります。特に、新人タレントや将来性が不透明なタレントの場合、業績不振は契約解除の大きな要因となります。

タレント側の契約解除理由

タレントが事務所とのマネジメント契約を解除する主な理由には、以下のようなものがあります。

事務所の不当行為

事務所側が契約内容に違反した行為を行った場合、タレントは契約を解除することができます。例えば、不当に低い報酬を設定する過剰な労働を強いるパワハラやセクハラを行うといった行為は不当行為に該当する可能性があります。

待遇への不満

報酬の額や分配率、仕事の配分、労働環境など、待遇面に不満がある場合、タレントは契約解除を申し出る場合があります。特に、他の事務所から好条件を提示された場合などは、待遇への不満が契約解除の引き金となる可能性が高まります。

方向性の違い

タレントと事務所の将来的な活動方針やビジョンに相違が生じた場合、タレントは契約解除を選択するケースがあります。例えば、音楽活動に専念したいタレントに対し、事務所がバラエティ番組への出演を強要するといったケースでは、方向性の違いが契約解除の理由となる可能性があります。

事務所側の理由タレント側の理由
契約違反事務所の不当行為
スキャンダルや不祥事待遇への不満
業績不振方向性の違い

事務所からマネジメント契約を解除されるとタレントはどうなるのか?

事務所からマネジメント契約を解除されると、タレントの活動や生活に大きな影響が出ることがあります。主な影響としては、芸能活動への影響、収入への影響、精神的な影響が挙げられます。

芸能活動への影響

マネジメント契約解除は、タレントの芸能活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、大手事務所所属の場合、その影響は甚大です。

テレビやCM出演への影響

事務所はタレントの営業窓口としての役割を担っているため、契約解除後はテレビ局や広告代理店との交渉が難しくなり、新規の仕事が獲得しにくくなる可能性があります。また、現在放送中や放映中のCMについても、契約内容によっては出演シーンがカットされたり、CM自体が差し替えられたりするケースも考えられます。既存のレギュラー番組についても、降板を余儀なくされる可能性も否定できません。

違約金の問題

契約解除の原因によっては、タレント側に違約金が発生する場合があります。違約金の額は契約内容によって異なりますが、高額になるケースも少なくありません。例えば、契約期間中に一方的に契約を解除した場合や、重大な契約違反があった場合などは、多額の違約金を請求される可能性があります。芸能界の契約トラブルは、しばしば高額な違約金が話題となります。

今後の活動の制限

契約によっては、一定期間芸能活動を制限される競業避止義務条項が含まれている場合があります。この条項は、事務所が投資した育成コストを保護するためのものですが、タレントにとっては活動の制約となり、今後のキャリアプランに大きな影響を与える可能性があります。競業避止義務条項の有効性については、契約内容や解除の経緯などによって判断が分かれます。

収入への影響

事務所からの契約解除は、タレントの収入に直接的な影響を与えます。レギュラー番組やCM出演料などの収入が途絶えるだけでなく、新規の仕事も獲得しにくくなるため、収入が大幅に減少する可能性があります。特に、若手タレントや収入源が限られているタレントにとっては、生活に支障が出る可能性も考えられます。また、前述した違約金の支払いが発生した場合、経済的な負担はさらに大きくなります。

精神的な影響

事務所からの契約解除は、タレントにとって大きな精神的ストレスとなります。将来への不安や周囲からの批判などにより、精神的に追い詰められる可能性があります。特に、スキャンダルや不祥事が原因で契約解除に至った場合は、世間からのバッシングも予想され、精神的なダメージは深刻なものとなる可能性があります。

影響内容
芸能活動新規の仕事獲得が困難、既存の仕事(テレビ、CM、ラジオなど)の喪失、競業避止義務による活動制限
収入出演料、CM契約金などの収入減、違約金の支払い
精神面将来への不安、世間からの批判、精神的ストレス

今回のニュースについて

マネジメント契約の解除の意味合いは、そもそもの吉本興業と斉藤さんとのマネジメント契約がどのような内容であったか次第ではありますが、一般論としては上記のような影響を持つものです。

今後の動向は、事件に関する報道と併せて動向を見守ることで明らかになっていく部分も多いかと思います。

まとめ

本記事では、ニュースや時事問題について、法律の観点から解説をする「プロトキ」の第6回として、「ジャンポケ斉藤が不同意性交の疑いで書類送検」のニュースを解説していきました。

次回以降も、「プロトキ」では、ニュースや時事問題についてプロスパイア法律事務所の専門家が法的観点から解説をしていきます。

次回の更新をお楽しみにお願いいたします。



本記事の担当

プロスパイア法律事務所
代表弁護士 光股知裕

損保系法律事務所、企業法務系法律事務所での経験を経てプロスパイア法律事務所を設立。IT・インフルエンサー関連事業を主な分野とするネクタル株式会社の代表取締役も務める。企業法務全般、ベンチャー企業法務、インターネット・IT関連法務などを中心に手掛ける。

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