オンラインカジノは違法?海外のサイトでも摘発されるのか?

インターネット・IT関連法務

オンラインカジノについては、「海外で正規のライセンスを取っているから合法」「サーバーが海外にあるから日本の法律は及ばない」といった説明が、インターネット上で長く流布してきました。著名人やスポーツ選手の利用が報じられるたびに、違法なのかどうかが話題になります。

結論は明確です。オンラインカジノは違法であり、海外で合法に運営されているサイトであっても、日本国内から接続して賭ければ賭博罪に当たります。警察庁もこの点をはっきり示しており、利用者・運営者・宣伝や決済に関わった者のいずれも検挙されています。

本記事では、オンラインカジノがなぜ違法なのか、海外のサイトでも摘発される法的な根拠は何か、どのような人が検挙されているのか、令和7年以降の法改正で何が変わったのか、そして利用してしまった場合にどうすればよいかを整理します。

オンラインカジノとは何か—仕組みと利用実態

オンラインカジノのサービス類型

オンラインカジノとは、インターネットを通じて、バカラ、ルーレット、スロット、ポーカーなどのカジノゲームに金銭を賭けて遊ぶことができるサービスです。スポーツの試合結果に賭けるスポーツベッティングを併設しているサイトもあります。

利用者はサイトやアプリでアカウントを作り、銀行振込、クレジットカード、電子決済、暗号資産などで入金して賭けに参加します。勝てば残高が増え、出金すれば手元に戻ります。入金から払戻しまでがスマートフォン1台で完結するため、周囲に気づかれにくく、のめり込みやすいことが指摘されています。

警察庁の調査が示す利用の広がり

警察庁が委託して令和6年度に実施した実態調査では、国内でオンラインカジノサイトを利用した経験のある人は約337万人、国内からの年間の賭け金の総額は約1兆2,423億円と推計されています。経験者の約6割が、自分に依存症の自覚があると回答しています。

同じ調査では、回答者の約44%が、オンラインカジノが違法であると認識していなかったという結果も出ています。調査対象となった上位40サイトはすべて海外のライセンスを取得しており、その多くが、日本からの利用を禁止する旨を表示していませんでした。

なぜ「海外運営だから大丈夫」と誤解されるか

誤解が広がった背景には、(1)運営会社が海外の国や地域でライセンスを取得していること自体は事実であること、(2)日本語で利用でき、日本円で入出金できるサイトが多いこと、(3)紹介サイトや動画が「合法」「グレー」といった表現で宣伝してきたことがあります。

しかし、海外のライセンスは、その国や地域の中で営業するための許可にすぎません。日本国内での賭博を適法にする効力はありません。

日本国内でオンラインカジノに参加することは違法か

単純賭博罪(刑法185条)の適用

刑法185条は、「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。」と定めています。賭博とは、偶然の勝敗により財物や財産上の利益の得喪を争う行為をいいます。

オンラインカジノでは、金銭を賭けてゲームの勝敗を争い、勝てば払戻しを受け、負ければ賭け金を失います。賭博の定義にそのまま当てはまる行為であり、1回でも賭ければ単純賭博罪が成立します。バカラかスロットかスポーツベッティングかといったゲームの種類は関係ありません。

常習賭博罪(刑法186条1項)が成立する場合

刑法186条1項は、「常習として賭博をした者は、三年以下の拘禁刑に処する。」と定めています。常習とは、賭博を反復する習癖があることをいいます。

オンラインカジノは、いつでもどこでも繰り返し賭けることができるため、利用が長期間・多数回に及びやすい性質があります。入出金の履歴から利用の回数や金額が明らかになれば、単純賭博罪ではなく常習賭博罪に問われる可能性があります。常習賭博罪には罰金刑がなく、起訴されれば正式な裁判を受けることになります。

日本で認められている賭け事との違い

日本で適法に行える賭け事は、競馬、競輪、競艇、オートレース、宝くじ、スポーツ振興くじなど、特別の法律で認められたものに限られます。これらは法令に基づく行為として処罰されません(刑法35条)。オンラインカジノを認める日本の法律はありません。

海外サイトでも摘発されるのか—法的根拠と検挙の状況

摘発が成立する法的根拠

刑法1条1項は、「この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。」と定めています。犯罪を構成する行為の一部でも日本国内で行われれば、国内で罪を犯したことになると解されています。

政府は、国会の質問主意書に対する答弁書で、一般論として、賭博行為の一部が日本国内において行われた場合には賭博罪が成立することがあるとの見解を示しています(平成25年11月1日付け、内閣衆質185第17号)。日本国内にいる人がスマートフォンやパソコンから賭けを申し込み、賭け金を支払えば、賭博行為の一部は日本国内で行われています。サーバーや運営会社がどこにあるかは、結論を左右しません。

警察庁も、海外で合法的に運営されているオンラインカジノであっても、日本国内から接続して賭博を行うことは犯罪であると明示しています。

海外旅行先のカジノとの違い

賭博罪には、日本人が国外で犯した場合に処罰する規定(国外犯処罰規定)がありません。刑法2条から4条の2までに掲げられた罪の中に、賭博罪は含まれていないためです。カジノが合法な国に渡航して現地のカジノで遊んでも処罰されないのは、このためです。

オンラインカジノが違法とされるのは、賭けている本人が日本国内にいるからです。「海外旅行でカジノに行くのと同じ」という説明は、この違いを見落としています。

利用者の検挙状況

利用者の検挙は以前から行われています。2016年には、海外のオンラインカジノを利用した男性3人が京都府警に賭博の疑いで逮捕され、自宅などから利用する個人客の逮捕は全国で初めてと報じられました。

警察白書(令和7年版)によれば、令和6年中のオンライン上で行われる賭博事犯の検挙は62件・279人で、このうち店舗を介さない無店舗型は55件・227人でした。前年から大幅に増えています。2025年には、著名人やスポーツ選手が相次いで書類送検されたことが報じられました。報道によれば、警察庁がまとめた2025年の無店舗型の摘発は158件・221人で、件数は過去最多となり、摘発された人の大半は賭博をした客でした。

検挙のきっかけは、決済代行業者や紹介者への捜査から利用者の入金記録が判明する場合、本人のSNSや配信から発覚する場合、周囲からの通報などさまざまです。「個人が自宅で遊ぶ程度なら摘発されない」という理解は、現在の状況に合っていません。

オンラインカジノを開設・運営・宣伝する側の責任

賭博場開張等図利罪(刑法186条2項)

刑法186条2項は、「賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。」と定めています。

賭博場といっても、客を一か所に集める必要はありません。最高裁は、事務所に電話などを備え、電話で客の申込みを受けて野球賭博を行わせた事案で、賭博者を一定の場所に集合させることは必要ないとして本罪の成立を認めています(最高裁昭和48年2月28日決定・刑集27巻1号68頁)。警察庁は、海外にサーバーを置くオンライン賭博サイトを国内で運営した者を、賭博場開張等図利罪で検挙した例を公表しています。

海外の運営者と日本の刑法

前記の政府答弁書は、賭博場開張行為の一部が日本国内で行われた場合には賭博場開張等図利罪が成立することがあるとしています。もっとも、運営者が海外にいる場合、日本の捜査機関が実際に検挙することには困難が伴います。総務省の検討会が2026年7月に公表した報告書でも、海外の運営者に対する取締りの難しさが指摘されています。

その結果として、国内にいる利用者や、国内で運営に協力した者が検挙の中心になっているのが実情です。運営者が海外にいることは、国内の利用者や協力者の安全を意味しません。

アフィリエイト・宣伝・誘導行為

オンラインカジノを紹介して登録に誘導し、運営者から報酬を受け取るアフィリエイトも、検挙の対象になっています。警察白書には、海外のオンラインカジノ運営者とアフィリエイト契約を結び、動画配信サイトなどで利用を勧誘した者が常習賭博の幇助で逮捕され、勧誘されて賭博をした客が常習賭博で逮捕された事例(令和6年9月、埼玉県警)が掲載されています。

幇助とは、他人の犯罪を手助けすることです(刑法62条)。「紹介しただけ」「広告を載せただけ」であっても、利用者の賭博を容易にしたと評価されれば、処罰の対象になり得ます。

決済への関与

入出金の仕組みを提供する行為も同様です。警察庁は、収納代行を装って自分の口座に賭け金を入金させていた者を、組織的犯罪処罰法違反で検挙した例を公表しています。同法は、犯罪収益等の隠匿(10条)や、事情を知ったうえでの収受(11条)を処罰しています。2026年7月には、オンラインカジノの決済システムを運営していたグループが常習賭博の疑いで逮捕されたと報じられました。

令和7年以降の法改正と対策の強化

ギャンブル等依存症対策基本法の改正(令和7年9月25日施行)

令和7年6月に、ギャンブル等依存症対策基本法の一部を改正する法律(令和7年法律第76号)が成立・公布され、同年9月25日に施行されました。新設された9条の2は、インターネットを利用して不特定の者に情報を発信する者に対し、次の行為を禁止しています。

  • 国内の不特定の者に対し、違法オンラインギャンブル等を行う場を提供するウェブサイトやアプリを提示する行為
  • インターネットを利用して、国内の不特定の者に対し、違法オンラインギャンブル等に誘導する情報を発信する行為

警察庁は、具体例として、オンラインカジノサイトの開設・運営、アプリストアへのアプリの掲載、サイトへのリンクの投稿や宣伝・広告、紹介まとめサイトの作成などを挙げています。あわせて、国と地方公共団体に、違法オンラインギャンブル等が禁止されていることを周知する責務が定められました(同法14条)。

罰則はないが、削除や通報の根拠になる

この改正法自体には、罰則は設けられていません。ただし、違法な行為であることが法律上明確になったことで、SNS事業者やアプリストアによる削除、広告の掲載拒否が進めやすくなりました。施行日からは、誘導情報などについてインターネット・ホットラインセンターが通報を受け付けています。

また、罰則がないからといって、宣伝行為が処罰されないわけではありません。前述のとおり、勧誘によって利用者に賭博をさせれば、賭博罪や常習賭博罪の幇助として刑法で処罰され得ます。

決済の遮断とアクセス抑止の議論

決済の面では、令和7年5月14日、金融庁と警察庁が、全国銀行協会、日本資金決済業協会、日本暗号資産等取引業協会などに対し、オンラインカジノに係る賭博事犯の防止に向けた対応を要請しています。

通信の面では、総務省の「オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会」が、2026年7月に報告書を公表しました。接続を強制的に遮断するブロッキングについて、報告書は、通信の秘密や知る自由に抵触し得る対策であるとしたうえで、まずは包括的な対策を進めて効果を検証し、実施すべき状況にあるといえる場合には立法措置が必要であるとしています。2026年10月時点で、ブロッキングは導入されていません。

クレジットカード・暗号資産による決済のリスク

入出金の記録は残る

オンラインカジノへの入金は、決済代行業者の口座への振込みや、別の名目でのカード決済という形をとることがあります。利用者からは見えにくい仕組みですが、銀行口座やカードの利用記録は残ります。決済代行業者が摘発されれば、その口座に入金した利用者の記録から、利用の事実と金額が明らかになります。

暗号資産でも追跡される

暗号資産での入出金は、身元が分かりにくいと宣伝されることがあります。しかし、暗号資産の取引はブロックチェーン上に記録されており、国内の暗号資産交換業者は口座開設時に本人確認を行っています。交換業者を通じて購入・換金していれば、取引の流れをたどることは可能です。

利用者自身が別の犯罪に巻き込まれるおそれ

オンラインカジノの入出金のために、自分の口座を他人に使わせたり、他人名義の口座を使ったりすると、賭博罪とは別に、口座の不正利用やマネー・ローンダリングに関する犯罪に問われるおそれがあります。運営者や決済業者が海外にいる場合、出金に応じてもらえない、個人情報やカード情報が悪用されるといった被害に遭っても、回復は容易ではありません。

もしすでに利用してしまった場合の対応

まず利用をやめる

オンラインカジノを利用してしまった場合、最初にすべきことは、直ちに利用をやめることです。利用を続ければ回数と金額が積み上がり、常習賭博罪に問われる可能性が高まります。

賭博罪にも公訴時効があります。単純賭博罪と常習賭博罪はいずれも3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。ただし、時効が完成するまで不安を抱え続けることになりますし、その間に関係者の捜査から発覚することもあります。

自首・任意出頭の検討

刑法42条1項は、罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、刑を減軽することができると定めています。自首が成立するには、犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前に、自ら申告することが必要です。すでに捜査機関が把握している段階での出頭は、法律上の自首には当たりませんが、反省を示す事情として考慮されることはあります。

自首すべきかどうか、どの範囲の事実をどう説明するかは、利用の期間や金額、発信や勧誘の有無などによって変わります。判断に迷う場合は、出頭の前に弁護士に相談することが考えられます。

負けた金銭の返還と依存の問題

賭博に関する契約は公序良俗に反して無効とされますが(民法90条)、賭博のために支払った金銭の返還を求めることは、不法原因給付(民法708条)として認められないのが原則です。海外の運営者を相手に返還を求めることは、手続の面でも現実的ではありません。

借金をしてまで賭けてしまう、やめたくてもやめられないという状態であれば、ギャンブル等依存症の可能性があります。各都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターや保健所が相談を受け付けています。借金の整理については、法的な手続で解決できる場合があります。

オンラインカジノに「海外だから合法」という抜け道はない

オンラインカジノは、運営者が海外にいても、海外のライセンスがあっても、日本国内から賭ければ賭博罪に当たります。利用者には単純賭博罪や常習賭博罪が、運営者には賭博場開張等図利罪が、宣伝や決済に関わった者にはその共犯や組織的犯罪処罰法違反が問題になります。令和7年の法改正で、サイトの提示や誘導情報の発信も明確に禁止されました。

事業者の側では、広告の出稿先や提携先、決済の取扱先にオンラインカジノに関係するものが紛れ込んでいないかを確認しておくことが、思わぬ関与を避けるうえで重要です。インフルエンサーや配信者は、案件の依頼元がオンラインカジノに関係していないかを、引き受ける前に確かめる必要があります。

すでに利用してしまった方や、宣伝・決済に関わってしまった方は、状況を整理したうえで、今後の対応を検討することになります。不安のある方は、弁護士に相談してみることをお勧めします。



本記事の担当

プロスパイア法律事務所
代表弁護士 光股知裕

損保系法律事務所、企業法務系法律事務所での経験を経てプロスパイア法律事務所を設立。IT・インフルエンサー関連事業を主な分野とするネクタル株式会社の代表取締役も務める。企業法務全般、ベンチャー企業法務、インターネット・IT関連法務などを中心に手掛ける。

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