入門

01契約書の骨格:表題・前文・本文・後文・別紙【入門】契約書は、表題・前文・本文・後文と署名欄・別紙の5つの部分でできています。部分ごとに何が書いてあるはずかを知っていれば、書いていないものにも気づけます。第1条から読み始める前に、当事者の数、作成通数、日付、別紙の有無を確かめて全体の地図を作る。契約書を読む最初の手順を整理します。02契約書は何のためにあるのか:合意の証拠・紛争の予防・履行の設計【入門】契約は契約書がなくても成立します。それでも契約書を作るのは、合意の証拠になり、紛争を予防し、そして平時の取引そのものを設計するからです。契約書があれば安心という誤解を解き、3つ目の機能(履行の設計)を軸に、この連載が何を扱うかを示します。03契約自由の原則とその限界:4つの自由と、その外側【入門】契約自由の原則は、締結の自由・相手方選択の自由・内容決定の自由・方式の自由の4つに分かれます。2017年改正でこのうち3つが条文になり、同時に「法令に特別の定めがある場合を除き」「法令の制限内において」という限界も条文に書かれました。4つの自由それぞれがどこで制限されるかを、条文と実務書の記述で整理します。04表題は契約の性質を決めない:「契約書」「覚書」「合意書」の違い【入門】「覚書だから拘束力が弱い」は誤解です。当事者間に法的な効果を生じさせる意思表示の合致があれば、表題が契約書でも覚書でも効果は変わりません。それでも表題を使い分ける理由と、決め方の順序を示します。05前文(頭書き)に何を書くか:当事者の表示と、書き足せる一文【入門】契約書の前文では、一般に当事者の表示と略称を示します。それでも交渉で前提にした事情を一句足しておくと、条項の読み方が変わります。書きすぎて義務と読まれないための切り分けも示します。06契印・割印・訂正印・捨印【入門】契約書の綴じ目の契印、2通にまたがる割印、書き直した箇所の訂正印、欄外の捨印は、それぞれ何を守るための印か。押し方と押す人、製本テープとの関係、電子契約での扱いを整理し、捨印について「いかなる条項をも記入できるというものではない」とした最高裁の判断から、捨印を押さないほうがよい理由と、求められたときの返し方を示します。07戦略法務・予防法務・臨床法務:契約法務はどこに立つか【入門】同じ契約書をめぐる仕事でも、取引の形を決める段階(戦略法務)、条項を詰める段階(予防法務)、揉めてからの段階(臨床法務)ではやっていることが違います。3分法を時系列と役割分担に重ね、いま自分がどこにいるかを見極めて次の手を決めるための記事です。08条・項・号と、条文の引用の作法【入門】契約書は条・項・号の順に並び、項の中には本文・ただし書・柱書があります。「前項」と書くか「前項本文」と書くかで、引用の範囲が変わります。「前条」「次項」は条を足し引きすると指す先が黙って変わる。引用の表記を1通の中で揃え、条を追加・削除したら参照を確かめ直す。条文の住所の読み方と書き方を整理します。09「及び」「並びに」「又は」「若しくは」:どちらとも読める箇所を見つける【入門】「又は」なら並べたどれか1つで足り、「及び」なら全部がそろって初めて当たる。接続の語1つで、条項が働く範囲が変わります。「及び」は一番小さい接続、「又は」は一番大きい接続という使い分けと、読むときにまず「又は」を探す理由を整理し、どちらとも読める条項を号に分けて曖昧さを消す書き方を示します。10契約書ができるまで:取引開始から締結までの流れ【入門】商談から締結まで、契約書ができる工程を追います。法務が呼ばれるのは取引が成立する可能性が出てきた段階で、そのときには条件の多くが決まっています。叩き台をどちらが出すかが結果を左右すること、交渉過程の記録が後で効くことを、実務書の記述に即して整理します。11契約締結日をいつにするか【入門】契約書の締結日、効力発生日、実際に押印した日は別のものです。郵送で押印を回すと日付がずれる理由、取引が先行したときに日付を遡らせてはいけない理由、印紙税の「作成の時」との関係を確認し、有効期間を日付で書く改善例と場面ごとの書き分けを示します。12「これ、法的に問題ない?」に何を返すか【入門】廊下で「これ、法的に問題ないですか」と聞かれたときに何を返すか。質問している側が知りたいのは、たいてい法的な問題の有無ではなく進めていいかどうかです。段階・期限・心配していることの3点を確かめてから答える型と、即答すべき場面の切り分けを整理します。13「その他」と「その他の」、「以上・以下・超・未満」:境目がどちらに入るか【入門】「その他の」の前の言葉は後ろの広い言葉の例示、「その他」の前後は並列。「以上・以下」は基準の数を含み、「超える・未満」は含まない。1字の違いで条項が拾う範囲が変わります。包括的な言葉が思ったより狭く読まれた裁判例と、金額の段階を「以下」と「を超え」で組んで重なりと抜けを防ぐ書き方を整理します。14契約書の通数と原本の管理:製本・保管・電子化【入門】押印が済んだ契約書を、あとで証拠として使える状態のまま保つための手順です。何通作るか、製本と別紙・最終稿の照合、原本の保管、写しに押印すると印紙税の上で原本が増える落とし穴、スキャナ保存の後に原本を廃棄してよいかまで整理します。15「前」「後」と「以前」「以後」:期間の起算【入門】「以前」「以後」は基準の日を含み、「前」「後」は含まない。「契約日から5日以内」は初日を数えず、「契約日から起算して5日以内」は初日から数える。1字の違いで期限が1日ずれます。期間の数え方を覚えるより、日付で書くか、起算日と休日の扱いを条項に書き込むほうが確実です。16法務がやりがちな失敗:形式的な指摘、過剰な保守、説明のない修正【入門】直した内容ではなく直し方に原因がある失敗が3つあります。文言の細部から入る形式的な指摘、あらゆる論点で最も有利な案を出す過剰な保守、結果だけを返す説明のない修正です。実務誌の事例と実務書のやりとりに即して、直し方を組み立て直します。17定義条項の読み方:定義された語がどこで効くか【入門】定義された語は、本文で使われるたびに定義の中身をその条項に持ち込みます。定義語を一覧にし、本文のどこで使われているか、似た語が混ざっていないか、定義が引く別紙が正しいかを突き合わせる。「本製品」と「本商品」が混在した契約書をどう読むか、定義条項の読み方を整理します。18法務担当者は実際に何に悩んでいるか【入門】法務担当者の手が止まるのは、条項の中身が分からないときだけではありません。25社の法務担当者が自分の経験を書いた実務誌の特集から、時間がない・判断がつかない・通らない・一人法務・自信がないという5つの悩みを取り出し、それぞれをどう仕組みにしたかを整理します。19主語・時制・条件節の読み分け:義務者は誰か、いつ発生するか【入門】契約書を読むというのは、条文ごとに「誰が」「いつ」「何を」を取り出す作業です。5W1Hで条文を分解すると、主語のない文、条件の書かれていない義務、「するものとする」で強さのぼやけた文末が見えてきます。主語を補い、条件節を切り出し、義務・権利・裁量を見分ける読み方と直し方を整理します。20契約法務の学び方:何をどの順で読むか【入門】条文・実務書・裁判例をどの順で読むか。条項を読むときは実務書から入って条文に戻り、制度を学ぶときは条文から入る。実務書だけでは足りない理由を、契約書の条項が要件事実に対応しているという点から説明し、調べ先を固定する方法まで整理します。21「ものとする」「するものとする」「努めるものとする」の差:義務の強さを決めているか【入門】「しなければならない」は端的な義務、「するものとする」はやや弱い義務、「努めるものとする」は努力義務。文末の言葉は義務の強さの目盛りですが、契約書では目盛りを決めないまま「ものとする」で終えている条文が少なくありません。在庫確保条項を例に、努力義務と法的義務で売主と買主の利害が逆になることと、義務にしたいなら中身を具体的に書くことを整理します。22契約期間の始期・終期と期間の計算方法【入門】「締結日から1年間」と「4月1日から1年間」では、満了日が1日ずれます。初日不算入(民法140条)と末日の休日(民法142条)の扱い、「翌日から起算して」の一言で計算を不要にする書き方、そして期間条項が契約を終わらせるための条項であることを扱います。23担当者条項と窓口の特定:名前を書いた後の変更と、担当者の約束【入門】担当者条項は、誰に届けば相手方に届いたことになるかを決める条項です。担当者が異動しても記載が古いまま残る、通知条項と宛先が食い違う、担当者どうしの約束が契約の変更と主張される。取引基本契約で起きやすい3つの問題と、担当者条項・通知条項・変更条項の役割分担を整理します。
03 契約書を読む技術

契約書の骨格:表題・前文・本文・後文・別紙

契約書は、表題・前文・本文・後文と署名欄・別紙の5つの部分でできています。部分ごとに何が書いてあるはずかを知っていれば、書いていないものにも気づけます。第1条から読み始める前に、当事者の数、作成通数、日付、別紙の有無を確かめて全体の地図を作る。契約書を読む最初の手順を整理します。
01 契約法務という仕事

契約書は何のためにあるのか:合意の証拠・紛争の予防・履行の設計

契約は契約書がなくても成立します。それでも契約書を作るのは、合意の証拠になり、紛争を予防し、そして平時の取引そのものを設計するからです。契約書があれば安心という誤解を解き、3つ目の機能(履行の設計)を軸に、この連載が何を扱うかを示します。
02 契約の基礎理論

契約自由の原則とその限界:4つの自由と、その外側

契約自由の原則は、締結の自由・相手方選択の自由・内容決定の自由・方式の自由の4つに分かれます。2017年改正でこのうち3つが条文になり、同時に「法令に特別の定めがある場合を除き」「法令の制限内において」という限界も条文に書かれました。4つの自由それぞれがどこで制限されるかを、条文と実務書の記述で整理します。
10 共通条項の条項別解説

表題は契約の性質を決めない:「契約書」「覚書」「合意書」の違い

「覚書だから拘束力が弱い」は誤解です。当事者間に法的な効果を生じさせる意思表示の合致があれば、表題が契約書でも覚書でも効果は変わりません。それでも表題を使い分ける理由と、決め方の順序を示します。
10 共通条項の条項別解説

前文(頭書き)に何を書くか:当事者の表示と、書き足せる一文

契約書の前文では、一般に当事者の表示と略称を示します。それでも交渉で前提にした事情を一句足しておくと、条項の読み方が変わります。書きすぎて義務と読まれないための切り分けも示します。
08 締結手続・電子契約・証拠管理

契印・割印・訂正印・捨印

契約書の綴じ目の契印、2通にまたがる割印、書き直した箇所の訂正印、欄外の捨印は、それぞれ何を守るための印か。押し方と押す人、製本テープとの関係、電子契約での扱いを整理し、捨印について「いかなる条項をも記入できるというものではない」とした最高裁の判断から、捨印を押さないほうがよい理由と、求められたときの返し方を示します。
01 契約法務という仕事

戦略法務・予防法務・臨床法務:契約法務はどこに立つか

同じ契約書をめぐる仕事でも、取引の形を決める段階(戦略法務)、条項を詰める段階(予防法務)、揉めてからの段階(臨床法務)ではやっていることが違います。3分法を時系列と役割分担に重ね、いま自分がどこにいるかを見極めて次の手を決めるための記事です。
03 契約書を読む技術

条・項・号と、条文の引用の作法

契約書は条・項・号の順に並び、項の中には本文・ただし書・柱書があります。「前項」と書くか「前項本文」と書くかで、引用の範囲が変わります。「前条」「次項」は条を足し引きすると指す先が黙って変わる。引用の表記を1通の中で揃え、条を追加・削除したら参照を確かめ直す。条文の住所の読み方と書き方を整理します。
03 契約書を読む技術

「及び」「並びに」「又は」「若しくは」:どちらとも読める箇所を見つける

「又は」なら並べたどれか1つで足り、「及び」なら全部がそろって初めて当たる。接続の語1つで、条項が働く範囲が変わります。「及び」は一番小さい接続、「又は」は一番大きい接続という使い分けと、読むときにまず「又は」を探す理由を整理し、どちらとも読める条項を号に分けて曖昧さを消す書き方を示します。
01 契約法務という仕事

契約書ができるまで:取引開始から締結までの流れ

商談から締結まで、契約書ができる工程を追います。法務が呼ばれるのは取引が成立する可能性が出てきた段階で、そのときには条件の多くが決まっています。叩き台をどちらが出すかが結果を左右すること、交渉過程の記録が後で効くことを、実務書の記述に即して整理します。
08 締結手続・電子契約・証拠管理

契約締結日をいつにするか

契約書の締結日、効力発生日、実際に押印した日は別のものです。郵送で押印を回すと日付がずれる理由、取引が先行したときに日付を遡らせてはいけない理由、印紙税の「作成の時」との関係を確認し、有効期間を日付で書く改善例と場面ごとの書き分けを示します。
01 契約法務という仕事

「これ、法的に問題ない?」に何を返すか

廊下で「これ、法的に問題ないですか」と聞かれたときに何を返すか。質問している側が知りたいのは、たいてい法的な問題の有無ではなく進めていいかどうかです。段階・期限・心配していることの3点を確かめてから答える型と、即答すべき場面の切り分けを整理します。
03 契約書を読む技術

「その他」と「その他の」、「以上・以下・超・未満」:境目がどちらに入るか

「その他の」の前の言葉は後ろの広い言葉の例示、「その他」の前後は並列。「以上・以下」は基準の数を含み、「超える・未満」は含まない。1字の違いで条項が拾う範囲が変わります。包括的な言葉が思ったより狭く読まれた裁判例と、金額の段階を「以下」と「を超え」で組んで重なりと抜けを防ぐ書き方を整理します。
08 締結手続・電子契約・証拠管理

契約書の通数と原本の管理:製本・保管・電子化

押印が済んだ契約書を、あとで証拠として使える状態のまま保つための手順です。何通作るか、製本と別紙・最終稿の照合、原本の保管、写しに押印すると印紙税の上で原本が増える落とし穴、スキャナ保存の後に原本を廃棄してよいかまで整理します。
03 契約書を読む技術

「前」「後」と「以前」「以後」:期間の起算

「以前」「以後」は基準の日を含み、「前」「後」は含まない。「契約日から5日以内」は初日を数えず、「契約日から起算して5日以内」は初日から数える。1字の違いで期限が1日ずれます。期間の数え方を覚えるより、日付で書くか、起算日と休日の扱いを条項に書き込むほうが確実です。
01 契約法務という仕事

法務がやりがちな失敗:形式的な指摘、過剰な保守、説明のない修正

直した内容ではなく直し方に原因がある失敗が3つあります。文言の細部から入る形式的な指摘、あらゆる論点で最も有利な案を出す過剰な保守、結果だけを返す説明のない修正です。実務誌の事例と実務書のやりとりに即して、直し方を組み立て直します。
03 契約書を読む技術

定義条項の読み方:定義された語がどこで効くか

定義された語は、本文で使われるたびに定義の中身をその条項に持ち込みます。定義語を一覧にし、本文のどこで使われているか、似た語が混ざっていないか、定義が引く別紙が正しいかを突き合わせる。「本製品」と「本商品」が混在した契約書をどう読むか、定義条項の読み方を整理します。
01 契約法務という仕事

法務担当者は実際に何に悩んでいるか

法務担当者の手が止まるのは、条項の中身が分からないときだけではありません。25社の法務担当者が自分の経験を書いた実務誌の特集から、時間がない・判断がつかない・通らない・一人法務・自信がないという5つの悩みを取り出し、それぞれをどう仕組みにしたかを整理します。
03 契約書を読む技術

主語・時制・条件節の読み分け:義務者は誰か、いつ発生するか

契約書を読むというのは、条文ごとに「誰が」「いつ」「何を」を取り出す作業です。5W1Hで条文を分解すると、主語のない文、条件の書かれていない義務、「するものとする」で強さのぼやけた文末が見えてきます。主語を補い、条件節を切り出し、義務・権利・裁量を見分ける読み方と直し方を整理します。
01 契約法務という仕事

契約法務の学び方:何をどの順で読むか

条文・実務書・裁判例をどの順で読むか。条項を読むときは実務書から入って条文に戻り、制度を学ぶときは条文から入る。実務書だけでは足りない理由を、契約書の条項が要件事実に対応しているという点から説明し、調べ先を固定する方法まで整理します。
03 契約書を読む技術

「ものとする」「するものとする」「努めるものとする」の差:義務の強さを決めているか

「しなければならない」は端的な義務、「するものとする」はやや弱い義務、「努めるものとする」は努力義務。文末の言葉は義務の強さの目盛りですが、契約書では目盛りを決めないまま「ものとする」で終えている条文が少なくありません。在庫確保条項を例に、努力義務と法的義務で売主と買主の利害が逆になることと、義務にしたいなら中身を具体的に書くことを整理します。
10 共通条項の条項別解説

契約期間の始期・終期と期間の計算方法

「締結日から1年間」と「4月1日から1年間」では、満了日が1日ずれます。初日不算入(民法140条)と末日の休日(民法142条)の扱い、「翌日から起算して」の一言で計算を不要にする書き方、そして期間条項が契約を終わらせるための条項であることを扱います。
10 共通条項の条項別解説

担当者条項と窓口の特定:名前を書いた後の変更と、担当者の約束

担当者条項は、誰に届けば相手方に届いたことになるかを決める条項です。担当者が異動しても記載が古いまま残る、通知条項と宛先が食い違う、担当者どうしの約束が契約の変更と主張される。取引基本契約で起きやすい3つの問題と、担当者条項・通知条項・変更条項の役割分担を整理します。