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01契約自由の原則とその限界:4つの自由と、その外側【入門】契約自由の原則は、締結の自由・相手方選択の自由・内容決定の自由・方式の自由の4つに分かれます。2017年改正でこのうち3つが条文になり、同時に「法令に特別の定めがある場合を除き」「法令の制限内において」という限界も条文に書かれました。4つの自由それぞれがどこで制限されるかを、条文と実務書の記述で整理します。02ひな型の選び方と、ひな型が前提にしている取引像【基礎実務】すべてのひな型は、ある特定の取引を想定して書かれています。ひな型の立場(売主寄りか買主寄りか)、想定している取引、作られた時期の見分け方と、目の前の取引との差を洗い出して直す手順を整理します。03任意規定と強行法規:「書かなければどうなるか」【基礎実務】契約書から条項を1つ削っても、その部分は空白になりません。民法や商法が当てはまるルールを用意しているからです。任意規定と強行規定の見分け方、任意規定の2つの働き方、そして任意規定が消費者契約法10条や定型約款の規定で条項を測る基準として使われていることを整理し、条項を読むときの3つの問いにまとめます。04前文(頭書き)に何を書くか:当事者の表示と、書き足せる一文【入門】契約書の前文では、一般に当事者の表示と略称を示します。それでも交渉で前提にした事情を一句足しておくと、条項の読み方が変わります。書きすぎて義務と読まれないための切り分けも示します。05典型契約という発想:民法の13類型と現実の取引【基礎実務】民法に「業務委託契約」という契約はありません。名前のある契約は13種類で、そのどれに当たるかで適用される規定が変わります。典型契約が何のためにあるのか、混合契約や現実類型をどう扱うのか、見極めた結果を契約書にどう書き込むのかを整理します。06当事者の表示と、複数当事者間の契約:「甲は乙に対し」で足りなくなるとき【基礎実務】署名欄は契約の効果が誰に帰属するかを決める部分です。当事者が3者以上になると、二者間の雛形の「甲は乙に対し」では足りなくなります。連帯か非連帯か、解除を単独でできるかまで含めて整理します。07条項の順序と構造化【基礎実務】契約書の条項の順番に法律上の決まりはありませんが、よくある順序はあります。取引に固有の条項と一般条項の並べ方、似た条項が離れて置かれる・後から足した条項が末尾に溜まるという問題と、並べ方・条見出しの付け方を整理します。08曖昧さを残す技術・消す技術【応用実務】契約書の曖昧さには、決めきれずにあえて残したものと、書き損じて残ったものがあります。誠実協議条項・努力義務・「等」・定義の不一致・主語の欠落を例に、残すなら記録する、消すなら数値と列挙で消すという書き分けを整理します。09目的条項は飾りではない:解釈の指針としての機能【基礎実務】目的条項はそれ自体では義務を生みません。それでも、解除事由の「契約をした目的を達することができない」と、契約不適合の「契約の内容に適合しない」の判断で、目的条項が入口になります。争いになる場面から逆算した書き方を示します。10英文契約由来の条項が和文契約に流入した経緯:来たのは条項だけだった【応用実務】表明保証、完全合意、分離可能性、権利不放棄、存続条項。国内の和文契約に並ぶこれらの条項は、英米法の契約書から入ってきました。英米法では条項の外側に口頭証拠排除の準則や懈怠の法理があり、条項はそれを使う・封じるために書かれています。日本に来たのは条項の文言だけで、働き方は条項ごとに変わります。裁判例の扱いと、和文契約に入れるかどうかの判断の仕方を整理します。11日本語として読める契約書を書く:一文の長さと係り受け【基礎実務】読めない条項は現場で守られません。一文が長い、係り受けが2通りに読める、二重否定、「又は」の重なりという4つの問題と、一文一義・項と号への分割・係る語と受ける語を近づける直し方を、条項例の書き換えで示します。12無効・取消し・条件と期限【基礎実務】契約が「効かない」と言うとき、無効・取消し・条件未成就・期限到来のどれかで扱いが変わります。誰が主張できるか、いつまで主張できるか、渡したものをどう戻すか。条件付きの契約を書くときに決めておく4点と、分離可能性条項・期限の利益喪失条項が民法のどこを埋めているかまで整理します。13別紙・仕様書への切り出し方【基礎実務】別紙に出すのは本文をすっきりさせるためではなく、変更の手続を分けるためです。仕様・作業分担・個人情報の取扱いの切り出し方と、別紙の付け忘れ・変更手続の不在という問題、本文と別紙で変更手続を分ける条項例を示します。14定義条項の作り方:定義が効く範囲と、定義しすぎの弊害【基礎実務】定義条項で決めた語の中身が、そのまま義務の範囲になります。同じ「仕様書等」が売主案と買主案で別物になる実例、使っていない定義の削り方、列挙のつなぎ方で範囲が変わる問題、そして自社が義務を負う語は狭く権利を得る語は広くという書き分けを扱います。15契約書・別紙・仕様書・発注書の優先順位条項【基礎実務】「本契約が優先する」と一律に書くと、仕様書の具体的な数値が本文の抽象的な記載に負けます。事項ごとに優先順位を変える条項例、注文書の裏面約款を封じる一文、そして優先されない文書も解釈指針としては生きるという整理を扱います。16先の見通しの立たない取引をどう契約にするか【専門】システム開発や共同研究のように、始める時点で何が起きるか分からない取引をどう契約にするか。決まっていることと後で決まることを分け、多段階契約、協議条項と不調時の処理、再交渉条項(ハードシップ条項)、段階ごとの解約権の4つの道具の使い分けを整理します。17予約・条件付契約【応用実務】相手方に「本契約を締結する義務」を負わせる方法として、予約と停止条件付契約があります。予約完結権の仕組み、停止条件付契約・基本合意書との違い、入金リンク条項を停止条件ではないとした最高裁判決、条件成就の妨害の規定から、どれをどう書くかを整理します。18契約期間の始期・終期と期間の計算方法【入門】「締結日から1年間」と「4月1日から1年間」では、満了日が1日ずれます。初日不算入(民法140条)と末日の休日(民法142条)の扱い、「翌日から起算して」の一言で計算を不要にする書き方、そして期間条項が契約を終わらせるための条項であることを扱います。19契約締結日前に遡らせる意味と限界:バックデートと遡及条項【応用実務】取引が先に始まり、契約書が後追いになったとき、契約書の日付を取引開始日まで遡らせてよいのか。合意より前の日付を書くことは許されず、効力だけを遡らせるなら遡及条項を使います。遡る範囲の特定と、遡る期間に終わった取引の扱いまで、条項の書き方を整理します。20支払時期・支払場所の定め方:書かなければ、代金はいつどこで払うのか【基礎実務】代金の支払時期や支払場所を契約書に書かなければ、民法の原則が埋めます。引渡しと同じ期限に、売主の住所へ持参して支払う。実務の「月末締め翌月末払い・振込」は、この原則を書き換えたものです。何を書き換えているのかを知ると、条項の抜けに気づけます。21法定利率と約定利率:改正民法の変動利率と、利率を書いておく理由【基礎実務】改正民法で法定利率は年3%の変動制になりました。遅延損害金の利率は、債権ごとに遅滞に陥った時点の法定利率で決まります。約定利率を書く理由は、利率を高くするためだけではありません。法定利率の変動を追わずに済むという、予測可能性のための理由を整理します。22保証金・預託金:取引一般の場合【応用実務】取引基本契約の保証金は、条項に書いただけでは担保にならず、お金が預けられて初めて担保になります。金額と差入日、充当と補填、保証金との相殺の禁止、返還時期と利息。よくある条項例に抜けている点を、預かる側・預ける側それぞれの立場から整理します。23担当者条項と窓口の特定:名前を書いた後の変更と、担当者の約束【入門】担当者条項は、誰に届けば相手方に届いたことになるかを決める条項です。担当者が異動しても記載が古いまま残る、通知条項と宛先が食い違う、担当者どうしの約束が契約の変更と主張される。取引基本契約で起きやすい3つの問題と、担当者条項・通知条項・変更条項の役割分担を整理します。24賠償範囲を限定する条項の設計:「通常損害に限る」で落ちるのは特別損害だけ【応用実務】「通常生ずべき損害に限る」と書いても、実際にはほとんど何も変わりません。「直接損害」「現実に生じた損害」が定義されない問題と、落とす損害項目を名指しする改善例、そして条項が限定解釈される場面を整理します。25損害賠償額の予定と違約罰の区別【基礎実務】「違約金」と書いただけでは、どちらのつもりかは決まりません。民法420条3項の推定、改正で後段が削除された意味、過失相殺が働くこと、そして11億円の違約金が1000万円まで減額された裁判例から、条項の書き分けを整理します。26表明保証とは何か:英文契約からの流入と和文契約での機能【応用実務】民法にない表明保証が、なぜ和文契約に載っているのか。英米法から来たのは条項だけで判例法は来なかったという出発点、契約不適合責任との違い(範囲の明確化と期間制限の排除)、違反の効果が民法ではなく契約書で決まる二段構え、そして「保証しない」条項という逆向きの使い方まで扱います。27契約不適合責任の全体像【基礎実務】2017年改正で「瑕疵」がなくなり、売主の担保責任は債務不履行の一般原則に整理されました。整理された分だけ損害賠償や解除の要件は一般原則に投げられ、契約不適合かどうかは仕様書で決まるようになっています。4つの救済と、契約書で決めておくべき箇所を追います。28不可抗力条項の意義:帰責事由要件との関係【応用実務】不可抗力条項は「民法どおりのことを書いているだけ」なのか。改正民法が帰責事由を「契約その他の債務の発生原因……に照らして」判断すると定めた以上、契約書に何を不可抗力と書いたかは免責の判断そのものに入ります。条項が確認的か創設的かの見分け方と、通知義務・軽減義務の置き方を扱います。29危険負担と不可抗力【応用実務】引渡し前に目的物が滅失したら、代金はどうなるのか。2017年改正で危険負担の効果は「反対債務の消滅」から「履行拒絶権」に変わりました。契約から確定的に降りるには解除が要ります。危険の移転時期を契約で決める方法と、不可抗力条項との書き分けを扱います。30ウィーン売買条約79条との対比:国際売買では何が免責事由か【専門】「本契約は日本法に準拠する」と書いてもウィーン売買条約は排除できません。条約79条の免責要件は日本民法の帰責事由と何が違うのか、下請の不履行が二重の要件になること、そして排除するときの書き方を、条約の正文で確認しながら扱います。31秘密情報の範囲の定め方【基礎実務】秘密保持条項は、何を秘密情報とするかで射程が決まります。包括型と限定型の違い、口頭で伝えた情報の扱い、そして「広く書けば守られる」が成り立たない理由を、実務書3冊の指摘から整理します。32委託先監督義務と契約条項:秘密保持条項があれば足りるのか【応用実務】顧客名簿を渡す業務委託で、秘密保持条項があれば足りるのか。個人情報保護法25条の監督義務は契約で緩められません。「必要かつ適切な監督」の3要素、秘密保持条項との3つの違い、そして相手が大手クラウドで監査に応じないときの落としどころを扱います。33個人データの越境移転:条項でどこまで確保するか【専門】海外の委託先から「個人情報保護法および関係法令に従い適切に対応する」の一文でどうかと言われたら。基準適合体制は契約そのものが体制になります。何をどこまで書けばよいのか、移転先が決まっていないときの本人同意、そして提供後の年1回の確認義務までを条項に落とします。34成果物の権利帰属の定め方:「一切の権利」では足りない【基礎実務】「本件業務の過程で生じた著作権その他一切の権利は甲に帰属する」と書いても、著作権法61条2項により27条・28条は受託者に残ったものと推定されます。特掲の要否、譲渡か確認かの区別、対価の書き込み、そして特掲していてもなお対象物の範囲で争いになった裁判例を扱います。35既存知財と成果物の切り分け:受託者が自分の資産を使えなくなる条項【応用実務】「成果物の著作権は委託者に移転する」と書くと、受託者が過去に作った共通ライブラリまで移転しかねません。留保だけを書くと今度は委託者が納品物を使えません。留保と利用許諾を組で書く方法と、中小受託取引適正化法の限界を扱います。36非侵害保証条項の意義:保証させても、侵害を証明できなければ動かない【応用実務】「第三者の権利を侵害しないことを保証する」と書かせても、発動するには侵害の証明が要ります。証明できずに保証条項が空振りした知財高裁の事件を軸に、保証の強度の4段階、地理的範囲、責任上限、そして保証より手続のほうが効く理由を扱います。37再委託の可否と承諾の要否:請負なら自由、準委任なら制限という建付け【基礎実務】再委託の条項がない契約で、受託者が業務を外に出しました。止められるかは、その契約が請負か準委任かで変わります。民法644条の2の自己執行義務、請負に規定がない意味、そして性質決定が争いになる契約でどう書くかを扱います。38債権譲渡制限特約の効力:「譲渡を禁止する」と書いても譲渡は止まらない【応用実務】「相手方の承諾なく譲渡してはならない」と書いてある契約で、債権が譲渡されました。2017年改正により、この譲渡は有効です。条項に残った機能は履行拒絶の抗弁だけで、違反を理由とする解除は権利濫用と評価され得ます。では何のために置くのかを扱います。39債務引受と契約上の地位の移転:条文が答えていないことを、条項が決める【応用実務】契約上の地位の移転を定める民法539条の2は、一文しかありません。譲渡人が抜けるのか、未払いの代金はどちらに行くのか、事前の包括承諾は効くのか。改正が明文化を見送った7項目と、それを条項でどう埋めるかを扱います。40将来債権の譲渡:まだ発生していない債権を譲る。どこまで、いつまで【専門】来年の売上を、いま担保に出せるか。出せます。ただし条文は「発生していなくてよい」としか書いていません。何年先まで譲れるのか、譲った後で事業や不動産が他人に移ったら債権はどちらのものか。判例が引いた線と、明文化が見送られた穴を扱います。41Change of Control条項の設計:通知は来るが、何もできない契約になっていないか【応用実務】取引先の株式が競合他社に買われました。契約の当事者は変わっていないので、契約はそのまま続きます。通知義務だけを置いた契約では、知らせは来ても取引をやめる根拠がありません。知る仕組みと、知ったあと動ける仕組みの二階建てで設計します。42期限の利益喪失:自動で効くほうが有利、とは限らない【基礎実務】期限の利益喪失条項には、通知なしで自動的に効く当然喪失型と、請求して初めて効く請求喪失型があります。自動のほうが有利に見えますが、当然喪失型は消滅時効を早く走らせ、放置すれば信義則で覆されます。事由の性質で振り分ける書き方を扱います。
02 契約の基礎理論

契約自由の原則とその限界:4つの自由と、その外側

契約自由の原則は、締結の自由・相手方選択の自由・内容決定の自由・方式の自由の4つに分かれます。2017年改正でこのうち3つが条文になり、同時に「法令に特別の定めがある場合を除き」「法令の制限内において」という限界も条文に書かれました。4つの自由それぞれがどこで制限されるかを、条文と実務書の記述で整理します。
05 契約書を作成する技術

ひな型の選び方と、ひな型が前提にしている取引像

すべてのひな型は、ある特定の取引を想定して書かれています。ひな型の立場(売主寄りか買主寄りか)、想定している取引、作られた時期の見分け方と、目の前の取引との差を洗い出して直す手順を整理します。
02 契約の基礎理論

任意規定と強行法規:「書かなければどうなるか」

契約書から条項を1つ削っても、その部分は空白になりません。民法や商法が当てはまるルールを用意しているからです。任意規定と強行規定の見分け方、任意規定の2つの働き方、そして任意規定が消費者契約法10条や定型約款の規定で条項を測る基準として使われていることを整理し、条項を読むときの3つの問いにまとめます。
10 共通条項の条項別解説

前文(頭書き)に何を書くか:当事者の表示と、書き足せる一文

契約書の前文では、一般に当事者の表示と略称を示します。それでも交渉で前提にした事情を一句足しておくと、条項の読み方が変わります。書きすぎて義務と読まれないための切り分けも示します。
02 契約の基礎理論

典型契約という発想:民法の13類型と現実の取引

民法に「業務委託契約」という契約はありません。名前のある契約は13種類で、そのどれに当たるかで適用される規定が変わります。典型契約が何のためにあるのか、混合契約や現実類型をどう扱うのか、見極めた結果を契約書にどう書き込むのかを整理します。
10 共通条項の条項別解説

当事者の表示と、複数当事者間の契約:「甲は乙に対し」で足りなくなるとき

署名欄は契約の効果が誰に帰属するかを決める部分です。当事者が3者以上になると、二者間の雛形の「甲は乙に対し」では足りなくなります。連帯か非連帯か、解除を単独でできるかまで含めて整理します。
05 契約書を作成する技術

条項の順序と構造化

契約書の条項の順番に法律上の決まりはありませんが、よくある順序はあります。取引に固有の条項と一般条項の並べ方、似た条項が離れて置かれる・後から足した条項が末尾に溜まるという問題と、並べ方・条見出しの付け方を整理します。
05 契約書を作成する技術

曖昧さを残す技術・消す技術

契約書の曖昧さには、決めきれずにあえて残したものと、書き損じて残ったものがあります。誠実協議条項・努力義務・「等」・定義の不一致・主語の欠落を例に、残すなら記録する、消すなら数値と列挙で消すという書き分けを整理します。
10 共通条項の条項別解説

目的条項は飾りではない:解釈の指針としての機能

目的条項はそれ自体では義務を生みません。それでも、解除事由の「契約をした目的を達することができない」と、契約不適合の「契約の内容に適合しない」の判断で、目的条項が入口になります。争いになる場面から逆算した書き方を示します。
09 共通条項総論

英文契約由来の条項が和文契約に流入した経緯:来たのは条項だけだった

表明保証、完全合意、分離可能性、権利不放棄、存続条項。国内の和文契約に並ぶこれらの条項は、英米法の契約書から入ってきました。英米法では条項の外側に口頭証拠排除の準則や懈怠の法理があり、条項はそれを使う・封じるために書かれています。日本に来たのは条項の文言だけで、働き方は条項ごとに変わります。裁判例の扱いと、和文契約に入れるかどうかの判断の仕方を整理します。
05 契約書を作成する技術

日本語として読める契約書を書く:一文の長さと係り受け

読めない条項は現場で守られません。一文が長い、係り受けが2通りに読める、二重否定、「又は」の重なりという4つの問題と、一文一義・項と号への分割・係る語と受ける語を近づける直し方を、条項例の書き換えで示します。
02 契約の基礎理論

無効・取消し・条件と期限

契約が「効かない」と言うとき、無効・取消し・条件未成就・期限到来のどれかで扱いが変わります。誰が主張できるか、いつまで主張できるか、渡したものをどう戻すか。条件付きの契約を書くときに決めておく4点と、分離可能性条項・期限の利益喪失条項が民法のどこを埋めているかまで整理します。
05 契約書を作成する技術

別紙・仕様書への切り出し方

別紙に出すのは本文をすっきりさせるためではなく、変更の手続を分けるためです。仕様・作業分担・個人情報の取扱いの切り出し方と、別紙の付け忘れ・変更手続の不在という問題、本文と別紙で変更手続を分ける条項例を示します。
10 共通条項の条項別解説

定義条項の作り方:定義が効く範囲と、定義しすぎの弊害

定義条項で決めた語の中身が、そのまま義務の範囲になります。同じ「仕様書等」が売主案と買主案で別物になる実例、使っていない定義の削り方、列挙のつなぎ方で範囲が変わる問題、そして自社が義務を負う語は狭く権利を得る語は広くという書き分けを扱います。
10 共通条項の条項別解説

契約書・別紙・仕様書・発注書の優先順位条項

「本契約が優先する」と一律に書くと、仕様書の具体的な数値が本文の抽象的な記載に負けます。事項ごとに優先順位を変える条項例、注文書の裏面約款を封じる一文、そして優先されない文書も解釈指針としては生きるという整理を扱います。
04 契約締結過程と契約の成立

先の見通しの立たない取引をどう契約にするか

システム開発や共同研究のように、始める時点で何が起きるか分からない取引をどう契約にするか。決まっていることと後で決まることを分け、多段階契約、協議条項と不調時の処理、再交渉条項(ハードシップ条項)、段階ごとの解約権の4つの道具の使い分けを整理します。
04 契約締結過程と契約の成立

予約・条件付契約

相手方に「本契約を締結する義務」を負わせる方法として、予約と停止条件付契約があります。予約完結権の仕組み、停止条件付契約・基本合意書との違い、入金リンク条項を停止条件ではないとした最高裁判決、条件成就の妨害の規定から、どれをどう書くかを整理します。
10 共通条項の条項別解説

契約期間の始期・終期と期間の計算方法

「締結日から1年間」と「4月1日から1年間」では、満了日が1日ずれます。初日不算入(民法140条)と末日の休日(民法142条)の扱い、「翌日から起算して」の一言で計算を不要にする書き方、そして期間条項が契約を終わらせるための条項であることを扱います。
10 共通条項の条項別解説

契約締結日前に遡らせる意味と限界:バックデートと遡及条項

取引が先に始まり、契約書が後追いになったとき、契約書の日付を取引開始日まで遡らせてよいのか。合意より前の日付を書くことは許されず、効力だけを遡らせるなら遡及条項を使います。遡る範囲の特定と、遡る期間に終わった取引の扱いまで、条項の書き方を整理します。
10 共通条項の条項別解説

支払時期・支払場所の定め方:書かなければ、代金はいつどこで払うのか

代金の支払時期や支払場所を契約書に書かなければ、民法の原則が埋めます。引渡しと同じ期限に、売主の住所へ持参して支払う。実務の「月末締め翌月末払い・振込」は、この原則を書き換えたものです。何を書き換えているのかを知ると、条項の抜けに気づけます。
10 共通条項の条項別解説

法定利率と約定利率:改正民法の変動利率と、利率を書いておく理由

改正民法で法定利率は年3%の変動制になりました。遅延損害金の利率は、債権ごとに遅滞に陥った時点の法定利率で決まります。約定利率を書く理由は、利率を高くするためだけではありません。法定利率の変動を追わずに済むという、予測可能性のための理由を整理します。
10 共通条項の条項別解説

保証金・預託金:取引一般の場合

取引基本契約の保証金は、条項に書いただけでは担保にならず、お金が預けられて初めて担保になります。金額と差入日、充当と補填、保証金との相殺の禁止、返還時期と利息。よくある条項例に抜けている点を、預かる側・預ける側それぞれの立場から整理します。
10 共通条項の条項別解説

担当者条項と窓口の特定:名前を書いた後の変更と、担当者の約束

担当者条項は、誰に届けば相手方に届いたことになるかを決める条項です。担当者が異動しても記載が古いまま残る、通知条項と宛先が食い違う、担当者どうしの約束が契約の変更と主張される。取引基本契約で起きやすい3つの問題と、担当者条項・通知条項・変更条項の役割分担を整理します。
10 共通条項の条項別解説

賠償範囲を限定する条項の設計:「通常損害に限る」で落ちるのは特別損害だけ

「通常生ずべき損害に限る」と書いても、実際にはほとんど何も変わりません。「直接損害」「現実に生じた損害」が定義されない問題と、落とす損害項目を名指しする改善例、そして条項が限定解釈される場面を整理します。
10 共通条項の条項別解説

損害賠償額の予定と違約罰の区別

「違約金」と書いただけでは、どちらのつもりかは決まりません。民法420条3項の推定、改正で後段が削除された意味、過失相殺が働くこと、そして11億円の違約金が1000万円まで減額された裁判例から、条項の書き分けを整理します。
10 共通条項の条項別解説

表明保証とは何か:英文契約からの流入と和文契約での機能

民法にない表明保証が、なぜ和文契約に載っているのか。英米法から来たのは条項だけで判例法は来なかったという出発点、契約不適合責任との違い(範囲の明確化と期間制限の排除)、違反の効果が民法ではなく契約書で決まる二段構え、そして「保証しない」条項という逆向きの使い方まで扱います。
10 共通条項の条項別解説

契約不適合責任の全体像

2017年改正で「瑕疵」がなくなり、売主の担保責任は債務不履行の一般原則に整理されました。整理された分だけ損害賠償や解除の要件は一般原則に投げられ、契約不適合かどうかは仕様書で決まるようになっています。4つの救済と、契約書で決めておくべき箇所を追います。
10 共通条項の条項別解説

不可抗力条項の意義:帰責事由要件との関係

不可抗力条項は「民法どおりのことを書いているだけ」なのか。改正民法が帰責事由を「契約その他の債務の発生原因……に照らして」判断すると定めた以上、契約書に何を不可抗力と書いたかは免責の判断そのものに入ります。条項が確認的か創設的かの見分け方と、通知義務・軽減義務の置き方を扱います。
10 共通条項の条項別解説

危険負担と不可抗力

引渡し前に目的物が滅失したら、代金はどうなるのか。2017年改正で危険負担の効果は「反対債務の消滅」から「履行拒絶権」に変わりました。契約から確定的に降りるには解除が要ります。危険の移転時期を契約で決める方法と、不可抗力条項との書き分けを扱います。
10 共通条項の条項別解説

ウィーン売買条約79条との対比:国際売買では何が免責事由か

「本契約は日本法に準拠する」と書いてもウィーン売買条約は排除できません。条約79条の免責要件は日本民法の帰責事由と何が違うのか、下請の不履行が二重の要件になること、そして排除するときの書き方を、条約の正文で確認しながら扱います。
10 共通条項の条項別解説

秘密情報の範囲の定め方

秘密保持条項は、何を秘密情報とするかで射程が決まります。包括型と限定型の違い、口頭で伝えた情報の扱い、そして「広く書けば守られる」が成り立たない理由を、実務書3冊の指摘から整理します。
10 共通条項の条項別解説

委託先監督義務と契約条項:秘密保持条項があれば足りるのか

顧客名簿を渡す業務委託で、秘密保持条項があれば足りるのか。個人情報保護法25条の監督義務は契約で緩められません。「必要かつ適切な監督」の3要素、秘密保持条項との3つの違い、そして相手が大手クラウドで監査に応じないときの落としどころを扱います。
10 共通条項の条項別解説

個人データの越境移転:条項でどこまで確保するか

海外の委託先から「個人情報保護法および関係法令に従い適切に対応する」の一文でどうかと言われたら。基準適合体制は契約そのものが体制になります。何をどこまで書けばよいのか、移転先が決まっていないときの本人同意、そして提供後の年1回の確認義務までを条項に落とします。
10 共通条項の条項別解説

成果物の権利帰属の定め方:「一切の権利」では足りない

「本件業務の過程で生じた著作権その他一切の権利は甲に帰属する」と書いても、著作権法61条2項により27条・28条は受託者に残ったものと推定されます。特掲の要否、譲渡か確認かの区別、対価の書き込み、そして特掲していてもなお対象物の範囲で争いになった裁判例を扱います。
10 共通条項の条項別解説

既存知財と成果物の切り分け:受託者が自分の資産を使えなくなる条項

「成果物の著作権は委託者に移転する」と書くと、受託者が過去に作った共通ライブラリまで移転しかねません。留保だけを書くと今度は委託者が納品物を使えません。留保と利用許諾を組で書く方法と、中小受託取引適正化法の限界を扱います。
10 共通条項の条項別解説

非侵害保証条項の意義:保証させても、侵害を証明できなければ動かない

「第三者の権利を侵害しないことを保証する」と書かせても、発動するには侵害の証明が要ります。証明できずに保証条項が空振りした知財高裁の事件を軸に、保証の強度の4段階、地理的範囲、責任上限、そして保証より手続のほうが効く理由を扱います。
10 共通条項の条項別解説

再委託の可否と承諾の要否:請負なら自由、準委任なら制限という建付け

再委託の条項がない契約で、受託者が業務を外に出しました。止められるかは、その契約が請負か準委任かで変わります。民法644条の2の自己執行義務、請負に規定がない意味、そして性質決定が争いになる契約でどう書くかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

債権譲渡制限特約の効力:「譲渡を禁止する」と書いても譲渡は止まらない

「相手方の承諾なく譲渡してはならない」と書いてある契約で、債権が譲渡されました。2017年改正により、この譲渡は有効です。条項に残った機能は履行拒絶の抗弁だけで、違反を理由とする解除は権利濫用と評価され得ます。では何のために置くのかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

債務引受と契約上の地位の移転:条文が答えていないことを、条項が決める

契約上の地位の移転を定める民法539条の2は、一文しかありません。譲渡人が抜けるのか、未払いの代金はどちらに行くのか、事前の包括承諾は効くのか。改正が明文化を見送った7項目と、それを条項でどう埋めるかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

将来債権の譲渡:まだ発生していない債権を譲る。どこまで、いつまで

来年の売上を、いま担保に出せるか。出せます。ただし条文は「発生していなくてよい」としか書いていません。何年先まで譲れるのか、譲った後で事業や不動産が他人に移ったら債権はどちらのものか。判例が引いた線と、明文化が見送られた穴を扱います。
10 共通条項の条項別解説

Change of Control条項の設計:通知は来るが、何もできない契約になっていないか

取引先の株式が競合他社に買われました。契約の当事者は変わっていないので、契約はそのまま続きます。通知義務だけを置いた契約では、知らせは来ても取引をやめる根拠がありません。知る仕組みと、知ったあと動ける仕組みの二階建てで設計します。
10 共通条項の条項別解説

期限の利益喪失:自動で効くほうが有利、とは限らない

期限の利益喪失条項には、通知なしで自動的に効く当然喪失型と、請求して初めて効く請求喪失型があります。自動のほうが有利に見えますが、当然喪失型は消滅時効を早く走らせ、放置すれば信義則で覆されます。事由の性質で振り分ける書き方を扱います。