Ⅰ 契約の骨格をつくる条項

01表題は契約の性質を決めない:「契約書」「覚書」「合意書」の違い【入門】「覚書だから拘束力が弱い」は誤解です。当事者間に法的な効果を生じさせる意思表示の合致があれば、表題が契約書でも覚書でも効果は変わりません。それでも表題を使い分ける理由と、決め方の順序を示します。02前文(頭書き)に何を書くか:当事者の表示と、書き足せる一文【入門】契約書の前文では、一般に当事者の表示と略称を示します。それでも交渉で前提にした事情を一句足しておくと、条項の読み方が変わります。書きすぎて義務と読まれないための切り分けも示します。03当事者の表示と、複数当事者間の契約:「甲は乙に対し」で足りなくなるとき【基礎実務】署名欄は契約の効果が誰に帰属するかを決める部分です。当事者が3者以上になると、二者間の雛形の「甲は乙に対し」では足りなくなります。連帯か非連帯か、解除を単独でできるかまで含めて整理します。04目的条項は飾りではない:解釈の指針としての機能【基礎実務】目的条項はそれ自体では義務を生みません。それでも、解除事由の「契約をした目的を達することができない」と、契約不適合の「契約の内容に適合しない」の判断で、目的条項が入口になります。争いになる場面から逆算した書き方を示します。05目的条項が軽微性の判断に効く場面【応用実務】催告しても不履行が「軽微」なら解除できません(民法541条ただし書)。軽微かどうかは「その契約」に照らして判断されるため、争いは「この契約の目的は何だったか」に移ります。暗号通貨採掘システムの売買で目的が争われた裁判例から、目的条項に何を書いておくかを考えます。06定義条項の作り方:定義が効く範囲と、定義しすぎの弊害【基礎実務】定義条項で決めた語の中身が、そのまま義務の範囲になります。同じ「仕様書等」が売主案と買主案で別物になる実例、使っていない定義の削り方、列挙のつなぎ方で範囲が変わる問題、そして自社が義務を負う語は狭く権利を得る語は広くという書き分けを扱います。07契約書・別紙・仕様書・発注書の優先順位条項【基礎実務】「本契約が優先する」と一律に書くと、仕様書の具体的な数値が本文の抽象的な記載に負けます。事項ごとに優先順位を変える条項例、注文書の裏面約款を封じる一文、そして優先されない文書も解釈指針としては生きるという整理を扱います。08特約条項(契約条項の一部適用を排除する条項)の使い方と事故【基礎実務】「第17条の条文を破棄する」と書いた特約で、売主は瑕疵担保責任を免れませんでした。消えるのは契約書の条項だけで民法までは消えないこと、特約の射程が目的物の一部にとどまること、義務を作る特約に期限がないときの扱いを、裁判例2件から追います。
10 共通条項の条項別解説

表題は契約の性質を決めない:「契約書」「覚書」「合意書」の違い

「覚書だから拘束力が弱い」は誤解です。当事者間に法的な効果を生じさせる意思表示の合致があれば、表題が契約書でも覚書でも効果は変わりません。それでも表題を使い分ける理由と、決め方の順序を示します。
10 共通条項の条項別解説

前文(頭書き)に何を書くか:当事者の表示と、書き足せる一文

契約書の前文では、一般に当事者の表示と略称を示します。それでも交渉で前提にした事情を一句足しておくと、条項の読み方が変わります。書きすぎて義務と読まれないための切り分けも示します。
10 共通条項の条項別解説

当事者の表示と、複数当事者間の契約:「甲は乙に対し」で足りなくなるとき

署名欄は契約の効果が誰に帰属するかを決める部分です。当事者が3者以上になると、二者間の雛形の「甲は乙に対し」では足りなくなります。連帯か非連帯か、解除を単独でできるかまで含めて整理します。
10 共通条項の条項別解説

目的条項は飾りではない:解釈の指針としての機能

目的条項はそれ自体では義務を生みません。それでも、解除事由の「契約をした目的を達することができない」と、契約不適合の「契約の内容に適合しない」の判断で、目的条項が入口になります。争いになる場面から逆算した書き方を示します。
10 共通条項の条項別解説

目的条項が軽微性の判断に効く場面

催告しても不履行が「軽微」なら解除できません(民法541条ただし書)。軽微かどうかは「その契約」に照らして判断されるため、争いは「この契約の目的は何だったか」に移ります。暗号通貨採掘システムの売買で目的が争われた裁判例から、目的条項に何を書いておくかを考えます。
10 共通条項の条項別解説

定義条項の作り方:定義が効く範囲と、定義しすぎの弊害

定義条項で決めた語の中身が、そのまま義務の範囲になります。同じ「仕様書等」が売主案と買主案で別物になる実例、使っていない定義の削り方、列挙のつなぎ方で範囲が変わる問題、そして自社が義務を負う語は狭く権利を得る語は広くという書き分けを扱います。
10 共通条項の条項別解説

契約書・別紙・仕様書・発注書の優先順位条項

「本契約が優先する」と一律に書くと、仕様書の具体的な数値が本文の抽象的な記載に負けます。事項ごとに優先順位を変える条項例、注文書の裏面約款を封じる一文、そして優先されない文書も解釈指針としては生きるという整理を扱います。
10 共通条項の条項別解説

特約条項(契約条項の一部適用を排除する条項)の使い方と事故

「第17条の条文を破棄する」と書いた特約で、売主は瑕疵担保責任を免れませんでした。消えるのは契約書の条項だけで民法までは消えないこと、特約の射程が目的物の一部にとどまること、義務を作る特約に期限がないときの扱いを、裁判例2件から追います。