【広告規制違反FILE】2025年3月27日付けのパソコン販売事業者に対する措置命令を弁護士が解説

広告規制違反FILE

連載シリーズ「広告規制違反FILE」では、消費者庁により公表された広告規制違反の摘発事例について、問題の広告表現と違反の理由、処分の内容などについて、弁護士が分かりやすく速報解説をしていきます。

各規制の具体的なNG例として、実際の広告表現で把握することができますので、是非ご参照ください。

命令概要

対象事業者の類型パソコン販売のECサイト運営者
対象事業者の取扱商品パソコン等
措置命令の日2025年3月27日
措置命令の内容① 本件商品の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
 ② 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
③ 今後、同様の表示を行わないこと
公表資料URL【PDF】https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms210_250327_01.pdf

問題視された表現

問題となった表現の概要

  • 例えば「決算特別感謝祭 期間限定 10/3(月)10:59迄 今なら対象機種をご購入で 最大10,000円分相当 還元!」等と表示するなどにより、あたかも、同期限内に本件商品を購入した場合に限り、期限後よりも有利であるポイント、商品券又はその両方が提供されるかのように表示していた
  • 実際には、期限後であっても、期限内と同額又はそれ以上の金額相当のポイント、商品券又はその両方が提供されるものであった。 

実際の表現

引用:消費者庁の公表資料より抜粋

実施された各キャンペーンと期間・特典の構造

参照:公正取引委員会公式Xアカウント(@jitc)によるポスト

消費者庁が問題視した点

期間限定のキャンペーンでポイント・商品券等の特典が得られるかのような表示であったが、実際には恒常的にポイント・商品券等の特典が得られる状態であったことが問題視された。

解説

今回の措置命令は、ECサイト内で恒常的に実施されていたキャンペーンについて、有利誤認表示となる旨を判断するものです。

景品表示法は、「不当表示」として、以下の3種類の広告を規制しています。

  • 優良誤認表示
  • 有利誤認表示
  • その他一般消費者に誤認されるおそれがある表示として内閣総理大臣の指定するもの

第五条(不当な表示の禁止)

 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。

一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの

不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)

そして、本件では、このうち、第2号の有利誤認表示に該当すると判断されました。

有利誤認表示は、以下の要件を満たす場合にこれに該当すると考えられています。

要件1
商品又は役務の価格その他の取引条件に関する表示であること
要件2
実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示

本件のような、【恒常的に実施されるキャンペーン】は、「期間限定のキャンペーンである」旨を表示することで、その期間内であれば、通常の状態よりも有利であると消費者に認識させるものの、実際には、期間外でも同様の条件であることから、「実際のもの」は期間外の取引条件と同じであるにも関わらず有利かのように誤認識させるもの、として、有利誤認表示の典型例であると考えられています。

類似の問題として、消費者庁は、「表示に関するQ&A」の中で、以下のとおり、長期間にわたる閉店セールは、有利誤認表示に該当する可能性があると解説しています。

Q42
当店は、販売価格の安さを一般消費者に対してアピールするために、閉店時期は未定ですが、「閉店セール」と称したセールを長期間実施しようと考えていますが問題ないでしょうか。

A
「閉店」する場合に、「閉店セール」と称して、在庫商品を処分するために通常販売価格(もしくは自店旧価格)よりも安い価格で販売を行うことがあります。このような処分セールに係る表示は、社会通念上、一般的には閉店までの「一定期間のみ特別に値引きが行われている」という認識を一般消費者に与えます。しかし、実際には閉店し、廃業する予定がなかったり、閉店する時期が確定していないにもかかわらず、「閉店セール」と称したセールを長期間行っているような場合には、一般消費者に対し、あたかも「今だけ特別に値引きが行われている(購入価格という取引条件が著しく有利である)のではないか」という誤認を与え、不当表示に該当するおそれがあります。

消費者庁|表示に関するQ&A Q42

有利誤認表示については、以下の法律記事でも解説していますので、参考までにご参照ください。

今回の表示は、(消費者庁はこのような表現はしていないものの、)典型的な【恒常的に実施されるキャンペーン】として、有利誤認表示に該当すると判断されました。

まとめ

本記事では、2025年3月27日付けのパソコン販売事業者に対する措置命令について速報解説をしていきました。

次回以降も、「広告規制違反FILE」では、消費者庁の公表した処分について、随時解説をしていきます。

摘発事例の表現を押さえ、NGリストとして把握することで、自社の広告規制違反のリスクを回避しましょう。



本記事の担当

プロスパイア法律事務所
代表弁護士 光股知裕

損保系法律事務所、企業法務系法律事務所での経験を経てプロスパイア法律事務所を設立。IT・インフルエンサー関連事業を主な分野とするネクタル株式会社の代表取締役も務める。企業法務全般、ベンチャー企業法務、インターネット・IT関連法務などを中心に手掛ける。

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