取引基本契約書

01表題は契約の性質を決めない:「契約書」「覚書」「合意書」の違い【入門】「覚書だから拘束力が弱い」は誤解です。当事者間に法的な効果を生じさせる意思表示の合致があれば、表題が契約書でも覚書でも効果は変わりません。それでも表題を使い分ける理由と、決め方の順序を示します。02前文(頭書き)に何を書くか:当事者の表示と、書き足せる一文【入門】契約書の前文では、一般に当事者の表示と略称を示します。それでも交渉で前提にした事情を一句足しておくと、条項の読み方が変わります。書きすぎて義務と読まれないための切り分けも示します。03当事者の表示と、複数当事者間の契約:「甲は乙に対し」で足りなくなるとき【基礎実務】署名欄は契約の効果が誰に帰属するかを決める部分です。当事者が3者以上になると、二者間の雛形の「甲は乙に対し」では足りなくなります。連帯か非連帯か、解除を単独でできるかまで含めて整理します。04書式の戦い:発注書と注文請書、約款の応酬【応用実務】注文書と注文請書の裏面約款が食い違ったまま取引が始まる「書式の戦い」は、日本の取引でも日常的に起きています。ラストショット・ルールとノックアウト・ルールの違い、日本ではどちらにも素直に乗らない理由を示し、基本契約を先に結ぶ、個別契約の成立要件を決める、自社書式以外に拘束されない旨を明示する、という3つの仕組みを整理します。05目的条項は飾りではない:解釈の指針としての機能【基礎実務】目的条項はそれ自体では義務を生みません。それでも、解除事由の「契約をした目的を達することができない」と、契約不適合の「契約の内容に適合しない」の判断で、目的条項が入口になります。争いになる場面から逆算した書き方を示します。06相手方の力関係と、それが法的評価に跳ね返る場面【応用実務】力関係の差そのものは違法ではありません。問題になるのは、差を利用して押し込まれた条項が後で効かなくなったり、押した側の責任の根拠になったりする場面です。優越的地位の判断要素、独占禁止法・取適法・フリーランス法・消費者契約法の規制、条項の私法上の効力を整理します。07自社ひな型を作るか、相手方ひな型を直すか【応用実務】契約書の案はどちらが出すべきか。相手方の案で交渉する手間と、自社ひな型で進めるメリット、大企業の統一書式を直せないときの変更覚書という手当て、「うちのひな型で」と言うための準備を整理します。08別紙・仕様書・発注書との関係と優先順位条項:契約はどの文書でできているか【基礎実務】1つの取引の契約は、本文、別紙、仕様書、注文書を合わせた束でできていることが多く、読むときも束で読みます。別紙が付いているか、版は新しいか、基本契約と個別契約が食い違ったときにどちらが優先するか。優先順位の3つの定め方の長所と短所を踏まえ、契約を構成する文書の一覧を作って読む方法を整理します。09クレーム処理条項の設計:誰が受け、誰が調べ、誰が払うか【基礎実務】消費者からのクレームは、販売した買主に来ることが多いのに、原因を知っているのは製造した売主です。「直ちに通知し、協議する」だけの条項では、誰が調べ、いつまでに何をし、費用を誰が払うかが決まりません。回収費用や弁護士費用の扱いまで含めて、売主・買主それぞれの書き方を整理します。10債務不履行責任と不法行為責任の関係:責任制限条項は不法行為にも効くか【基礎実務】責任制限条項を作り込んでも、不法行為構成で回避されては意味がありません。契約条項が不法行為責任にも及ぶとした最高裁判例と、故意・重過失の場合に外れる場面を整理し、条項の書き出しをどう定めるかを扱います。11損害の範囲と予見可能性:契約書に書くと予見の側に効く【基礎実務】どこまでが「その債務の不履行によって生じた損害」か。通常損害と特別損害の境目に一般的な基準はありません。「予見すべきであった」への改正が何を変えたかと、契約書に取引の目的を書くことが予見可能性の判断に効く仕組みを整理します。12賠償範囲を限定する条項の設計:「通常損害に限る」で落ちるのは特別損害だけ【応用実務】「通常生ずべき損害に限る」と書いても、実際にはほとんど何も変わりません。「直接損害」「現実に生じた損害」が定義されない問題と、落とす損害項目を名指しする改善例、そして条項が限定解釈される場面を整理します。13責任上限条項の設計と相場:上限は対価とセットで決まる【応用実務】賠償額に天井を置く条項は、低く書くほど安全というものではありません。上限が対価と結びついている構造、故意・重過失で外れること、そして例外を書いても定義で空振りした裁判例を扱います。14免責条項の限界:公序良俗・信義則【応用実務】免責条項の効力を正面から決める条文は民法にありません。故意・重過失・軽過失で扱いが分かれる理由、重過失の意味をめぐる二つの理解、そして除外を書かなかったときに条項全体が失われる構造を扱います。15損害賠償額の予定と違約罰の区別【基礎実務】「違約金」と書いただけでは、どちらのつもりかは決まりません。民法420条3項の推定、改正で後段が削除された意味、過失相殺が働くこと、そして11億円の違約金が1000万円まで減額された裁判例から、条項の書き分けを整理します。16予定額を超える損害が生じた場合【応用実務】違約金の額を超える損害が出ても、条項に一文がなければ差額は請求できません。民法420条3項の推定を前提に、レビューで見る5点と、請求する側・される側それぞれの書き足し方、交渉での説明の順序を扱います。17補償条項の設計【応用実務】補償条項は損害賠償条項の言い換えではありません。帰責事由を要件から外し、表明保証違反や第三者請求という発生原因を契約で作る仕組みとして整理し、責任上限との噛み合わせと第三者請求の防御手続まで扱います。18契約不適合責任の全体像【基礎実務】2017年改正で「瑕疵」がなくなり、売主の担保責任は債務不履行の一般原則に整理されました。整理された分だけ損害賠償や解除の要件は一般原則に投げられ、契約不適合かどうかは仕様書で決まるようになっています。4つの救済と、契約書で決めておくべき箇所を追います。19通知期間の設計【基礎実務】契約不適合の通知期間は、民法566条の1年、商法526条の6か月、そして消滅時効の二層構造でできています。起算点が買主の主観で決まってしまう問題と、短縮特約が売主の重過失で外れる場面を、条文と判旨、条項例で追います。20不可抗力条項の意義:帰責事由要件との関係【応用実務】不可抗力条項は「民法どおりのことを書いているだけ」なのか。改正民法が帰責事由を「契約その他の債務の発生原因……に照らして」判断すると定めた以上、契約書に何を不可抗力と書いたかは免責の判断そのものに入ります。条項が確認的か創設的かの見分け方と、通知義務・軽減義務の置き方を扱います。21危険負担と不可抗力【応用実務】引渡し前に目的物が滅失したら、代金はどうなるのか。2017年改正で危険負担の効果は「反対債務の消滅」から「履行拒絶権」に変わりました。契約から確定的に降りるには解除が要ります。危険の移転時期を契約で決める方法と、不可抗力条項との書き分けを扱います。22事情変更の原則:前提が崩れたら契約から降りられるか【専門】原材料が3倍になったら契約から降りられるのか。事情変更の原則は判例で認められていますが、適用される場面は極めて限定的です。判例3件が示す要件、2017年改正で明文化が見送られた理由、そして契約書に代金変更請求権と再交渉義務をどう書くかを扱います。23列挙の網羅性:「その他これらに類する事由」をどう書くか【基礎実務】不可抗力条項の事由の列挙は、長ければよいものではありません。書いていない事象は不可抗力でないと読まれる危険と、「その他不可抗力」が列挙の色に染まる問題。原材料の高騰が入るかどうかと、供給側と支払側で望ましい書き方が正反対になることを、条項例で示します。24秘密情報の範囲の定め方【基礎実務】秘密保持条項は、何を秘密情報とするかで射程が決まります。包括型と限定型の違い、口頭で伝えた情報の扱い、そして「広く書けば守られる」が成り立たない理由を、実務書3冊の指摘から整理します。25秘密情報から除外される情報【基礎実務】秘密保持条項のただし書は、条項の射程を後ろから削ります。除外事由5つの並べ方、立証責任をどちらに置くか、そして「法令に基づく開示」をここに入れてはいけない理由を整理します。26秘密保持義務の内容と存続期間:無期限を求められたときの返し方【基礎実務】秘密保持義務を無期限にすると求められたとき、どう返すか。義務の中身・開示できる範囲・存続期間の3つを分けて見る方法と、期間が長すぎることが条項の効力に響く裁判例を整理します。27法令・行政機関からの開示要求への対応:捜査機関から求められたとき【応用実務】捜査機関や監督官庁から開示を求められたとき、秘密保持条項が判断の妨げになることがあります。除外事由に置くべきでない理由、通知義務を努力義務型にする理由、そして自社が紛争の当事者になったときの扱いを整理します。28委託先監督義務と契約条項:秘密保持条項があれば足りるのか【応用実務】顧客名簿を渡す業務委託で、秘密保持条項があれば足りるのか。個人情報保護法25条の監督義務は契約で緩められません。「必要かつ適切な監督」の3要素、秘密保持条項との3つの違い、そして相手が大手クラウドで監査に応じないときの落としどころを扱います。29非侵害保証条項の意義:保証させても、侵害を証明できなければ動かない【応用実務】「第三者の権利を侵害しないことを保証する」と書かせても、発動するには侵害の証明が要ります。証明できずに保証条項が空振りした知財高裁の事件を軸に、保証の強度の4段階、地理的範囲、責任上限、そして保証より手続のほうが効く理由を扱います。30侵害が判明した場合の対応義務と費用負担:「解決し、または協力し」の「または」が争われた【応用実務】「自己の費用と責任で解決し、または協力し、一切迷惑をかけない」。この一文の「または」をめぐって主導権が争われ、買主が単独でライセンス契約を結んだ結果、過失相殺で7割が削られた事件があります。通知・情報提供・主導権・和解権限の書き分けを扱います。31再委託の可否と承諾の要否:請負なら自由、準委任なら制限という建付け【基礎実務】再委託の条項がない契約で、受託者が業務を外に出しました。止められるかは、その契約が請負か準委任かで変わります。民法644条の2の自己執行義務、請負に規定がない意味、そして性質決定が争いになる契約でどう書くかを扱います。32再委託先の行為に対する責任:「一切の責任を負う」は何も足していない【基礎実務】「再委託先の行為について乙が一切の責任を負う」。この一文は、実は何も足していません。条項がなくても再委託先の落ち度は受託者の債務不履行だからです。ではレビューでどこを見るのか——再委託先を把握する手段と、それを実際に使うことです。33債権譲渡制限特約の効力:「譲渡を禁止する」と書いても譲渡は止まらない【応用実務】「相手方の承諾なく譲渡してはならない」と書いてある契約で、債権が譲渡されました。2017年改正により、この譲渡は有効です。条項に残った機能は履行拒絶の抗弁だけで、違反を理由とする解除は権利濫用と評価され得ます。では何のために置くのかを扱います。34債務引受と契約上の地位の移転:条文が答えていないことを、条項が決める【応用実務】契約上の地位の移転を定める民法539条の2は、一文しかありません。譲渡人が抜けるのか、未払いの代金はどちらに行くのか、事前の包括承諾は効くのか。改正が明文化を見送った7項目と、それを条項でどう埋めるかを扱います。35将来債権の譲渡:まだ発生していない債権を譲る。どこまで、いつまで【専門】来年の売上を、いま担保に出せるか。出せます。ただし条文は「発生していなくてよい」としか書いていません。何年先まで譲れるのか、譲った後で事業や不動産が他人に移ったら債権はどちらのものか。判例が引いた線と、明文化が見送られた穴を扱います。36Change of Control条項の設計:通知は来るが、何もできない契約になっていないか【応用実務】取引先の株式が競合他社に買われました。契約の当事者は変わっていないので、契約はそのまま続きます。通知義務だけを置いた契約では、知らせは来ても取引をやめる根拠がありません。知る仕組みと、知ったあと動ける仕組みの二階建てで設計します。37期限の利益喪失:自動で効くほうが有利、とは限らない【基礎実務】期限の利益喪失条項には、通知なしで自動的に効く当然喪失型と、請求して初めて効く請求喪失型があります。自動のほうが有利に見えますが、当然喪失型は消滅時効を早く走らせ、放置すれば信義則で覆されます。事由の性質で振り分ける書き方を扱います。
10 共通条項の条項別解説

表題は契約の性質を決めない:「契約書」「覚書」「合意書」の違い

「覚書だから拘束力が弱い」は誤解です。当事者間に法的な効果を生じさせる意思表示の合致があれば、表題が契約書でも覚書でも効果は変わりません。それでも表題を使い分ける理由と、決め方の順序を示します。
10 共通条項の条項別解説

前文(頭書き)に何を書くか:当事者の表示と、書き足せる一文

契約書の前文では、一般に当事者の表示と略称を示します。それでも交渉で前提にした事情を一句足しておくと、条項の読み方が変わります。書きすぎて義務と読まれないための切り分けも示します。
10 共通条項の条項別解説

当事者の表示と、複数当事者間の契約:「甲は乙に対し」で足りなくなるとき

署名欄は契約の効果が誰に帰属するかを決める部分です。当事者が3者以上になると、二者間の雛形の「甲は乙に対し」では足りなくなります。連帯か非連帯か、解除を単独でできるかまで含めて整理します。
04 契約締結過程と契約の成立

書式の戦い:発注書と注文請書、約款の応酬

注文書と注文請書の裏面約款が食い違ったまま取引が始まる「書式の戦い」は、日本の取引でも日常的に起きています。ラストショット・ルールとノックアウト・ルールの違い、日本ではどちらにも素直に乗らない理由を示し、基本契約を先に結ぶ、個別契約の成立要件を決める、自社書式以外に拘束されない旨を明示する、という3つの仕組みを整理します。
10 共通条項の条項別解説

目的条項は飾りではない:解釈の指針としての機能

目的条項はそれ自体では義務を生みません。それでも、解除事由の「契約をした目的を達することができない」と、契約不適合の「契約の内容に適合しない」の判断で、目的条項が入口になります。争いになる場面から逆算した書き方を示します。
07 契約交渉

相手方の力関係と、それが法的評価に跳ね返る場面

力関係の差そのものは違法ではありません。問題になるのは、差を利用して押し込まれた条項が後で効かなくなったり、押した側の責任の根拠になったりする場面です。優越的地位の判断要素、独占禁止法・取適法・フリーランス法・消費者契約法の規制、条項の私法上の効力を整理します。
05 契約書を作成する技術

自社ひな型を作るか、相手方ひな型を直すか

契約書の案はどちらが出すべきか。相手方の案で交渉する手間と、自社ひな型で進めるメリット、大企業の統一書式を直せないときの変更覚書という手当て、「うちのひな型で」と言うための準備を整理します。
03 契約書を読む技術

別紙・仕様書・発注書との関係と優先順位条項:契約はどの文書でできているか

1つの取引の契約は、本文、別紙、仕様書、注文書を合わせた束でできていることが多く、読むときも束で読みます。別紙が付いているか、版は新しいか、基本契約と個別契約が食い違ったときにどちらが優先するか。優先順位の3つの定め方の長所と短所を踏まえ、契約を構成する文書の一覧を作って読む方法を整理します。
10 共通条項の条項別解説

クレーム処理条項の設計:誰が受け、誰が調べ、誰が払うか

消費者からのクレームは、販売した買主に来ることが多いのに、原因を知っているのは製造した売主です。「直ちに通知し、協議する」だけの条項では、誰が調べ、いつまでに何をし、費用を誰が払うかが決まりません。回収費用や弁護士費用の扱いまで含めて、売主・買主それぞれの書き方を整理します。
10 共通条項の条項別解説

債務不履行責任と不法行為責任の関係:責任制限条項は不法行為にも効くか

責任制限条項を作り込んでも、不法行為構成で回避されては意味がありません。契約条項が不法行為責任にも及ぶとした最高裁判例と、故意・重過失の場合に外れる場面を整理し、条項の書き出しをどう定めるかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

損害の範囲と予見可能性:契約書に書くと予見の側に効く

どこまでが「その債務の不履行によって生じた損害」か。通常損害と特別損害の境目に一般的な基準はありません。「予見すべきであった」への改正が何を変えたかと、契約書に取引の目的を書くことが予見可能性の判断に効く仕組みを整理します。
10 共通条項の条項別解説

賠償範囲を限定する条項の設計:「通常損害に限る」で落ちるのは特別損害だけ

「通常生ずべき損害に限る」と書いても、実際にはほとんど何も変わりません。「直接損害」「現実に生じた損害」が定義されない問題と、落とす損害項目を名指しする改善例、そして条項が限定解釈される場面を整理します。
10 共通条項の条項別解説

責任上限条項の設計と相場:上限は対価とセットで決まる

賠償額に天井を置く条項は、低く書くほど安全というものではありません。上限が対価と結びついている構造、故意・重過失で外れること、そして例外を書いても定義で空振りした裁判例を扱います。
10 共通条項の条項別解説

免責条項の限界:公序良俗・信義則

免責条項の効力を正面から決める条文は民法にありません。故意・重過失・軽過失で扱いが分かれる理由、重過失の意味をめぐる二つの理解、そして除外を書かなかったときに条項全体が失われる構造を扱います。
10 共通条項の条項別解説

損害賠償額の予定と違約罰の区別

「違約金」と書いただけでは、どちらのつもりかは決まりません。民法420条3項の推定、改正で後段が削除された意味、過失相殺が働くこと、そして11億円の違約金が1000万円まで減額された裁判例から、条項の書き分けを整理します。
10 共通条項の条項別解説

予定額を超える損害が生じた場合

違約金の額を超える損害が出ても、条項に一文がなければ差額は請求できません。民法420条3項の推定を前提に、レビューで見る5点と、請求する側・される側それぞれの書き足し方、交渉での説明の順序を扱います。
10 共通条項の条項別解説

補償条項の設計

補償条項は損害賠償条項の言い換えではありません。帰責事由を要件から外し、表明保証違反や第三者請求という発生原因を契約で作る仕組みとして整理し、責任上限との噛み合わせと第三者請求の防御手続まで扱います。
10 共通条項の条項別解説

契約不適合責任の全体像

2017年改正で「瑕疵」がなくなり、売主の担保責任は債務不履行の一般原則に整理されました。整理された分だけ損害賠償や解除の要件は一般原則に投げられ、契約不適合かどうかは仕様書で決まるようになっています。4つの救済と、契約書で決めておくべき箇所を追います。
10 共通条項の条項別解説

通知期間の設計

契約不適合の通知期間は、民法566条の1年、商法526条の6か月、そして消滅時効の二層構造でできています。起算点が買主の主観で決まってしまう問題と、短縮特約が売主の重過失で外れる場面を、条文と判旨、条項例で追います。
10 共通条項の条項別解説

不可抗力条項の意義:帰責事由要件との関係

不可抗力条項は「民法どおりのことを書いているだけ」なのか。改正民法が帰責事由を「契約その他の債務の発生原因……に照らして」判断すると定めた以上、契約書に何を不可抗力と書いたかは免責の判断そのものに入ります。条項が確認的か創設的かの見分け方と、通知義務・軽減義務の置き方を扱います。
10 共通条項の条項別解説

危険負担と不可抗力

引渡し前に目的物が滅失したら、代金はどうなるのか。2017年改正で危険負担の効果は「反対債務の消滅」から「履行拒絶権」に変わりました。契約から確定的に降りるには解除が要ります。危険の移転時期を契約で決める方法と、不可抗力条項との書き分けを扱います。
10 共通条項の条項別解説

事情変更の原則:前提が崩れたら契約から降りられるか

原材料が3倍になったら契約から降りられるのか。事情変更の原則は判例で認められていますが、適用される場面は極めて限定的です。判例3件が示す要件、2017年改正で明文化が見送られた理由、そして契約書に代金変更請求権と再交渉義務をどう書くかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

列挙の網羅性:「その他これらに類する事由」をどう書くか

不可抗力条項の事由の列挙は、長ければよいものではありません。書いていない事象は不可抗力でないと読まれる危険と、「その他不可抗力」が列挙の色に染まる問題。原材料の高騰が入るかどうかと、供給側と支払側で望ましい書き方が正反対になることを、条項例で示します。
10 共通条項の条項別解説

秘密情報の範囲の定め方

秘密保持条項は、何を秘密情報とするかで射程が決まります。包括型と限定型の違い、口頭で伝えた情報の扱い、そして「広く書けば守られる」が成り立たない理由を、実務書3冊の指摘から整理します。
10 共通条項の条項別解説

秘密情報から除外される情報

秘密保持条項のただし書は、条項の射程を後ろから削ります。除外事由5つの並べ方、立証責任をどちらに置くか、そして「法令に基づく開示」をここに入れてはいけない理由を整理します。
10 共通条項の条項別解説

秘密保持義務の内容と存続期間:無期限を求められたときの返し方

秘密保持義務を無期限にすると求められたとき、どう返すか。義務の中身・開示できる範囲・存続期間の3つを分けて見る方法と、期間が長すぎることが条項の効力に響く裁判例を整理します。
10 共通条項の条項別解説

法令・行政機関からの開示要求への対応:捜査機関から求められたとき

捜査機関や監督官庁から開示を求められたとき、秘密保持条項が判断の妨げになることがあります。除外事由に置くべきでない理由、通知義務を努力義務型にする理由、そして自社が紛争の当事者になったときの扱いを整理します。
10 共通条項の条項別解説

委託先監督義務と契約条項:秘密保持条項があれば足りるのか

顧客名簿を渡す業務委託で、秘密保持条項があれば足りるのか。個人情報保護法25条の監督義務は契約で緩められません。「必要かつ適切な監督」の3要素、秘密保持条項との3つの違い、そして相手が大手クラウドで監査に応じないときの落としどころを扱います。
10 共通条項の条項別解説

非侵害保証条項の意義:保証させても、侵害を証明できなければ動かない

「第三者の権利を侵害しないことを保証する」と書かせても、発動するには侵害の証明が要ります。証明できずに保証条項が空振りした知財高裁の事件を軸に、保証の強度の4段階、地理的範囲、責任上限、そして保証より手続のほうが効く理由を扱います。
10 共通条項の条項別解説

侵害が判明した場合の対応義務と費用負担:「解決し、または協力し」の「または」が争われた

「自己の費用と責任で解決し、または協力し、一切迷惑をかけない」。この一文の「または」をめぐって主導権が争われ、買主が単独でライセンス契約を結んだ結果、過失相殺で7割が削られた事件があります。通知・情報提供・主導権・和解権限の書き分けを扱います。
10 共通条項の条項別解説

再委託の可否と承諾の要否:請負なら自由、準委任なら制限という建付け

再委託の条項がない契約で、受託者が業務を外に出しました。止められるかは、その契約が請負か準委任かで変わります。民法644条の2の自己執行義務、請負に規定がない意味、そして性質決定が争いになる契約でどう書くかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

再委託先の行為に対する責任:「一切の責任を負う」は何も足していない

「再委託先の行為について乙が一切の責任を負う」。この一文は、実は何も足していません。条項がなくても再委託先の落ち度は受託者の債務不履行だからです。ではレビューでどこを見るのか——再委託先を把握する手段と、それを実際に使うことです。
10 共通条項の条項別解説

債権譲渡制限特約の効力:「譲渡を禁止する」と書いても譲渡は止まらない

「相手方の承諾なく譲渡してはならない」と書いてある契約で、債権が譲渡されました。2017年改正により、この譲渡は有効です。条項に残った機能は履行拒絶の抗弁だけで、違反を理由とする解除は権利濫用と評価され得ます。では何のために置くのかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

債務引受と契約上の地位の移転:条文が答えていないことを、条項が決める

契約上の地位の移転を定める民法539条の2は、一文しかありません。譲渡人が抜けるのか、未払いの代金はどちらに行くのか、事前の包括承諾は効くのか。改正が明文化を見送った7項目と、それを条項でどう埋めるかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

将来債権の譲渡:まだ発生していない債権を譲る。どこまで、いつまで

来年の売上を、いま担保に出せるか。出せます。ただし条文は「発生していなくてよい」としか書いていません。何年先まで譲れるのか、譲った後で事業や不動産が他人に移ったら債権はどちらのものか。判例が引いた線と、明文化が見送られた穴を扱います。
10 共通条項の条項別解説

Change of Control条項の設計:通知は来るが、何もできない契約になっていないか

取引先の株式が競合他社に買われました。契約の当事者は変わっていないので、契約はそのまま続きます。通知義務だけを置いた契約では、知らせは来ても取引をやめる根拠がありません。知る仕組みと、知ったあと動ける仕組みの二階建てで設計します。
10 共通条項の条項別解説

期限の利益喪失:自動で効くほうが有利、とは限らない

期限の利益喪失条項には、通知なしで自動的に効く当然喪失型と、請求して初めて効く請求喪失型があります。自動のほうが有利に見えますが、当然喪失型は消滅時効を早く走らせ、放置すれば信義則で覆されます。事由の性質で振り分ける書き方を扱います。