オリパサイトは違法?賭博や景表法との関係を弁護士が解説

インターネット・IT関連法務

「オリパ」(オリジナルパック)とは、トレーディングカードの販売店などが、手持ちのカードを独自に組み合わせて封入し、中身が分からない状態で販売する商品です。メーカーが販売する公式のパックとは別物で、高額なカードが「当たり」として入っていることを売りにしています。

近年は、このオリパをインターネット上で販売するオリパサイトが増えています。スマートフォンで抽選の演出を楽しめる手軽さから利用が広がる一方、「オリパサイトは違法ではないのか」「賭博に当たらないのか」という疑問も多く聞かれます。

オリパの販売そのものを禁止する法律はありません。しかし、仕組みや表示の仕方によっては、刑法の賭博罪、景品表示法、特定商取引法、古物営業法などに触れることがあります。本記事では、それぞれの法律との関係を整理し、運営者と利用者が注意すべき点を解説します。

オリパとは何か — オンライン化したオリジナルパック販売

オリパの仕組み

オリパは、販売者が自分で仕入れたカードを選んで詰め合わせたものです。1口あたりの価格と総口数が決められ、その中に少数の高額カードと多数の低額カードが入っている、という構成が一般的です。店頭では、封筒や袋に入れた状態で販売されてきました。

オンラインオリパサイトの特徴

オンラインのオリパサイトでは、利用者はまずサイト内で使うポイントやコインを購入し、それを使ってオリパを引きます。結果は画面上にすぐ表示され、当たったカードは後日発送されます。

多くのサイトでは、当たったカードを発送してもらう代わりに、サイト内のポイントに交換できる仕組みが用意されています。交換したポイントで再びオリパを引くことができるため、カードを一度も手にしないまま抽選を繰り返すこともできます。

紙のオリパとの違い

店頭のオリパと比べると、オンラインのオリパには次の特徴があります。第一に、利用者は現物を見ることができず、中身や残り口数は運営者の表示を信じるしかありません。第二に、深夜でも何度でも引くことができ、短時間で高額を使いやすい構造です。第三に、ポイントへの交換によって、カードの売買というより抽選そのものを目的とした利用になりやすい点です。

これらの特徴が、賭博罪や景品表示法との関係を考えるうえで重要になります。

オリパ販売と賭博罪 — 該当しうるパターン

賭博罪の3要件のおさらい

刑法185条は、賭博をした者を50万円以下の罰金又は科料に処すると定めています。賭博とは、(1)偶然の勝敗により、(2)財物や財産上の利益の、(3)得喪を争う行為をいうと解されています。

オリパは何が出るかがランダムに決まるため(1)を満たし、カードには市場価格があるため(2)も満たします。したがって、問題は(3)の「得喪を争う」関係があるかどうかに集約されます。

なお、現時点で、オリパの販売が賭博罪に当たるかを正面から判断した裁判例や行政機関の公式見解は、公表されている範囲では見当たりません。以下は、賭博罪の一般的な解釈と、類似の取引についての業界ガイドラインを手がかりにした整理です。

通常のパック販売と何が違うのか

得喪を争うとは、勝った者が財産を得て、負けた者が財産を失う関係にあることです。当事者の一方が財産を失う危険を負っていなければ、賭博には当たりません。

メーカーが販売する公式のパックも中身はランダムですが、賭博とは考えられていません。購入者は定価に見合う商品としてパックを受け取っており、メーカーも中のカードの転売相場に応じて損得が生じるわけではないからです。NFTのランダム販売について業界5団体が2022年10月に公表したガイドラインも、トレーディングカードのパックを例に挙げ、販売時の価格と二次流通市場の価格とは別の問題であると整理しています。

オリパの事情は、これと異なります。オリパに入っているのは、1枚ごとに相場があり、販売者自身も単品で値段を付けて売買しているカードです。販売者は、1口の価格を上回る価値のカードと、下回る価値のカードを自ら選んで混ぜています。そうすると、高額カードを引いた購入者は支払額を超える財産を得て、低額カードを引いた購入者は支払額に満たない財産しか得られず、その差額分は販売者の利益になる、という関係が見えやすくなります。

賭博罪のリスクが高まる設計

前記のガイドラインは、ランダム販売の価格が、販売会社が別途設定している単品の販売価格のうち最も低い価格を超えないよう留意すること、販売会社が自ら買取価格を設定して買い取ることは避けることを求めています。この考え方を当てはめると、次のような設計は賭博罪のリスクが高いと考えられます。

  • 1口の価格に対して、大半の口が明らかに価値の低いカードしか出ない設計
  • 当たったカードを、運営者が自ら決めたレートでポイントや金銭に交換する設計
  • 交換したポイントで繰り返し引けるようにし、実質的に抽選の結果を次の賭けの原資にできる設計

とくにポイントへの交換は、運営者による買取りと同じ機能を持ちます。利用者がカードではなく交換後のポイントの多寡を争う形になれば、得喪を争う関係が認められやすくなります。

景品表示法との関係

オリパの中身は「景品類」ではない

景品表示法の景品規制は、商品やサービスの取引に付随して提供される「景品類」(おまけ)を対象にしています。消費者庁は、有料ガチャで得られるアイテムについて、取引の対象そのものであり景品類には当たらないと説明しています。オリパで手に入るカードも、購入した商品そのものですから、基本的には景品類ではなく、景品の最高額や総額の規制が直接かかるわけではありません。

一方、「最後の1口を引いた人に追加でカードを贈る」「一定回数引いた人に特典を付ける」といった購入特典は景品類に当たり得ます。抽選で提供するなら一般懸賞(最高額は取引価額の20倍で上限10万円、総額は売上予定総額の2%)、全員に提供するなら総付景品(取引価額1,000円未満は200円、1,000円以上は取引価額の10分の2)の上限を確認する必要があります。

カード合わせ規制との関係

異なる種類のカードの特定の組合せを揃えた人に別の景品を提供する方法は、「カード合わせ」として、金額にかかわらず全面的に禁止されています(懸賞による景品類の提供に関する事項の制限・第5項)。2012年にオンラインゲームのコンプガチャが問題になったのと同じ規制です。「指定の3種類を引き当てたら特賞を進呈」といった企画は、これに当たるおそれがあります。

表示規制(確率・内容物・残り口数)

オリパサイトで最も問題になりやすいのは、表示です。景品表示法5条は、商品の内容を実際より著しく優良であると示す表示(優良誤認表示)や、取引条件を実際より著しく有利であると誤認させる表示(有利誤認表示)を禁止しています。

オリパの当選確率を表示することを義務づける法律はありませんが、表示する以上は正確でなければなりません。次のような表示は、不当表示に当たるおそれがあります。

  • 実際には入っていないカード、すでに出てしまったカードを「当たり」として掲載し続ける
  • 実際より高い当選確率や、実際より少ない総口数を表示する
  • 「還元率○%」と表示しながら、その計算の根拠となるカードの評価額が相場とかけ離れている

違反した場合は、措置命令(同法7条)や、対象売上額の3%を原則とする課徴金納付命令(同法8条)の対象になります。令和6年10月1日施行の改正により、優良誤認表示・有利誤認表示をした者に対する100万円以下の罰金も新設されました(同法48条)。

特定商取引法・古物営業法などとの関係

通信販売としての表示義務

オリパサイトでの販売は、特定商取引法の通信販売に当たります。販売業者は、販売価格、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、申込みの撤回や解除に関する事項、事業者の氏名・住所・電話番号などを広告に表示しなければなりません(同法11条)。申込みの最終確認画面でも、分量や価格、引渡時期などを表示する必要があります(同法12条の6)。

商品の内容などについて、著しく事実と異なる表示や、実際より著しく優良・有利であると誤認させる表示をすることも禁止されています(同法12条)。2026年9月には、弁護士法人が複数のオンラインオリパ事業者について特定商取引法上の問題があるとして消費者庁に申告したことや、購入者が運営会社に損害賠償を求めて集団で提訴したことが報じられており、表示のあり方に注目が集まっています。

返品・キャンセル条件

通信販売にクーリング・オフの制度はありません。ただし、返品に関する特約を広告に表示していない場合、購入者は商品の引渡しを受けた日から8日間、契約を解除して返品することができます(同法15条の3)。「抽選後のキャンセル・返品不可」とするのであれば、その旨を広告と最終確認画面に分かりやすく表示しておく必要があります。

事業者が重要な事項について事実と異なることを告げ、消費者がそれを信じて契約した場合には、消費者契約法4条により契約が取り消されることがあります。

古物営業法・資金決済法

オリパに入れるカードを一般の利用者から買い取って仕入れている場合、その営業は古物営業に当たり、都道府県公安委員会の許可が必要です(古物営業法3条)。無許可で営業すると、3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象になります(同法31条)。

また、利用者が事前に購入するポイントやコインは、資金決済法の前払式支払手段に当たることがあります。未使用残高が基準額を超えると、届出や発行保証金の供託などの義務が生じます。

オリパサイトを企画・運営する事業者のリスク

賭博場開張等図利罪

サイトの仕組みが賭博に当たると評価された場合、運営者には、利用者より重い責任が問われます。刑法186条2項は、賭博場を開張して利益を図った者を3月以上5年以下の拘禁刑に処すると定めています。賭博場は、客を一か所に集める場所である必要はないとされており(最高裁昭和48年2月28日決定・刑集27巻1号68頁)、インターネット上のサービスも対象になり得ます。

景品表示法・特定商取引法違反

表示に関する違反は、賭博罪に比べて当局が動きやすい領域です。措置命令を受ければ事業者名とともに公表され、課徴金の負担も生じます。特定商取引法に違反した場合は、業務停止命令などの行政処分や罰則の対象になります。

消費者トラブルの対応コスト

法令違反とまではいえない場合でも、「当たりが本当に入っていたのか」「発送されない」といった苦情や返金請求への対応は避けられません。総口数や当選履歴を後から説明できる記録を残していなければ、疑いを晴らすこと自体が難しくなります。

違法とされない設計のポイント

当たり外れの価値差を抑える

賭博罪との関係で最も基本的な対策は、どの口を引いても、支払額に見合う価値のカードが手に入る構成にすることです。最も価値の低い口でも1口の価格に見合う内容にしておけば、購入者が財産を失う関係にあるとは言いにくくなります。

買取り・ポイント交換との関係を見直す

当たったカードを運営者がポイントや金銭に交換する仕組みは、賭博罪との関係で最も慎重な検討が必要な部分です。交換の仕組みを設けない、あるいは抽選とは切り離された通常の買取りとして行うなど、抽選の結果がそのまま次の抽選の原資になる循環を作らないことが重要です。

表示と記録を整える

封入しているカード、総口数、当選確率を表示する場合は、実際の設定と一致させ、当たりが出た後は速やかに表示を更新します。抽選のプログラムや当選の履歴を記録として残し、第三者に説明できる状態にしておくことも有効です。景品として掲載するカードを実際に在庫として確保しておくことは、当然の前提です。

利用者側のリスク

賭博罪に問われる可能性

賭博罪は、賭博をした当事者の双方を処罰する規定です。サイトの仕組みが賭博に当たると評価されれば、運営者だけでなく、利用者も刑法185条の対象になり得ます。「サービスとして公開されているから適法」とは限りません。

トラブル時の救済の限界

当たりが入っていなかった、カードが届かない、といったトラブルが起きた場合、表示が事実と異なっていたことを利用者の側で証明するのは簡単ではありません。運営者の所在が分からない、資力がないといった事情があれば、返金を受けることはさらに難しくなります。

使いすぎと未成年者の利用

ポイント交換によって繰り返し引ける仕組みは、短時間に高額を使ってしまいやすい構造です。利用する場合は、あらかじめ使う金額の上限を決めておくことが大切です。未成年者が親の同意なく購入した場合は、契約を取り消せる可能性があります(民法5条)。困ったときは、消費者ホットライン(188)で最寄りの消費生活センターに相談できます。

関連サービスとの比較整理

アプリゲームのガチャ

アプリゲームの有料ガチャは、手に入るアイテムがゲームの中でしか使えず、換金の仕組みがないことを前提に、賭博罪には当たらないと理解されています。オリパは、相場のある現物のカードが手に入る点で、前提が異なります。

NFTのランダム販売

NFTのランダム販売は、手に入るものに市場価格があり転売できる点でオリパと共通します。業界団体のガイドラインが、得喪を争う関係が生じない条件や、買取りを避けるべきことを整理しており、オリパの設計を考えるうえでも参考になります。詳しくは以下の法律記事をご参照ください。

オンラインカジノ

オンラインカジノは、金銭を賭けて勝敗を争い、払戻しを金銭で受ける典型的な賭博です。オリパは商品の売買という形をとっていますが、カードをポイントに交換して引き続けるだけの利用が中心になれば、実態はこれに近づきます。

オリパサイトの適法性は「価値差・買取り・表示」の設計で決まる

オリパの販売そのものは禁止されていません。違法かどうかを分けるのは、(1)外れの口でも支払額に見合う価値があるか、(2)運営者が当選カードを買い取ったりポイントに交換したりしていないか、(3)確率や内容物の表示が実際と一致しているかという設計と運用の中身です。これに加えて、通信販売としての表示、古物商の許可、ポイントの取扱いといった周辺の規制への対応が必要になります。

利用者の側も、表示の根拠が確認できないサイトや、ポイント交換で引き続けることを前提としたサイトには、金銭面だけでなく法的なリスクがあることを知っておく必要があります。

新たにオリパサイトを立ち上げる場合や、運営中のサービスの仕組みに不安がある場合は、弁護士に相談してみることをお勧めします。



本記事の担当

プロスパイア法律事務所
代表弁護士 光股知裕

損保系法律事務所、企業法務系法律事務所での経験を経てプロスパイア法律事務所を設立。IT・インフルエンサー関連事業を主な分野とするネクタル株式会社の代表取締役も務める。企業法務全般、ベンチャー企業法務、インターネット・IT関連法務などを中心に手掛ける。

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