第Ⅲ部 条項

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09 共通条項総論

共通条項(一般条項)とは何か、なぜどの契約にも入るのか

契約類型が違っても同じ条項が並ぶのはなぜか。共通条項(一般条項)の輪郭、契約書の条項数の3割から5割を占めるという実務感覚、そして定型だからと読み飛ばされる構造的な理由を整理します。
10 共通条項の条項別解説

表題は契約の性質を決めない:「契約書」「覚書」「合意書」の違い

「覚書だから拘束力が弱い」は誤解です。当事者間に法的な効果を生じさせる意思表示の合致があれば、表題が契約書でも覚書でも効果は変わりません。それでも表題を使い分ける理由と、決め方の順序を示します。
09 共通条項総論

共通条項の機能分類:リスク配分/手続/終了処理/紛争解決

共通条項を9つの機能グループに分ける方法と、その使い方を説明します。分類は整理のためではなく、契約書に何が欠けているかを見つけるための道具です。粗い4分類と細かい9分類を用意し、自社のひな型を並べ直す手順まで扱います。
10 共通条項の条項別解説

前文(頭書き)に何を書くか:当事者の表示と、書き足せる一文

契約書の前文では、一般に当事者の表示と略称を示します。それでも交渉で前提にした事情を一句足しておくと、条項の読み方が変わります。書きすぎて義務と読まれないための切り分けも示します。
10 共通条項の条項別解説

当事者の表示と、複数当事者間の契約:「甲は乙に対し」で足りなくなるとき

署名欄は契約の効果が誰に帰属するかを決める部分です。当事者が3者以上になると、二者間の雛形の「甲は乙に対し」では足りなくなります。連帯か非連帯か、解除を単独でできるかまで含めて整理します。
09 共通条項総論

条項どうしの相互作用:条項は単独では動かない

契約書の共通条項は、1つずつでは働きません。責任上限と違約金、解除と存続条項、期限の利益喪失と相殺と担保、完全合意と修正制限、通知と解除。代表的な5つの組み合わせで噛み合わせを確かめ、上限条項と全額賠償条項が並んだ契約を裁判所がどう読んだかを手がかりに、1条項を直したときに一緒に開く条項の一覧と、優先関係の書き方を整理します。
10 共通条項の条項別解説

目的条項は飾りではない:解釈の指針としての機能

目的条項はそれ自体では義務を生みません。それでも、解除事由の「契約をした目的を達することができない」と、契約不適合の「契約の内容に適合しない」の判断で、目的条項が入口になります。争いになる場面から逆算した書き方を示します。
09 共通条項総論

英文契約由来の条項が和文契約に流入した経緯:来たのは条項だけだった

表明保証、完全合意、分離可能性、権利不放棄、存続条項。国内の和文契約に並ぶこれらの条項は、英米法の契約書から入ってきました。英米法では条項の外側に口頭証拠排除の準則や懈怠の法理があり、条項はそれを使う・封じるために書かれています。日本に来たのは条項の文言だけで、働き方は条項ごとに変わります。裁判例の扱いと、和文契約に入れるかどうかの判断の仕方を整理します。
10 共通条項の条項別解説

目的条項が軽微性の判断に効く場面

催告しても不履行が「軽微」なら解除できません(民法541条ただし書)。軽微かどうかは「その契約」に照らして判断されるため、争いは「この契約の目的は何だったか」に移ります。暗号通貨採掘システムの売買で目的が争われた裁判例から、目的条項に何を書いておくかを考えます。
10 共通条項の条項別解説

定義条項の作り方:定義が効く範囲と、定義しすぎの弊害

定義条項で決めた語の中身が、そのまま義務の範囲になります。同じ「仕様書等」が売主案と買主案で別物になる実例、使っていない定義の削り方、列挙のつなぎ方で範囲が変わる問題、そして自社が義務を負う語は狭く権利を得る語は広くという書き分けを扱います。
10 共通条項の条項別解説

契約書・別紙・仕様書・発注書の優先順位条項

「本契約が優先する」と一律に書くと、仕様書の具体的な数値が本文の抽象的な記載に負けます。事項ごとに優先順位を変える条項例、注文書の裏面約款を封じる一文、そして優先されない文書も解釈指針としては生きるという整理を扱います。
10 共通条項の条項別解説

特約条項(契約条項の一部適用を排除する条項)の使い方と事故

「第17条の条文を破棄する」と書いた特約で、売主は瑕疵担保責任を免れませんでした。消えるのは契約書の条項だけで民法までは消えないこと、特約の射程が目的物の一部にとどまること、義務を作る特約に期限がないときの扱いを、裁判例2件から追います。
10 共通条項の条項別解説

契約期間の始期・終期と期間の計算方法

「締結日から1年間」と「4月1日から1年間」では、満了日が1日ずれます。初日不算入(民法140条)と末日の休日(民法142条)の扱い、「翌日から起算して」の一言で計算を不要にする書き方、そして期間条項が契約を終わらせるための条項であることを扱います。
10 共通条項の条項別解説

自動更新条項:意義と留意点

契約書どおりに更新拒絶を通知しても、更新を止められないことがあります。約8年続いた業務委託契約で、5か月前の更新拒絶が「相当な予告期間とはいえない」とされた裁判例から、通知の期限・方法をどう書くか、そして書いても防げない部分を扱います。
10 共通条項の条項別解説

中途解約条項:留保しないとどうなるか

期間を定めた契約は、中途解約条項がなければ途中で抜けられません。期間の定めがある場合とない場合で出発点が逆になること、予告期間を「相当な」と書くと争いになること、そして請負641条・委任651条の任意解除権との関係を扱います。
10 共通条項の条項別解説

更新後の期間・条件が定まっていない場合

「同一の条件で更新される」とだけ書くと、更新後が1年契約なのか期間の定めのない契約なのかが決まりません。終了に双方の合意を要する形で「以後も同様とする」を足すと、今度は終わりがなくなります。永久自動更新条項について、交渉された条項とされなかった条項で拘束力に差を付けた裁判例まで追います。
10 共通条項の条項別解説

予告期間の設計:何か月前の通知なら足りるのか

中途解約の予告期間は何か月にすべきか。継続的な取引では、条項どおりに通知しても足りないことがあります。裁判所は「相当な予告期間」から実際の予告期間を引いた月数の営業利益を損害として数えています。この物差しを使って、相手方のひな型の予告期間をどう直し、どう説明し、どこで引くかを整理します。
10 共通条項の条項別解説

契約締結日前に遡らせる意味と限界:バックデートと遡及条項

取引が先に始まり、契約書が後追いになったとき、契約書の日付を取引開始日まで遡らせてよいのか。合意より前の日付を書くことは許されず、効力だけを遡らせるなら遡及条項を使います。遡る範囲の特定と、遡る期間に終わった取引の扱いまで、条項の書き方を整理します。
10 共通条項の条項別解説

口頭の合意で契約は変わるか:担当者の約束と修正制限条項

契約の変更に書面は要りません。担当者どうしの電話や、部長のメール1通でも、契約が変わったと主張されることがあります。「書面によらない変更は無効」とする条項はどこまで効くのか。ライセンス契約の変更が争われた裁判例から、条項と運用の両面で整理します。
10 共通条項の条項別解説

変更手続を条項で縛る:書面・署名者・運用とのずれ

「本契約は書面による合意によってのみ変更できる」という条項は、口頭の変更を封じる防壁ではなく、変更の合意を否定する材料として働きます。書面に電子契約やメールは含まれるか、誰の署名を求めるか、運用が条項とずれたときどうなるか。条項例と改善例で整理します。
10 共通条項の条項別解説

支払時期・支払場所の定め方:書かなければ、代金はいつどこで払うのか

代金の支払時期や支払場所を契約書に書かなければ、民法の原則が埋めます。引渡しと同じ期限に、売主の住所へ持参して支払う。実務の「月末締め翌月末払い・振込」は、この原則を書き換えたものです。何を書き換えているのかを知ると、条項の抜けに気づけます。
10 共通条項の条項別解説

支払方法と振込手数料の負担:甲乙の書き違いと口座の変更

支払方法を書かなければ現金の持参、振込手数料を書かなければ買主の負担になります。条項に書いていても、「振込手数料は甲の負担とする」の甲が誰を指すのか、振込先の口座が変わったらどうするのかで争いが残ります。立場ごとの書き分けと改善例を示します。
10 共通条項の条項別解説

法定利率と約定利率:改正民法の変動利率と、利率を書いておく理由

改正民法で法定利率は年3%の変動制になりました。遅延損害金の利率は、債権ごとに遅滞に陥った時点の法定利率で決まります。約定利率を書く理由は、利率を高くするためだけではありません。法定利率の変動を追わずに済むという、予測可能性のための理由を整理します。
10 共通条項の条項別解説

遅延損害金条項の設計:利率の水準・起算日・上限

遅延損害金条項の年14.6%は、法律が企業間取引の水準として定めた数字ではありません。利率の水準、起算日、消費者契約法9条の上限、利息制限法が売買代金にかからない理由、法定利率を下回る利率を書いたときの問題まで、受け取る側と支払う側に分けて整理します。
10 共通条項の条項別解説

相殺の基本と相殺予約:書かなくてもできることを、なぜ条項にするのか

相殺は契約書に書かなくてもできます。それでも相殺の条項を置くのは、民法が求める「双方の債務が弁済期にあること」という要件を、契約で前倒しするためです。相殺予約が動かすもの・動かさないもの(法令上の相殺禁止、取適法)と、相殺する側・される側それぞれの書き方を整理します。
10 共通条項の条項別解説

差押えと相殺の優劣:差押え前に取得した債権と、相殺予約の効力

取引先の債権が差し押さえられたとき、自社が持つ債権で相殺して差押債権者に対抗できるか。民法511条は、自社の債権を差押えの前に取得したかどうかで線を引きました。最大判昭和45年6月24日から改正法の「前の原因」までを整理し、相殺予約の効力が差押債権者に及ぶかを確認します。
10 共通条項の条項別解説

追加担保請求条項:担保を差し出させる約束は、どこまで効くか

「請求があれば担保を提供する」という条項は、担保そのものではなく、担保を差し出す約束です。応じなければ期限の利益を失う、と書いてあっても、担保価値の下落の程度によっては期限の利益喪失が否定された裁判例があります。請求できる事由と、応じないときの効果の書き方を、担保を求める側・求められる側の両方から見ます。
10 共通条項の条項別解説

保証金・預託金:取引一般の場合

取引基本契約の保証金は、条項に書いただけでは担保にならず、お金が預けられて初めて担保になります。金額と差入日、充当と補填、保証金との相殺の禁止、返還時期と利息。よくある条項例に抜けている点を、預かる側・預ける側それぞれの立場から整理します。
10 共通条項の条項別解説

報告義務条項:何を、どの頻度で

業務委託契約の報告義務条項は、「適時、報告を求めることができる」で止まっていると、求めない限り報告が来ません。委任なら民法645条の報告義務がありますが、請負と解釈されれば当てにできません。報告の中身・頻度・方法と、報告を受けた後の是正までを、委託者・受託者それぞれの立場から整理します。
10 共通条項の条項別解説

担当者条項と窓口の特定:名前を書いた後の変更と、担当者の約束

担当者条項は、誰に届けば相手方に届いたことになるかを決める条項です。担当者が異動しても記載が古いまま残る、通知条項と宛先が食い違う、担当者どうしの約束が契約の変更と主張される。取引基本契約で起きやすい3つの問題と、担当者条項・通知条項・変更条項の役割分担を整理します。
10 共通条項の条項別解説

クレーム処理条項の設計:誰が受け、誰が調べ、誰が払うか

消費者からのクレームは、販売した買主に来ることが多いのに、原因を知っているのは製造した売主です。「直ちに通知し、協議する」だけの条項では、誰が調べ、いつまでに何をし、費用を誰が払うかが決まりません。回収費用や弁護士費用の扱いまで含めて、売主・買主それぞれの書き方を整理します。
10 共通条項の条項別解説

債務不履行責任と不法行為責任の関係:責任制限条項は不法行為にも効くか

責任制限条項を作り込んでも、不法行為構成で回避されては意味がありません。契約条項が不法行為責任にも及ぶとした最高裁判例と、故意・重過失の場合に外れる場面を整理し、条項の書き出しをどう定めるかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

損害の範囲と予見可能性:契約書に書くと予見の側に効く

どこまでが「その債務の不履行によって生じた損害」か。通常損害と特別損害の境目に一般的な基準はありません。「予見すべきであった」への改正が何を変えたかと、契約書に取引の目的を書くことが予見可能性の判断に効く仕組みを整理します。
10 共通条項の条項別解説

賠償範囲を限定する条項の設計:「通常損害に限る」で落ちるのは特別損害だけ

「通常生ずべき損害に限る」と書いても、実際にはほとんど何も変わりません。「直接損害」「現実に生じた損害」が定義されない問題と、落とす損害項目を名指しする改善例、そして条項が限定解釈される場面を整理します。
10 共通条項の条項別解説

責任上限条項の設計と相場:上限は対価とセットで決まる

賠償額に天井を置く条項は、低く書くほど安全というものではありません。上限が対価と結びついている構造、故意・重過失で外れること、そして例外を書いても定義で空振りした裁判例を扱います。
10 共通条項の条項別解説

免責条項の限界:公序良俗・信義則

免責条項の効力を正面から決める条文は民法にありません。故意・重過失・軽過失で扱いが分かれる理由、重過失の意味をめぐる二つの理解、そして除外を書かなかったときに条項全体が失われる構造を扱います。
10 共通条項の条項別解説

消費者契約法による規制

BtoCでは、免責条項は合理性ではなく類型で無効になります。全部免責・一部免責・サルベージ条項規制を条文で整理し、条項が不明確なときの3要件、条項使用者不利の原則、限定解釈がどこまで期待できるかを裁判例で追います。
10 共通条項の条項別解説

割賦販売法・特定商取引法・独占禁止法による規制

業法は、条項の合理性を審査せずに額の上限そのものを決めます。割賦販売法・特定商取引法の上限規制と抗弁の接続、書面交付義務とクーリング・オフ、独占禁止法の優越的地位の濫用、そして2026年に改称された取適法を整理します。
10 共通条項の条項別解説

損害賠償額の予定と違約罰の区別

「違約金」と書いただけでは、どちらのつもりかは決まりません。民法420条3項の推定、改正で後段が削除された意味、過失相殺が働くこと、そして11億円の違約金が1000万円まで減額された裁判例から、条項の書き分けを整理します。
10 共通条項の条項別解説

予定額を超える損害が生じた場合

違約金の額を超える損害が出ても、条項に一文がなければ差額は請求できません。民法420条3項の推定を前提に、レビューで見る5点と、請求する側・される側それぞれの書き足し方、交渉での説明の順序を扱います。
10 共通条項の条項別解説

解約一時金・中途解約違約金条項の効力

残存期間の全額を違約金とする条項は、どこまで残るのか。1年分は有効・3年2か月分は無効とした裁判例と、フランチャイズ契約の解約一時金を無効とした判断枠組みから、水準の目盛りと交渉での説明のしかたを扱います。
10 共通条項の条項別解説

表明保証とは何か:英文契約からの流入と和文契約での機能

民法にない表明保証が、なぜ和文契約に載っているのか。英米法から来たのは条項だけで判例法は来なかったという出発点、契約不適合責任との違い(範囲の明確化と期間制限の排除)、違反の効果が民法ではなく契約書で決まる二段構え、そして「保証しない」条項という逆向きの使い方まで扱います。
10 共通条項の条項別解説

補償条項の設計

補償条項は損害賠償条項の言い換えではありません。帰責事由を要件から外し、表明保証違反や第三者請求という発生原因を契約で作る仕組みとして整理し、責任上限との噛み合わせと第三者請求の防御手続まで扱います。
10 共通条項の条項別解説

譲受人の主観的態様と表明保証責任

買主が表明保証違反を知っていた、あるいは知り得た場合に責任を追及できるか。重大な過失があれば悪意と同視される余地を示しつつ、デューディリジェンスは買主の権利であって義務ではないとした裁判例から、契約書への還元を扱います。
10 共通条項の条項別解説

重大性による限定(マテリアリティ)

表明保証に「重大な」を入れるかどうかで条項の効き方が変わります。買収の是非や対価の決定に影響を及ぼすかを基準に違反を絞った裁判例と、限定を残すなら何が重要かを金額と取引先名で書き切るという直し方を扱います。
10 共通条項の条項別解説

契約不適合責任の全体像

2017年改正で「瑕疵」がなくなり、売主の担保責任は債務不履行の一般原則に整理されました。整理された分だけ損害賠償や解除の要件は一般原則に投げられ、契約不適合かどうかは仕様書で決まるようになっています。4つの救済と、契約書で決めておくべき箇所を追います。
10 共通条項の条項別解説

通知期間の設計

契約不適合の通知期間は、民法566条の1年、商法526条の6か月、そして消滅時効の二層構造でできています。起算点が買主の主観で決まってしまう問題と、短縮特約が売主の重過失で外れる場面を、条文と判旨、条項例で追います。
10 共通条項の条項別解説

請負における修補・報酬減額・出来高請求

請負の担保責任は2017年改正で規定が削られ、売買の規定を準用する形になりました。修補請求の限界、修補に代わる損害賠償の順序、報酬減額請求、そして仕事が途中で終わったときの出来高請求まで、削られた条文を契約書でどう戻すかを条項例で示します。
10 共通条項の条項別解説

契約不適合責任を免除・軽減する条項の限界

「一切の契約不適合責任を負わない」と書いても、売主が知りながら告げなかった事実には効きません(民法572条)。免除条項の限界と、全部免除が通らないときに事由を列挙して部分免除にする書き方を、条項例で示します。
10 共通条項の条項別解説

不可抗力条項の意義:帰責事由要件との関係

不可抗力条項は「民法どおりのことを書いているだけ」なのか。改正民法が帰責事由を「契約その他の債務の発生原因……に照らして」判断すると定めた以上、契約書に何を不可抗力と書いたかは免責の判断そのものに入ります。条項が確認的か創設的かの見分け方と、通知義務・軽減義務の置き方を扱います。
10 共通条項の条項別解説

危険負担と不可抗力

引渡し前に目的物が滅失したら、代金はどうなるのか。2017年改正で危険負担の効果は「反対債務の消滅」から「履行拒絶権」に変わりました。契約から確定的に降りるには解除が要ります。危険の移転時期を契約で決める方法と、不可抗力条項との書き分けを扱います。
10 共通条項の条項別解説

事情変更の原則:前提が崩れたら契約から降りられるか

原材料が3倍になったら契約から降りられるのか。事情変更の原則は判例で認められていますが、適用される場面は極めて限定的です。判例3件が示す要件、2017年改正で明文化が見送られた理由、そして契約書に代金変更請求権と再交渉義務をどう書くかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

列挙の網羅性:「その他これらに類する事由」をどう書くか

不可抗力条項の事由の列挙は、長ければよいものではありません。書いていない事象は不可抗力でないと読まれる危険と、「その他不可抗力」が列挙の色に染まる問題。原材料の高騰が入るかどうかと、供給側と支払側で望ましい書き方が正反対になることを、条項例で示します。
10 共通条項の条項別解説

ウィーン売買条約79条との対比:国際売買では何が免責事由か

「本契約は日本法に準拠する」と書いてもウィーン売買条約は排除できません。条約79条の免責要件は日本民法の帰責事由と何が違うのか、下請の不履行が二重の要件になること、そして排除するときの書き方を、条約の正文で確認しながら扱います。
10 共通条項の条項別解説

秘密情報の範囲の定め方

秘密保持条項は、何を秘密情報とするかで射程が決まります。包括型と限定型の違い、口頭で伝えた情報の扱い、そして「広く書けば守られる」が成り立たない理由を、実務書3冊の指摘から整理します。
10 共通条項の条項別解説

秘密情報から除外される情報

秘密保持条項のただし書は、条項の射程を後ろから削ります。除外事由5つの並べ方、立証責任をどちらに置くか、そして「法令に基づく開示」をここに入れてはいけない理由を整理します。
10 共通条項の条項別解説

秘密保持義務の内容と存続期間:無期限を求められたときの返し方

秘密保持義務を無期限にすると求められたとき、どう返すか。義務の中身・開示できる範囲・存続期間の3つを分けて見る方法と、期間が長すぎることが条項の効力に響く裁判例を整理します。
10 共通条項の条項別解説

法令・行政機関からの開示要求への対応:捜査機関から求められたとき

捜査機関や監督官庁から開示を求められたとき、秘密保持条項が判断の妨げになることがあります。除外事由に置くべきでない理由、通知義務を努力義務型にする理由、そして自社が紛争の当事者になったときの扱いを整理します。
10 共通条項の条項別解説

委託先監督義務と契約条項:秘密保持条項があれば足りるのか

顧客名簿を渡す業務委託で、秘密保持条項があれば足りるのか。個人情報保護法25条の監督義務は契約で緩められません。「必要かつ適切な監督」の3要素、秘密保持条項との3つの違い、そして相手が大手クラウドで監査に応じないときの落としどころを扱います。
10 共通条項の条項別解説

再委託の扱い:個人データが二次先へ流れるとき

委託先がさらに別の会社に出しているとき、委託元は何をすればよいのか。再委託先の事故が委託元の法違反と判断され得ること、条項を入れただけでは監督したことにならないこと、そして原則禁止型・事前通知型・事後報告型の使い分けを扱います。
10 共通条項の条項別解説

漏えい等発生時の報告・通知義務と契約条項

委託先から「不正アクセスがあったようです」と連絡が来たとき、報告するのは誰か。速報の目安3〜5日、確報30日、そして委託先が委託元に通知した瞬間に報告も本人通知も委託元の仕事になる仕組みを、条項の書き方まで落として扱います。
10 共通条項の条項別解説

個人データの越境移転:条項でどこまで確保するか

海外の委託先から「個人情報保護法および関係法令に従い適切に対応する」の一文でどうかと言われたら。基準適合体制は契約そのものが体制になります。何をどこまで書けばよいのか、移転先が決まっていないときの本人同意、そして提供後の年1回の確認義務までを条項に落とします。
10 共通条項の条項別解説

成果物の権利帰属の定め方:「一切の権利」では足りない

「本件業務の過程で生じた著作権その他一切の権利は甲に帰属する」と書いても、著作権法61条2項により27条・28条は受託者に残ったものと推定されます。特掲の要否、譲渡か確認かの区別、対価の書き込み、そして特掲していてもなお対象物の範囲で争いになった裁判例を扱います。
10 共通条項の条項別解説

著作者人格権不行使特約:書いても効かないことがある

著作者人格権は譲渡できないので、実務は「行使しない」と約束させます。ところが不行使特約が契約書にあったのに氏名表示権については合意がなかったとされた裁判例と、特約がないのに同一性保持権の行使が認められなかった裁判例があります。どちらも決め手は慣行でした。
10 共通条項の条項別解説

既存知財と成果物の切り分け:受託者が自分の資産を使えなくなる条項

「成果物の著作権は委託者に移転する」と書くと、受託者が過去に作った共通ライブラリまで移転しかねません。留保だけを書くと今度は委託者が納品物を使えません。留保と利用許諾を組で書く方法と、中小受託取引適正化法の限界を扱います。
10 共通条項の条項別解説

非侵害保証条項の意義:保証させても、侵害を証明できなければ動かない

「第三者の権利を侵害しないことを保証する」と書かせても、発動するには侵害の証明が要ります。証明できずに保証条項が空振りした知財高裁の事件を軸に、保証の強度の4段階、地理的範囲、責任上限、そして保証より手続のほうが効く理由を扱います。
10 共通条項の条項別解説

侵害が判明した場合の対応義務と費用負担:「解決し、または協力し」の「または」が争われた

「自己の費用と責任で解決し、または協力し、一切迷惑をかけない」。この一文の「または」をめぐって主導権が争われ、買主が単独でライセンス契約を結んだ結果、過失相殺で7割が削られた事件があります。通知・情報提供・主導権・和解権限の書き分けを扱います。
10 共通条項の条項別解説

再委託の可否と承諾の要否:請負なら自由、準委任なら制限という建付け

再委託の条項がない契約で、受託者が業務を外に出しました。止められるかは、その契約が請負か準委任かで変わります。民法644条の2の自己執行義務、請負に規定がない意味、そして性質決定が争いになる契約でどう書くかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

再委託先の行為に対する責任:「一切の責任を負う」は何も足していない

「再委託先の行為について乙が一切の責任を負う」。この一文は、実は何も足していません。条項がなくても再委託先の落ち度は受託者の債務不履行だからです。ではレビューでどこを見るのか——再委託先を把握する手段と、それを実際に使うことです。
10 共通条項の条項別解説

債権譲渡制限特約の効力:「譲渡を禁止する」と書いても譲渡は止まらない

「相手方の承諾なく譲渡してはならない」と書いてある契約で、債権が譲渡されました。2017年改正により、この譲渡は有効です。条項に残った機能は履行拒絶の抗弁だけで、違反を理由とする解除は権利濫用と評価され得ます。では何のために置くのかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

債務引受と契約上の地位の移転:条文が答えていないことを、条項が決める

契約上の地位の移転を定める民法539条の2は、一文しかありません。譲渡人が抜けるのか、未払いの代金はどちらに行くのか、事前の包括承諾は効くのか。改正が明文化を見送った7項目と、それを条項でどう埋めるかを扱います。
10 共通条項の条項別解説

将来債権の譲渡:まだ発生していない債権を譲る。どこまで、いつまで

来年の売上を、いま担保に出せるか。出せます。ただし条文は「発生していなくてよい」としか書いていません。何年先まで譲れるのか、譲った後で事業や不動産が他人に移ったら債権はどちらのものか。判例が引いた線と、明文化が見送られた穴を扱います。
10 共通条項の条項別解説

Change of Control条項の設計:通知は来るが、何もできない契約になっていないか

取引先の株式が競合他社に買われました。契約の当事者は変わっていないので、契約はそのまま続きます。通知義務だけを置いた契約では、知らせは来ても取引をやめる根拠がありません。知る仕組みと、知ったあと動ける仕組みの二階建てで設計します。
10 共通条項の条項別解説

期限の利益喪失:自動で効くほうが有利、とは限らない

期限の利益喪失条項には、通知なしで自動的に効く当然喪失型と、請求して初めて効く請求喪失型があります。自動のほうが有利に見えますが、当然喪失型は消滅時効を早く走らせ、放置すれば信義則で覆されます。事由の性質で振り分ける書き方を扱います。
10 共通条項の条項別解説

過怠約款:「2回分怠ったとき」の数え方

「分割金の支払を2回分怠ったとき」。この書き方では、2回続けてなのか、通算2回なのか、一部弁済があったときはどうなのかが決まりません。一括請求の入口で止まらないように、回数と金額で条件を閉じる直し方を扱います。