業務委託契約書

01表題は契約の性質を決めない:「契約書」「覚書」「合意書」の違い【入門】「覚書だから拘束力が弱い」は誤解です。当事者間に法的な効果を生じさせる意思表示の合致があれば、表題が契約書でも覚書でも効果は変わりません。それでも表題を使い分ける理由と、決め方の順序を示します。02前文(頭書き)に何を書くか:当事者の表示と、書き足せる一文【入門】契約書の前文では、一般に当事者の表示と略称を示します。それでも交渉で前提にした事情を一句足しておくと、条項の読み方が変わります。書きすぎて義務と読まれないための切り分けも示します。03典型契約という発想:民法の13類型と現実の取引【基礎実務】民法に「業務委託契約」という契約はありません。名前のある契約は13種類で、そのどれに当たるかで適用される規定が変わります。典型契約が何のためにあるのか、混合契約や現実類型をどう扱うのか、見極めた結果を契約書にどう書き込むのかを整理します。04当事者の表示と、複数当事者間の契約:「甲は乙に対し」で足りなくなるとき【基礎実務】署名欄は契約の効果が誰に帰属するかを決める部分です。当事者が3者以上になると、二者間の雛形の「甲は乙に対し」では足りなくなります。連帯か非連帯か、解除を単独でできるかまで含めて整理します。05目的条項は飾りではない:解釈の指針としての機能【基礎実務】目的条項はそれ自体では義務を生みません。それでも、解除事由の「契約をした目的を達することができない」と、契約不適合の「契約の内容に適合しない」の判断で、目的条項が入口になります。争いになる場面から逆算した書き方を示します。06別紙・仕様書への切り出し方【基礎実務】別紙に出すのは本文をすっきりさせるためではなく、変更の手続を分けるためです。仕様・作業分担・個人情報の取扱いの切り出し方と、別紙の付け忘れ・変更手続の不在という問題、本文と別紙で変更手続を分ける条項例を示します。07定義条項の作り方:定義が効く範囲と、定義しすぎの弊害【基礎実務】定義条項で決めた語の中身が、そのまま義務の範囲になります。同じ「仕様書等」が売主案と買主案で別物になる実例、使っていない定義の削り方、列挙のつなぎ方で範囲が変わる問題、そして自社が義務を負う語は狭く権利を得る語は広くという書き分けを扱います。08相手方の力関係と、それが法的評価に跳ね返る場面【応用実務】力関係の差そのものは違法ではありません。問題になるのは、差を利用して押し込まれた条項が後で効かなくなったり、押した側の責任の根拠になったりする場面です。優越的地位の判断要素、独占禁止法・取適法・フリーランス法・消費者契約法の規制、条項の私法上の効力を整理します。09契約書・別紙・仕様書・発注書の優先順位条項【基礎実務】「本契約が優先する」と一律に書くと、仕様書の具体的な数値が本文の抽象的な記載に負けます。事項ごとに優先順位を変える条項例、注文書の裏面約款を封じる一文、そして優先されない文書も解釈指針としては生きるという整理を扱います。10先の見通しの立たない取引をどう契約にするか【専門】システム開発や共同研究のように、始める時点で何が起きるか分からない取引をどう契約にするか。決まっていることと後で決まることを分け、多段階契約、協議条項と不調時の処理、再交渉条項(ハードシップ条項)、段階ごとの解約権の4つの道具の使い分けを整理します。11クロスボーダー交渉と契約書の英文化【応用実務】日本語のひな型を訳せば英文契約になるわけではありません。言語の問題・法制度の問題・商慣習の問題を切り分け、反社条項や請負/準委任のように対応する英語がない概念をどう書くか、準拠法とCISGの扱いをどう決めるかを整理します。12契約期間の始期・終期と期間の計算方法【入門】「締結日から1年間」と「4月1日から1年間」では、満了日が1日ずれます。初日不算入(民法140条)と末日の休日(民法142条)の扱い、「翌日から起算して」の一言で計算を不要にする書き方、そして期間条項が契約を終わらせるための条項であることを扱います。13自動更新条項:意義と留意点【基礎実務】契約書どおりに更新拒絶を通知しても、更新を止められないことがあります。約8年続いた業務委託契約で、5か月前の更新拒絶が「相当な予告期間とはいえない」とされた裁判例から、通知の期限・方法をどう書くか、そして書いても防げない部分を扱います。14中途解約条項:留保しないとどうなるか【基礎実務】期間を定めた契約は、中途解約条項がなければ途中で抜けられません。期間の定めがある場合とない場合で出発点が逆になること、予告期間を「相当な」と書くと争いになること、そして請負641条・委任651条の任意解除権との関係を扱います。15更新後の期間・条件が定まっていない場合【基礎実務】「同一の条件で更新される」とだけ書くと、更新後が1年契約なのか期間の定めのない契約なのかが決まりません。終了に双方の合意を要する形で「以後も同様とする」を足すと、今度は終わりがなくなります。永久自動更新条項について、交渉された条項とされなかった条項で拘束力に差を付けた裁判例まで追います。16報告義務条項:何を、どの頻度で【基礎実務】業務委託契約の報告義務条項は、「適時、報告を求めることができる」で止まっていると、求めない限り報告が来ません。委任なら民法645条の報告義務がありますが、請負と解釈されれば当てにできません。報告の中身・頻度・方法と、報告を受けた後の是正までを、委託者・受託者それぞれの立場から整理します。17債務不履行責任と不法行為責任の関係:責任制限条項は不法行為にも効くか【基礎実務】責任制限条項を作り込んでも、不法行為構成で回避されては意味がありません。契約条項が不法行為責任にも及ぶとした最高裁判例と、故意・重過失の場合に外れる場面を整理し、条項の書き出しをどう定めるかを扱います。18損害の範囲と予見可能性:契約書に書くと予見の側に効く【基礎実務】どこまでが「その債務の不履行によって生じた損害」か。通常損害と特別損害の境目に一般的な基準はありません。「予見すべきであった」への改正が何を変えたかと、契約書に取引の目的を書くことが予見可能性の判断に効く仕組みを整理します。19賠償範囲を限定する条項の設計:「通常損害に限る」で落ちるのは特別損害だけ【応用実務】「通常生ずべき損害に限る」と書いても、実際にはほとんど何も変わりません。「直接損害」「現実に生じた損害」が定義されない問題と、落とす損害項目を名指しする改善例、そして条項が限定解釈される場面を整理します。20責任上限条項の設計と相場:上限は対価とセットで決まる【応用実務】賠償額に天井を置く条項は、低く書くほど安全というものではありません。上限が対価と結びついている構造、故意・重過失で外れること、そして例外を書いても定義で空振りした裁判例を扱います。21免責条項の限界:公序良俗・信義則【応用実務】免責条項の効力を正面から決める条文は民法にありません。故意・重過失・軽過失で扱いが分かれる理由、重過失の意味をめぐる二つの理解、そして除外を書かなかったときに条項全体が失われる構造を扱います。22消費者契約法による規制【応用実務】BtoCでは、免責条項は合理性ではなく類型で無効になります。全部免責・一部免責・サルベージ条項規制を条文で整理し、条項が不明確なときの3要件、条項使用者不利の原則、限定解釈がどこまで期待できるかを裁判例で追います。23割賦販売法・特定商取引法・独占禁止法による規制【応用実務】業法は、条項の合理性を審査せずに額の上限そのものを決めます。割賦販売法・特定商取引法の上限規制と抗弁の接続、書面交付義務とクーリング・オフ、独占禁止法の優越的地位の濫用、そして2026年に改称された取適法を整理します。24損害賠償額の予定と違約罰の区別【基礎実務】「違約金」と書いただけでは、どちらのつもりかは決まりません。民法420条3項の推定、改正で後段が削除された意味、過失相殺が働くこと、そして11億円の違約金が1000万円まで減額された裁判例から、条項の書き分けを整理します。25予定額を超える損害が生じた場合【応用実務】違約金の額を超える損害が出ても、条項に一文がなければ差額は請求できません。民法420条3項の推定を前提に、レビューで見る5点と、請求する側・される側それぞれの書き足し方、交渉での説明の順序を扱います。26解約一時金・中途解約違約金条項の効力【応用実務】残存期間の全額を違約金とする条項は、どこまで残るのか。1年分は有効・3年2か月分は無効とした裁判例と、フランチャイズ契約の解約一時金を無効とした判断枠組みから、水準の目盛りと交渉での説明のしかたを扱います。27補償条項の設計【応用実務】補償条項は損害賠償条項の言い換えではありません。帰責事由を要件から外し、表明保証違反や第三者請求という発生原因を契約で作る仕組みとして整理し、責任上限との噛み合わせと第三者請求の防御手続まで扱います。28契約不適合責任の全体像【基礎実務】2017年改正で「瑕疵」がなくなり、売主の担保責任は債務不履行の一般原則に整理されました。整理された分だけ損害賠償や解除の要件は一般原則に投げられ、契約不適合かどうかは仕様書で決まるようになっています。4つの救済と、契約書で決めておくべき箇所を追います。29通知期間の設計【基礎実務】契約不適合の通知期間は、民法566条の1年、商法526条の6か月、そして消滅時効の二層構造でできています。起算点が買主の主観で決まってしまう問題と、短縮特約が売主の重過失で外れる場面を、条文と判旨、条項例で追います。30請負における修補・報酬減額・出来高請求【応用実務】請負の担保責任は2017年改正で規定が削られ、売買の規定を準用する形になりました。修補請求の限界、修補に代わる損害賠償の順序、報酬減額請求、そして仕事が途中で終わったときの出来高請求まで、削られた条文を契約書でどう戻すかを条項例で示します。31契約不適合責任を免除・軽減する条項の限界【応用実務】「一切の契約不適合責任を負わない」と書いても、売主が知りながら告げなかった事実には効きません(民法572条)。免除条項の限界と、全部免除が通らないときに事由を列挙して部分免除にする書き方を、条項例で示します。32不可抗力条項の意義:帰責事由要件との関係【応用実務】不可抗力条項は「民法どおりのことを書いているだけ」なのか。改正民法が帰責事由を「契約その他の債務の発生原因……に照らして」判断すると定めた以上、契約書に何を不可抗力と書いたかは免責の判断そのものに入ります。条項が確認的か創設的かの見分け方と、通知義務・軽減義務の置き方を扱います。33列挙の網羅性:「その他これらに類する事由」をどう書くか【基礎実務】不可抗力条項の事由の列挙は、長ければよいものではありません。書いていない事象は不可抗力でないと読まれる危険と、「その他不可抗力」が列挙の色に染まる問題。原材料の高騰が入るかどうかと、供給側と支払側で望ましい書き方が正反対になることを、条項例で示します。34秘密情報の範囲の定め方【基礎実務】秘密保持条項は、何を秘密情報とするかで射程が決まります。包括型と限定型の違い、口頭で伝えた情報の扱い、そして「広く書けば守られる」が成り立たない理由を、実務書3冊の指摘から整理します。35秘密情報から除外される情報【基礎実務】秘密保持条項のただし書は、条項の射程を後ろから削ります。除外事由5つの並べ方、立証責任をどちらに置くか、そして「法令に基づく開示」をここに入れてはいけない理由を整理します。36秘密保持義務の内容と存続期間:無期限を求められたときの返し方【基礎実務】秘密保持義務を無期限にすると求められたとき、どう返すか。義務の中身・開示できる範囲・存続期間の3つを分けて見る方法と、期間が長すぎることが条項の効力に響く裁判例を整理します。37法令・行政機関からの開示要求への対応:捜査機関から求められたとき【応用実務】捜査機関や監督官庁から開示を求められたとき、秘密保持条項が判断の妨げになることがあります。除外事由に置くべきでない理由、通知義務を努力義務型にする理由、そして自社が紛争の当事者になったときの扱いを整理します。38委託先監督義務と契約条項:秘密保持条項があれば足りるのか【応用実務】顧客名簿を渡す業務委託で、秘密保持条項があれば足りるのか。個人情報保護法25条の監督義務は契約で緩められません。「必要かつ適切な監督」の3要素、秘密保持条項との3つの違い、そして相手が大手クラウドで監査に応じないときの落としどころを扱います。39再委託の扱い:個人データが二次先へ流れるとき【応用実務】委託先がさらに別の会社に出しているとき、委託元は何をすればよいのか。再委託先の事故が委託元の法違反と判断され得ること、条項を入れただけでは監督したことにならないこと、そして原則禁止型・事前通知型・事後報告型の使い分けを扱います。40漏えい等発生時の報告・通知義務と契約条項【応用実務】委託先から「不正アクセスがあったようです」と連絡が来たとき、報告するのは誰か。速報の目安3〜5日、確報30日、そして委託先が委託元に通知した瞬間に報告も本人通知も委託元の仕事になる仕組みを、条項の書き方まで落として扱います。41個人データの越境移転:条項でどこまで確保するか【専門】海外の委託先から「個人情報保護法および関係法令に従い適切に対応する」の一文でどうかと言われたら。基準適合体制は契約そのものが体制になります。何をどこまで書けばよいのか、移転先が決まっていないときの本人同意、そして提供後の年1回の確認義務までを条項に落とします。42成果物の権利帰属の定め方:「一切の権利」では足りない【基礎実務】「本件業務の過程で生じた著作権その他一切の権利は甲に帰属する」と書いても、著作権法61条2項により27条・28条は受託者に残ったものと推定されます。特掲の要否、譲渡か確認かの区別、対価の書き込み、そして特掲していてもなお対象物の範囲で争いになった裁判例を扱います。43著作者人格権不行使特約:書いても効かないことがある【応用実務】著作者人格権は譲渡できないので、実務は「行使しない」と約束させます。ところが不行使特約が契約書にあったのに氏名表示権については合意がなかったとされた裁判例と、特約がないのに同一性保持権の行使が認められなかった裁判例があります。どちらも決め手は慣行でした。44既存知財と成果物の切り分け:受託者が自分の資産を使えなくなる条項【応用実務】「成果物の著作権は委託者に移転する」と書くと、受託者が過去に作った共通ライブラリまで移転しかねません。留保だけを書くと今度は委託者が納品物を使えません。留保と利用許諾を組で書く方法と、中小受託取引適正化法の限界を扱います。45再委託の可否と承諾の要否:請負なら自由、準委任なら制限という建付け【基礎実務】再委託の条項がない契約で、受託者が業務を外に出しました。止められるかは、その契約が請負か準委任かで変わります。民法644条の2の自己執行義務、請負に規定がない意味、そして性質決定が争いになる契約でどう書くかを扱います。46再委託先の行為に対する責任:「一切の責任を負う」は何も足していない【基礎実務】「再委託先の行為について乙が一切の責任を負う」。この一文は、実は何も足していません。条項がなくても再委託先の落ち度は受託者の債務不履行だからです。ではレビューでどこを見るのか——再委託先を把握する手段と、それを実際に使うことです。47債権譲渡制限特約の効力:「譲渡を禁止する」と書いても譲渡は止まらない【応用実務】「相手方の承諾なく譲渡してはならない」と書いてある契約で、債権が譲渡されました。2017年改正により、この譲渡は有効です。条項に残った機能は履行拒絶の抗弁だけで、違反を理由とする解除は権利濫用と評価され得ます。では何のために置くのかを扱います。48債務引受と契約上の地位の移転:条文が答えていないことを、条項が決める【応用実務】契約上の地位の移転を定める民法539条の2は、一文しかありません。譲渡人が抜けるのか、未払いの代金はどちらに行くのか、事前の包括承諾は効くのか。改正が明文化を見送った7項目と、それを条項でどう埋めるかを扱います。49Change of Control条項の設計:通知は来るが、何もできない契約になっていないか【応用実務】取引先の株式が競合他社に買われました。契約の当事者は変わっていないので、契約はそのまま続きます。通知義務だけを置いた契約では、知らせは来ても取引をやめる根拠がありません。知る仕組みと、知ったあと動ける仕組みの二階建てで設計します。
10 共通条項の条項別解説

表題は契約の性質を決めない:「契約書」「覚書」「合意書」の違い

「覚書だから拘束力が弱い」は誤解です。当事者間に法的な効果を生じさせる意思表示の合致があれば、表題が契約書でも覚書でも効果は変わりません。それでも表題を使い分ける理由と、決め方の順序を示します。
10 共通条項の条項別解説

前文(頭書き)に何を書くか:当事者の表示と、書き足せる一文

契約書の前文では、一般に当事者の表示と略称を示します。それでも交渉で前提にした事情を一句足しておくと、条項の読み方が変わります。書きすぎて義務と読まれないための切り分けも示します。
02 契約の基礎理論

典型契約という発想:民法の13類型と現実の取引

民法に「業務委託契約」という契約はありません。名前のある契約は13種類で、そのどれに当たるかで適用される規定が変わります。典型契約が何のためにあるのか、混合契約や現実類型をどう扱うのか、見極めた結果を契約書にどう書き込むのかを整理します。
10 共通条項の条項別解説

当事者の表示と、複数当事者間の契約:「甲は乙に対し」で足りなくなるとき

署名欄は契約の効果が誰に帰属するかを決める部分です。当事者が3者以上になると、二者間の雛形の「甲は乙に対し」では足りなくなります。連帯か非連帯か、解除を単独でできるかまで含めて整理します。
10 共通条項の条項別解説

目的条項は飾りではない:解釈の指針としての機能

目的条項はそれ自体では義務を生みません。それでも、解除事由の「契約をした目的を達することができない」と、契約不適合の「契約の内容に適合しない」の判断で、目的条項が入口になります。争いになる場面から逆算した書き方を示します。
05 契約書を作成する技術

別紙・仕様書への切り出し方

別紙に出すのは本文をすっきりさせるためではなく、変更の手続を分けるためです。仕様・作業分担・個人情報の取扱いの切り出し方と、別紙の付け忘れ・変更手続の不在という問題、本文と別紙で変更手続を分ける条項例を示します。
10 共通条項の条項別解説

定義条項の作り方:定義が効く範囲と、定義しすぎの弊害

定義条項で決めた語の中身が、そのまま義務の範囲になります。同じ「仕様書等」が売主案と買主案で別物になる実例、使っていない定義の削り方、列挙のつなぎ方で範囲が変わる問題、そして自社が義務を負う語は狭く権利を得る語は広くという書き分けを扱います。
07 契約交渉

相手方の力関係と、それが法的評価に跳ね返る場面

力関係の差そのものは違法ではありません。問題になるのは、差を利用して押し込まれた条項が後で効かなくなったり、押した側の責任の根拠になったりする場面です。優越的地位の判断要素、独占禁止法・取適法・フリーランス法・消費者契約法の規制、条項の私法上の効力を整理します。
10 共通条項の条項別解説

契約書・別紙・仕様書・発注書の優先順位条項

「本契約が優先する」と一律に書くと、仕様書の具体的な数値が本文の抽象的な記載に負けます。事項ごとに優先順位を変える条項例、注文書の裏面約款を封じる一文、そして優先されない文書も解釈指針としては生きるという整理を扱います。
04 契約締結過程と契約の成立

先の見通しの立たない取引をどう契約にするか

システム開発や共同研究のように、始める時点で何が起きるか分からない取引をどう契約にするか。決まっていることと後で決まることを分け、多段階契約、協議条項と不調時の処理、再交渉条項(ハードシップ条項)、段階ごとの解約権の4つの道具の使い分けを整理します。
07 契約交渉

クロスボーダー交渉と契約書の英文化

日本語のひな型を訳せば英文契約になるわけではありません。言語の問題・法制度の問題・商慣習の問題を切り分け、反社条項や請負/準委任のように対応する英語がない概念をどう書くか、準拠法とCISGの扱いをどう決めるかを整理します。
10 共通条項の条項別解説

契約期間の始期・終期と期間の計算方法

「締結日から1年間」と「4月1日から1年間」では、満了日が1日ずれます。初日不算入(民法140条)と末日の休日(民法142条)の扱い、「翌日から起算して」の一言で計算を不要にする書き方、そして期間条項が契約を終わらせるための条項であることを扱います。
10 共通条項の条項別解説

自動更新条項:意義と留意点

契約書どおりに更新拒絶を通知しても、更新を止められないことがあります。約8年続いた業務委託契約で、5か月前の更新拒絶が「相当な予告期間とはいえない」とされた裁判例から、通知の期限・方法をどう書くか、そして書いても防げない部分を扱います。
10 共通条項の条項別解説

中途解約条項:留保しないとどうなるか

期間を定めた契約は、中途解約条項がなければ途中で抜けられません。期間の定めがある場合とない場合で出発点が逆になること、予告期間を「相当な」と書くと争いになること、そして請負641条・委任651条の任意解除権との関係を扱います。
10 共通条項の条項別解説

更新後の期間・条件が定まっていない場合

「同一の条件で更新される」とだけ書くと、更新後が1年契約なのか期間の定めのない契約なのかが決まりません。終了に双方の合意を要する形で「以後も同様とする」を足すと、今度は終わりがなくなります。永久自動更新条項について、交渉された条項とされなかった条項で拘束力に差を付けた裁判例まで追います。
10 共通条項の条項別解説

報告義務条項:何を、どの頻度で

業務委託契約の報告義務条項は、「適時、報告を求めることができる」で止まっていると、求めない限り報告が来ません。委任なら民法645条の報告義務がありますが、請負と解釈されれば当てにできません。報告の中身・頻度・方法と、報告を受けた後の是正までを、委託者・受託者それぞれの立場から整理します。
10 共通条項の条項別解説

債務不履行責任と不法行為責任の関係:責任制限条項は不法行為にも効くか

責任制限条項を作り込んでも、不法行為構成で回避されては意味がありません。契約条項が不法行為責任にも及ぶとした最高裁判例と、故意・重過失の場合に外れる場面を整理し、条項の書き出しをどう定めるかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

損害の範囲と予見可能性:契約書に書くと予見の側に効く

どこまでが「その債務の不履行によって生じた損害」か。通常損害と特別損害の境目に一般的な基準はありません。「予見すべきであった」への改正が何を変えたかと、契約書に取引の目的を書くことが予見可能性の判断に効く仕組みを整理します。
10 共通条項の条項別解説

賠償範囲を限定する条項の設計:「通常損害に限る」で落ちるのは特別損害だけ

「通常生ずべき損害に限る」と書いても、実際にはほとんど何も変わりません。「直接損害」「現実に生じた損害」が定義されない問題と、落とす損害項目を名指しする改善例、そして条項が限定解釈される場面を整理します。
10 共通条項の条項別解説

責任上限条項の設計と相場:上限は対価とセットで決まる

賠償額に天井を置く条項は、低く書くほど安全というものではありません。上限が対価と結びついている構造、故意・重過失で外れること、そして例外を書いても定義で空振りした裁判例を扱います。
10 共通条項の条項別解説

免責条項の限界:公序良俗・信義則

免責条項の効力を正面から決める条文は民法にありません。故意・重過失・軽過失で扱いが分かれる理由、重過失の意味をめぐる二つの理解、そして除外を書かなかったときに条項全体が失われる構造を扱います。
10 共通条項の条項別解説

消費者契約法による規制

BtoCでは、免責条項は合理性ではなく類型で無効になります。全部免責・一部免責・サルベージ条項規制を条文で整理し、条項が不明確なときの3要件、条項使用者不利の原則、限定解釈がどこまで期待できるかを裁判例で追います。
10 共通条項の条項別解説

割賦販売法・特定商取引法・独占禁止法による規制

業法は、条項の合理性を審査せずに額の上限そのものを決めます。割賦販売法・特定商取引法の上限規制と抗弁の接続、書面交付義務とクーリング・オフ、独占禁止法の優越的地位の濫用、そして2026年に改称された取適法を整理します。
10 共通条項の条項別解説

損害賠償額の予定と違約罰の区別

「違約金」と書いただけでは、どちらのつもりかは決まりません。民法420条3項の推定、改正で後段が削除された意味、過失相殺が働くこと、そして11億円の違約金が1000万円まで減額された裁判例から、条項の書き分けを整理します。
10 共通条項の条項別解説

予定額を超える損害が生じた場合

違約金の額を超える損害が出ても、条項に一文がなければ差額は請求できません。民法420条3項の推定を前提に、レビューで見る5点と、請求する側・される側それぞれの書き足し方、交渉での説明の順序を扱います。
10 共通条項の条項別解説

解約一時金・中途解約違約金条項の効力

残存期間の全額を違約金とする条項は、どこまで残るのか。1年分は有効・3年2か月分は無効とした裁判例と、フランチャイズ契約の解約一時金を無効とした判断枠組みから、水準の目盛りと交渉での説明のしかたを扱います。
10 共通条項の条項別解説

補償条項の設計

補償条項は損害賠償条項の言い換えではありません。帰責事由を要件から外し、表明保証違反や第三者請求という発生原因を契約で作る仕組みとして整理し、責任上限との噛み合わせと第三者請求の防御手続まで扱います。
10 共通条項の条項別解説

契約不適合責任の全体像

2017年改正で「瑕疵」がなくなり、売主の担保責任は債務不履行の一般原則に整理されました。整理された分だけ損害賠償や解除の要件は一般原則に投げられ、契約不適合かどうかは仕様書で決まるようになっています。4つの救済と、契約書で決めておくべき箇所を追います。
10 共通条項の条項別解説

通知期間の設計

契約不適合の通知期間は、民法566条の1年、商法526条の6か月、そして消滅時効の二層構造でできています。起算点が買主の主観で決まってしまう問題と、短縮特約が売主の重過失で外れる場面を、条文と判旨、条項例で追います。
10 共通条項の条項別解説

請負における修補・報酬減額・出来高請求

請負の担保責任は2017年改正で規定が削られ、売買の規定を準用する形になりました。修補請求の限界、修補に代わる損害賠償の順序、報酬減額請求、そして仕事が途中で終わったときの出来高請求まで、削られた条文を契約書でどう戻すかを条項例で示します。
10 共通条項の条項別解説

契約不適合責任を免除・軽減する条項の限界

「一切の契約不適合責任を負わない」と書いても、売主が知りながら告げなかった事実には効きません(民法572条)。免除条項の限界と、全部免除が通らないときに事由を列挙して部分免除にする書き方を、条項例で示します。
10 共通条項の条項別解説

不可抗力条項の意義:帰責事由要件との関係

不可抗力条項は「民法どおりのことを書いているだけ」なのか。改正民法が帰責事由を「契約その他の債務の発生原因……に照らして」判断すると定めた以上、契約書に何を不可抗力と書いたかは免責の判断そのものに入ります。条項が確認的か創設的かの見分け方と、通知義務・軽減義務の置き方を扱います。
10 共通条項の条項別解説

列挙の網羅性:「その他これらに類する事由」をどう書くか

不可抗力条項の事由の列挙は、長ければよいものではありません。書いていない事象は不可抗力でないと読まれる危険と、「その他不可抗力」が列挙の色に染まる問題。原材料の高騰が入るかどうかと、供給側と支払側で望ましい書き方が正反対になることを、条項例で示します。
10 共通条項の条項別解説

秘密情報の範囲の定め方

秘密保持条項は、何を秘密情報とするかで射程が決まります。包括型と限定型の違い、口頭で伝えた情報の扱い、そして「広く書けば守られる」が成り立たない理由を、実務書3冊の指摘から整理します。
10 共通条項の条項別解説

秘密情報から除外される情報

秘密保持条項のただし書は、条項の射程を後ろから削ります。除外事由5つの並べ方、立証責任をどちらに置くか、そして「法令に基づく開示」をここに入れてはいけない理由を整理します。
10 共通条項の条項別解説

秘密保持義務の内容と存続期間:無期限を求められたときの返し方

秘密保持義務を無期限にすると求められたとき、どう返すか。義務の中身・開示できる範囲・存続期間の3つを分けて見る方法と、期間が長すぎることが条項の効力に響く裁判例を整理します。
10 共通条項の条項別解説

法令・行政機関からの開示要求への対応:捜査機関から求められたとき

捜査機関や監督官庁から開示を求められたとき、秘密保持条項が判断の妨げになることがあります。除外事由に置くべきでない理由、通知義務を努力義務型にする理由、そして自社が紛争の当事者になったときの扱いを整理します。
10 共通条項の条項別解説

委託先監督義務と契約条項:秘密保持条項があれば足りるのか

顧客名簿を渡す業務委託で、秘密保持条項があれば足りるのか。個人情報保護法25条の監督義務は契約で緩められません。「必要かつ適切な監督」の3要素、秘密保持条項との3つの違い、そして相手が大手クラウドで監査に応じないときの落としどころを扱います。
10 共通条項の条項別解説

再委託の扱い:個人データが二次先へ流れるとき

委託先がさらに別の会社に出しているとき、委託元は何をすればよいのか。再委託先の事故が委託元の法違反と判断され得ること、条項を入れただけでは監督したことにならないこと、そして原則禁止型・事前通知型・事後報告型の使い分けを扱います。
10 共通条項の条項別解説

漏えい等発生時の報告・通知義務と契約条項

委託先から「不正アクセスがあったようです」と連絡が来たとき、報告するのは誰か。速報の目安3〜5日、確報30日、そして委託先が委託元に通知した瞬間に報告も本人通知も委託元の仕事になる仕組みを、条項の書き方まで落として扱います。
10 共通条項の条項別解説

個人データの越境移転:条項でどこまで確保するか

海外の委託先から「個人情報保護法および関係法令に従い適切に対応する」の一文でどうかと言われたら。基準適合体制は契約そのものが体制になります。何をどこまで書けばよいのか、移転先が決まっていないときの本人同意、そして提供後の年1回の確認義務までを条項に落とします。
10 共通条項の条項別解説

成果物の権利帰属の定め方:「一切の権利」では足りない

「本件業務の過程で生じた著作権その他一切の権利は甲に帰属する」と書いても、著作権法61条2項により27条・28条は受託者に残ったものと推定されます。特掲の要否、譲渡か確認かの区別、対価の書き込み、そして特掲していてもなお対象物の範囲で争いになった裁判例を扱います。
10 共通条項の条項別解説

著作者人格権不行使特約:書いても効かないことがある

著作者人格権は譲渡できないので、実務は「行使しない」と約束させます。ところが不行使特約が契約書にあったのに氏名表示権については合意がなかったとされた裁判例と、特約がないのに同一性保持権の行使が認められなかった裁判例があります。どちらも決め手は慣行でした。
10 共通条項の条項別解説

既存知財と成果物の切り分け:受託者が自分の資産を使えなくなる条項

「成果物の著作権は委託者に移転する」と書くと、受託者が過去に作った共通ライブラリまで移転しかねません。留保だけを書くと今度は委託者が納品物を使えません。留保と利用許諾を組で書く方法と、中小受託取引適正化法の限界を扱います。
10 共通条項の条項別解説

再委託の可否と承諾の要否:請負なら自由、準委任なら制限という建付け

再委託の条項がない契約で、受託者が業務を外に出しました。止められるかは、その契約が請負か準委任かで変わります。民法644条の2の自己執行義務、請負に規定がない意味、そして性質決定が争いになる契約でどう書くかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

再委託先の行為に対する責任:「一切の責任を負う」は何も足していない

「再委託先の行為について乙が一切の責任を負う」。この一文は、実は何も足していません。条項がなくても再委託先の落ち度は受託者の債務不履行だからです。ではレビューでどこを見るのか——再委託先を把握する手段と、それを実際に使うことです。
10 共通条項の条項別解説

債権譲渡制限特約の効力:「譲渡を禁止する」と書いても譲渡は止まらない

「相手方の承諾なく譲渡してはならない」と書いてある契約で、債権が譲渡されました。2017年改正により、この譲渡は有効です。条項に残った機能は履行拒絶の抗弁だけで、違反を理由とする解除は権利濫用と評価され得ます。では何のために置くのかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

債務引受と契約上の地位の移転:条文が答えていないことを、条項が決める

契約上の地位の移転を定める民法539条の2は、一文しかありません。譲渡人が抜けるのか、未払いの代金はどちらに行くのか、事前の包括承諾は効くのか。改正が明文化を見送った7項目と、それを条項でどう埋めるかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

Change of Control条項の設計:通知は来るが、何もできない契約になっていないか

取引先の株式が競合他社に買われました。契約の当事者は変わっていないので、契約はそのまま続きます。通知義務だけを置いた契約では、知らせは来ても取引をやめる根拠がありません。知る仕組みと、知ったあと動ける仕組みの二階建てで設計します。